第6回 距離の公理 [ネコ騙し数学]
第6回 距離の公理
距離ってなんだ?
その数学の答えの一つが距離の公理だケロ。
距離の公理
d:X×X→R
集合X上で定義された実数値関数が、任意のx,y,z∈Xに対して次の条件を満たしているとき、写像dをXの上の距離関数という。
(1) d(x,y)≧0(2) x=y⇔d(x,y)=0
(3) d(x,y)=d(y,x)
(4) d(x,z)≦d(x,y)+d(y,z)
この(1)〜(4)を距離の公理というにゃ。
(1)は(2)、(3)、(4)から導けるので、いらないといえばいらないのだけれど、この4つを距離の公理というにゃ。
0=d(x,x)≦d(x,y)+d(y,x)=d(x,y)+d(x,y)=2d(x,y) ∴ d(x,y)≧0
となり、(1)は導けるにゃ。
(2)は同一律、(3)は対象律、(4)は三角不等式を表しているとかなんとかいうにゃ。
ちなみに、このxやy、zは実数である必要はない。
もっと一般的なもので、n次元の空間の点としてもいいし、イヌやネコ、ウサギでもいい(^^ゞ
「おい、⑨ネコ。イヌ、ネコ、ウサギで距離が定義できるのか?」
「出来るにゃ!!」集合X={dog,cat,rabbit}とすると、この直積X×Xは
X×X={<dog、dog>,<dog,cat>,<dog,rabbit>, <cat,dog>,<cat,cat>,<cat,rabbit>,
<rabbit,dog>,<rabbit,cat>,<rabbit,rabbit>}
<x,y>∈X×Xに対して
x=yのとき、d(x,y)=0x≠yのとき、d(x,y)=1
とすれば、距離の公理を満足している。ちなみに、xとyは、それぞれ、イヌ、ネコ、ウサギだケロ。
こういう距離を離散距離といいますにゃ。
少し前に二次元平面の二点間の距離というものをやったにゃ。平面上の点を
となると言ったにゃ。
これはユークリッド距離というもので、あくまで数学の数ある距離の一つにすぎないんだにゃ。
2次元平面乗の2点間の距離を、たとえばで定義してもいんだにゃ。
これも距離の公理を満たしている。ユークリッド距離だけが(数学の)距離だと思っちゃ〜いけない、という話だにゃ。
ちなみに、<x,y>というのは順序対といわれるもの。
<a,b>=<c,d>が成立するのは、「a=cかつb=d」のとき。だから、一般に、<x,y>≠<y,x>だケロ。
本によっては(x,y)と書いていたりもしているんだけれど、これだとxy平面上の点の座標と混同し、混乱するケロ。
この他にも、例えば、有界閉区間[a,b]で連続な関数f、gに対して、
関数の距離を定義したりも出来るんだケロ。
これが距離の公理を満たすことは、だし、
となるし、
となるので、
となって、
距離の公理を満たしているんだにゃ。
一様収束のところで出てきた有界閉区間で連続な関数のノルム
も距離になるんだケロ。
もう、このあたりになると、微分積分を超えちゃっているから、今のところ、これ以上のことをやるつもりはないけれど・・・。
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