第21回 三角形の辺と角の大小2 [ネコ騙し数学]
第21回 三角形の辺と角の大小2
§1 正弦定理、再び
三角関数でやった正弦定理を覚えているケロか。
正弦定理
この正弦定理を使うと、
を証明することができる。
まず、△ABCが鋭角三角形、または、直角三角形(∠C=90°)の場合を考える。
正弦定理からになる。
ここで、正弦関数y=sinx(0<x<π)のグラフを思い出して欲しい。グラフをかくと次のようになる。
このグラフから明らかなように、0<x≦π/2では正弦関数は単調増加で、π/2<x<πで単調減少になっている。
つまり、0<x≦π/2では、
が成立する。
だから、
となる。
問題は、鈍角三角形。議論を簡単にするために、△ABCの最大角を∠C>90°=π/2とする。
三角関数の角関係よりが成立する。
こうすると、
となる。
もしこのとき0<B<π/2<C<πで
ということが起きたとする。
すると、このとき、
となり、△ABCの内角の和が180°を超してしまう。
だから、鈍角三角形の場合も
が成立し、これと正弦定理を合わせると
が成立する。
よって、△ABCでは
である。
三角関数の正弦定理を使っても証明できるという話でした。
§2 三平方の定理、再び
問題 △ABCにおいて
であることを証明せよ。また、(1)、(2)の逆も成立することを証明せよ。
この問題は、余弦定理のところでも解いているのですが、初等幾何では三角比や三角関数を使わないという鉄則があるので、あらためて初等幾何の範囲内でこのことを証明することにする。
【証明】
∠A=R、A'B'=AB、A'C'=ABとなる直角三角形があるとする。
△A'B'C'は直角三角形なので
(1) △ABCのAとBを△A'B'C'のA'B'に重ねる。
△ABCと△A'B'C'において∠A<∠A'=∠Rだから、第19回の定理BよりBC<B'C'。
よって、
(2) 同様に、△ABCと△A'B'C'において∠A>∠A'=∠RだからBC>B'C'。
(証明終わり)
【逆の証明】
三平方の定理と上の(1)と(2)から
①、②、③の仮定はすべての場合を尽くしており、その結論は、それぞれ、そのほかの結論と両立し得ない。
よって、転換法より、①、②、③の逆が成立する。
【証明終わり】2016-06-12 12:00
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