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第19回 抜き取り検査 [ネコ騙し数学]

第19回 抜き取り検査


問題1 極めて多数の製品の山がある。この製品の山の全体としての合格、不合格を、全体の中から5個抜き取って検査し、その5個中の不良品が1個以下ならば合格、2個以上ならば不合格と定めることにする。

不良率(不良品の個数と全体の個数との比)がpである製品の山が検査に合格する確率をf(p)とするとき、次の問いに答えよ。

(1) f(p)pの式であらわせ。

(2) f(p)pの減少関数であることを証明せよ。

(3) を求めよ。

(4) f(p)の概形をかけ。

【解】

(1) 合格するのは、不良品が0個、1個の場合だから、合格する確率は

  


(2) f(p)を微分すると

  

0<p<1f'(p)<0だから、f(p)は単調減少する。

(3) ①にp=00.31を代入すると

  

②にp=01を代入すると

  


(4) 下図

statics-graph-19-01.png

(解答終了)



問題2 ある試験で、出題3問中2題以上を正解すれば合格するという。各問を正解する確率がいずれもpである生徒が、この試験を受けるとき、

(1) この生徒が合格する確率f(p)を求めよ。

(2) f(p)+f(1−p)およびf(0.2)の値を求めよ、f(p)のグラフをかけ。

(3) f(p)≧0.9になるようなpの最小値p₀を小数点第2位まで求めよ。

【解】

(1) 合格するのは、正解数が2の場合と3の場合だから、合格する確率は

  


(2)
   

f(p)を微分すると

  

だから、0<p<1f'(p)>0なのでf(p)は単調増加。

したがって、グラフは次のようになる。


statics-graph-19-02.png

(3) グラフを見ると、p₀≒0.8っぽいね(^^

試しに計算してみると

  

そこで、とおくと、

  

h≒0だから、①のの項は無視でき、①は次のように近似できる。

  

よって、

  

したがって、p₀=0.80

念のために

  

(解答終了)

ちなみに、



問題3 きわめて多数の製品の一山をロットという。同一個数の製品からなるロットがきわめて多数であるとき、これらのロットから大きさ5の標本を抜き取り、その中の不良品個数が0こであれば標本はもとに戻してそのロットはそのまま出荷し、不良品個数が1個以上であればそのロットは全数検査にかけロット中の不良品を全部良品にかえて出荷する。もとのロットの不良率がすべてpであるとした場合、出荷される全ロット中に含まれる製品の不良率f(p)はどうなるか。次の問に答えなさい。

(1) p=0p=1のときf(p)の値はそれぞれどうか。

(2) f(p)pの式であらわせ。

(3) f(p)のグラフをかき、f(p)を最大にするpの値を示しなさい。

【解】

(1) p=0のとき、製品はすべて良品なのでf(p)=0である。

p=1のとき、ロット全体が不良品でそれがすべて良品に取りかえられるので、f(p)=1である。


(2) 出荷される製品に不良品が含まれるのは、抜き取った5つすべてが良品である場合。

抜き出された5つがすべて良品である確率は

このときpの割合で不良品が混じっているので、求める確率は

  


(3) 増減を調べるために、f(p)=p(1−p)⁵を微分すると

  

したがって、p=1/6のときに極大かつ最大で、その値は

  

また、

  

したがって、f(p)p=1/3で変曲点を持ち、

  

よって、グラフは次のようになる。

statics-graph-19-03.png

(解答終了)

統計とは名ばかりで、実はどれも微分の問題であった(^^)
タグ:統計
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