[境界方程式の組み立て(ラプラス型)] [ネコ騙し数学]
[境界方程式の組み立て(ラプラス型)]
ここまでで境界方程式(内点方程式)を作成する計算公式は全て出揃ったので、いよいよ境界方程式を組み立てます。
境界方程式と内点方程式は以下でした。
内点方程式(2)の左辺の境界積分を、図-1の一要素kだけ取り出して書いてやると、境界上でψ(c)とその外法線微分値q(c)を線形近似した場合、
の形になります。
ψjやqjは、境界要素kの両端点にある境界節点jとj+1でのψ(c)とq(c)の値を表し、これらが未知数です。bj(k)やhj(k)は、境界要素kの配置と特異点(ξ,η)の位置だけから計算できるのでした。具体的な形は前回にあります。
図-1に示したように、要素kの節点j+1は、隣の要素k+1と共有されるので、そこに注意して(2)の左辺を(3),(4)を使って書くと、
となります。いま境界要素はn個あり、境界要素と節点は左回りに順序付けられているとします。ψ1とq1の係数にb1(n)とh1(n)が現れるのは、要素nと要素1が節点1を共有するからです(図-1)。また境界要素と節点が同数あるのは、図-1から明らかです。式(5)で各ψj,qjの係数を、Bj,Hjと書く事にします。
です(j=1の場合は、適当に変更して下さい(^^;))。Σ記号を導入して、
と書けます。一方(2)の右辺はψ*もgも既知関数なので、なんとかすれば具体的値がわかるだろう、という事で(^^;)、たんにwと書きます。よって、
ところで内点方程式(2)の目的は、基本解の特異点(ξ,η)を任意に動かして、解析領域R内の任意の位置における未知関数ψの値を、ψ(ξ,η)の形で得る事でした。(ξ,η)の位置が変われば、Bj,Hj,wの値も当然変わります。そこで、(ξ,η)=(ξi,ηi)に取った時の値をBij,Hij,wiと書く事にします。
i=1,2,・・・,[何個でも良い]です。
そのような意味で式(8)は、
と書くべきだぁ~という事になります。
次に前回の結果から、特異点(ξi,ηi)を節点jに近付けて行けば、式(9)左辺のψjに関する和、
から自然に、
が導かれ、内点方程式(2)は連続的に境界方程式(1)に移行できるのでした。kjは、節点jにおける境界の内角です。
(ξi,ηi)→節点jの時のBij,Hijの具体的形も前回の結果で与えられます。一般に式(11)に相当する項は境界要素法では、自由項(free Term)と呼ばれます(←あまり役に立たない蘊蓄(^^;))。
(10),(11)が起きるのは、(ξi,ηi)が節点jに一致する時だけだという事に注意し、式(9)を境界方程式として書き直すと、
になりますが、今度は(ξi,ηi)がどれかの節点jと一致するので、i=1,2,・・・,nです。
なおdijは、クロネッカーのデルタです。普通それはδijと書かれますが、今までδはデルタ関数や変分の意味にさんざん使ってきたので、ここはdにしました(^^;)。
式(12)をさらに整理するために突然ですが、行列とベクトルの積を思い出して下さい。行列A=(aij)とベクトルx=(xi)との積は、
って書きますよね?。これを成分で書くと、
ですよね?。・・・式(12)と同じじゃないですか!(^^)。
です。
さらに、
と以後略記します。(14)で行列はn×nの正方行列、ベクトルの次元は必ずnです。
形式的には式(15)が、境界節点で離散化して組み立てられた境界方程式の全てです。ψとqの係数行列BとHは既知であり、wも既知ベクトルです。後は(15)を、ψとqに関する連立一次方程式とみなして解けば良い訳ですが、なお留意点がいくつかあります。
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