番外編 比例式と加比の理 [ネコ騙し数学]
番外編 比例式と加比の理
§1 比例式
比例式とは、比あるいは連比に関する等式のことで、たとえば、a:b=c:d
やで与えられる式のこと。
問題1 x:y=3:2のとき、
の値を求めよ。
【解】
よって、
【別解】
よって、
問題2
のとき
が成り立つことを証明せよ。
【解】
よって、
加比の理のとき
である。
【証明】
(証明終わり)
意外に気づきにくい性質である。
これを図形的に解釈することにするにゃ。
A(a,b)、B(c,d)とするにゃ。で、原点OとA、Bを通る2本の直線を考える。b/a=d/cなので、直線の傾きは同じで、さらに、この2本の直線は原点を通るので、同一の直線である。
上図より、C(a+c,b+d)がこの直線にあることは明らかなので、
になる。
ベクトルを使うともっとスッキリするんだろうけれど・・・。
問題3
のとき、この分数式の値を求めよ。
【呟き】
a=b=c=1のとき、この分数式の値が2になることはすぐに分かるにゃ。そして、問題は、「この値が2だけか」だにゃ。
【解】
とする。
上の3式の右辺と左辺を足し合わせる。
a+b+c=0のとき
ここで止めていいかだが・・・。
k=2のとき①−②
これを③に代入すると
a=b=cのとき、確かに式の値は2になるにゃ。ただし、a、b、cがともに0である場合は除く。
第?回 問題演習 [ネコ騙し数学]
第?回 問題演習
第0回の内容に関する問題演習をすることにするにゃ。
問題1 次の集合はどの演算について閉じているか。
(1) N={自然数} (2) P={3で割って1余る整数}(3) X={係数が整数である2次以下の整式}
【解】(1) n、mを自然数とすると、n+mは自然数になるので、つまり、n+m∈Nだから、加法・足し算については閉じている。
引き算・減法については、n=1、m=2とすると、1−2=−1となり、これは自然数ではないので、閉じていない。乗法・掛け算については、n×m∈Nだから、閉じている。
除法・割り算については、n=1、m=2とすると、n÷m=1/2=0.5になるので、閉じていない。よって、閉じているのは、加法と乗法。
(2) 3で割って1余る整数は、ある整数kがあって、3k+1とあらわすことができる。
ということで、加法 (3n+1)+(3m+1)= 3(n+m)+2 ・・・ 余りは2
乗法 (3n+1)×(3m+1)= 9nm+3(n+m)+1 ・・・ 余りは1減法 (3n+1)−(3m+1)=3(n−m) ・・・ 余りは0
除法 4÷1=4 ・・・ 余りは0となり、乗法以外成り立たないことが分かる。
(3) 加法、減法については閉じている。
a₀、a₁、a₂とb₀、b₁、b₂がが整数ならば、上の式の係数はすべて整数になるからだにゃ。
乗法、除法については、x×x²=x³、
x÷x²=1/xなどが反例として挙げられ、乗法、除法については閉じていない。
問題2 実数全体の集合において、演算*を次のように定める。この演算は交換法則が成り立つか。また、結合法則は成り立つか。
【解】
交換法則
結合法則
よって、結合法則は、一般に成立しない。
問題3 次の【Ⅰ】、【Ⅱ】が成り立つことを証明せよ。
これを用い次の2重根号をはずせ。
【解】
証明には、因数分解の次の公式を使うにゃ。
p=√a、q=√qとおくと、上の式は
よって、
ということで、
a>0、b>0のとき
a>b>0のとき、
(1) a+b=7、ab=10になるaとbを見つけるにゃ。そうすると、(a,b)=(2,5)または(a,b)=(5,2)になる。
どっち使ってもいいけれど、(a,b)=(2,5)を使うと、となるにゃ。
(2) a+b=15、ab= 50、そして、a>b>0になるaとbを見つけるにゃ。そうすると、a=10、b=5。
だから、となる。
(3) これは
となるので、・・・。
あとは、自分でやるべきだにゃ。
問題4 有理数a、bを用いて、a+b√2と書ける数全体の集合をAとする。次の数がAに属するかどうか判定せよ。
【解】
(1) これは、a=−2/3、b=0だから、Aに属する。
(2) これは、となり、Aに属するにゃ。
(3) これは、難問かもしれない(^^)
√3がAに属するならば、√3=a+b√2となる有理数a、bが存在する。⑨の左辺は有理数だから、⑨が成立するためにはa=0でなければならない。
――a≠0だと、左辺は有理数、右辺は無理数になる!!――
よって、となり、bは無理数になる。
bが有理数という仮定と矛盾するので、√3=a+b√2とあらわせる有理数は存在しない。
よって、√3はAに属さない。
背理法ってやつだにゃ。
√3や√6が無理数であることを使って駄目ということになると、この証明までしなければならなくなる。どこまで既知として使っていいのかわからないにゃ。
(4) これは
となるので、Aに属する。
「⑨が成立するために、a=0でなければならない」としたけれど、これは証明すべきことなのかもしれない。
問題 p、qが有理数で、p+q√3=0であるならば、p=q=0であることを証明せよ。ただし、√3が無理数であることを用いてよい。
【解】q≠0と仮定すると、
左辺は無理数、右辺の有理数になってしまうので、q=0。
q=0をp+q√3=0に代入すると、p=0。
よって、p=q=0である。第0回 数と式 [ネコ騙し数学]
第0回 数と式
実数の性質として次のようなものがあるにゃ。これくらいは知っていないと困るにゃ。
1 演算の基本法則
交換法則 a+b=b+a, ab=ba結合法則 (a+b)+c=a+(b+c), (ab)c=a(bc)
分配法則 a(b+c)=ab+ac2 絶対値
3 平方根の2乗
4 平方根の計算
a>0、b>0のとき
上であげたものの中で要注意なのは3の「平方根の2乗」だケロ。
注意しないと、なんて間違いをするケロ。
何故、これが間違っているかというと、a=−1のとき
となり、
でなくなるにゃ。
⑨が成り立つのは、a≧0の時だにゃ。
問題1 次の関数の値の範囲(値域)を求めよ。
【解(?)】
「こんな問題、相加平均≧相乗平均を使えば、ちょろいケロ!!」と考え、
よって、x=±1のとき、最小で最小値は2。
だから、y≧2!!
お陀仏だにゃ。どこが間違っているか、分かるケロか?
この関数のグラフを書くと次のようになり、最小値は存在しないにゃ。相加平均≧相乗平均の公式は
だにゃ。
aやbが負数のとき、この公式は成り立たない。
だから、相加平均≧相乗平均を使うのであれば、よって、
としなければいけない。
そして、等号が成立するとき、
になるので、
となり、
x=−1のときy=−2、x=1のときy=2となり、・・・
結構、面倒なんだケロ。
前回の問題でx>0という制限が入っていたのは、このため。
で、
とすると、
となり、この関数が奇関数、つまり、原点に関して対称であることが分かるにゃ。
x>0のときは、
は成立するにゃ。
そして、この関数が奇関数、つまり、原点に関して対称であることを使うと、x<0のとき、y≦−2となることが分かる。
問題2 次の式を満足するxの存在する範囲を数直線上に図示せよ。
【解】
(1) x−a≧0のとき、
|x−a|=x−a<2x<a+2
x−a<0のとき|x−a|=−(x−a)=a−x<2
x>a−2
よって、a−2<x<a+2これを図示すると
白丸のところは含まないケロよ。
(2)の答えは、x≦a−2、または、x≧a+2。
この図くらいは自分で書くべきだケロ。ずっと前に「|x−a|は数直線上の点xと点aの2点間の距離だ」という話をしたにゃ。このことを知っていれば、この問題は簡単に解けるはずだにゃ。
まっ、そういうことで。
第18回 分数関数 [ネコ騙し数学]
第18回 分数関数
分数関数の一般形は
だケロ。
なのだけれど、①のままでは分かりづらいので、
と変形するにゃ。
②式は
になるので、
とすると、②は、中学校で習う反比例の関数をx方向にp、y方向にq平行移動したものであることが分かるにゃ。③は
になっているからだにゃ。
ちなみに、②の漸近線はy=qとx=q。
グラフは次のようになる。
こういうのは、抽象的な話をするよりも、具体的な関数を例に取ったほうがわかりやすいにゃ。
というこで、早速、問題を解いてみるケロ。
問題1 次の関数のグラフをかけ。
【解】
(1) 問題の関数を②の形に変形するにゃ。
よって、この関数は
をx方向に3、y方向に2平行移動したもの。
グラフは
(2) x+2=0でないから、(x+2)(y+1)=1の両辺をx+2で割るケロ。
といことで、このグラフは、y=1/xをx軸方向に−2、y軸方向に−1、つ・ま・り、y=1/xを左に2、下に1だけ平行移動したもの。
だから、グラフは次のようになる。
では、次の問題。
問題2 関数
について、
(1) x>0のとき、関数①の最小値を求めよ。
(2) ①、②のグラフをかけ。(3) ①からx²−yx+1=0・・・①’が得られるが、①’が実数の解をもつ必要十分条件を求めよ。
【解】(1) 相加平均≧相乗平均より、x>0のとき、
よって、x=1のとき最小(注)で、最小値は2だケロ。
(2)
このグラフから明らかなように、漸近線はx=0とy=xだにゃ。
(3) 実数解をもつというのだから、判別式≧0だケロ。ということで、
まっ、そういうことだにゃ。
(注)
だけど、x>0という条件があるので、x=1になる。
(3)で使っている手法は、微分を知らない人たち(文系の人)が分数関数の最大値、最小値などを求める時によく使う手法。
たとえば、という関数があるとき、
として、xは実数でないといけないから、この2次方程式の判別式をDとして
だから、yの最小値はx=−1の時で−1/2で、yの最大値はx=1の時で1/2。
何で、y=−1/2のときx=−1になるかは分かるよね。
「何故だろう」と、悩むといけないので、から出てくるにゃ。
これから
y=1/2の時も同様に求めればいいにゃ。
最後に、相加平均≧相乗平均は
第17回 2次関数とのグラフと2次方程式 [ネコ騙し数学]
第17回 2次関数とのグラフと2次方程式
2次関数y=ax²+bx+cと直線y=mx+nがあるとする。このとき、2次関数と直線の間には下図で示すような位置関係、上下関係があるにゃ。
そして、2次関数と直線の交点の数は、2次方程式ax²+bx+c=mx+nの解を判別することによって調べられる。つまり、この2次方程式
の判別式
の値がD>0ならば交点の数は2、D=0ならば交点が一つ、つまり、接点となり、D<0ならば交点は0ということになる。
ということで、早速、問題を解いてみることにする。
問題1 放物線y=x²+axが、次の条件に適するように、定数aの値または範囲を定めよ。
(1) 直線y=x−1と2点で交わる。
(2) 直線y=x−1と接する。
(3) つねに、直線y=x−1の上方にある。
【解】y=x²+axとy=x−1の交点では
になるにゃ。
よって、
となり、この判別式をDとすると
となる。
(1) D>0なので、a<−1またはa>3
(2) D=0なので、a=3、−1
(3) 問題の条件は、すべてのxについてx²+ax>x−1だにゃ。
だから、任意のxに対してが成り立てばいい。これが成り立つ条件はD<0だから、−1<a<3。
2次不等式はやっていないけれど、次の図を見れば、xの2次方程式の解をα、β(α≦β)とし、xの2次の係数が正のとき、
ax²+bx+c>0を満たすxの範囲はx<α、x>βax²+bx+c<0をみたすxの範囲はα<x<β
であることが理解できると思うにゃ。問題2 放物線y=x²−2x+3と直線y=mx+1の共有点の個数を、mのいろいろな値に対して調べよ。
【解】この2次方程式の判別式をDとすると、
になる。
で、2次方程式
を解くにゃ。
このことから、
D>0を満たすとき、つまり、共有点が2個の時のmは、m<−2−√2、m>−2+√2
D=0のとき、つまり、共有点が1個の時はm=−2±√2D<0のとき、共有点がない時は−2−√2<m<−2+√2
退屈の虫が騒ぎ出してきたケロ。
問題3 3x²+2y²=9xのとき、x²+y²の最大、最小値を求めよ。また、その時のxの値を求めよ。
【解(?)】
3x²+2y²=9xだからとなって、x²+y²にこれを代入すると、
このy=f(x)グラフを書くと次のようになる。
よって、x=9/2のとき最大で、最大値は81/8、最小値は無し!!
これは間違っているにゃ。何故か、わかるケロか。
となり、xの取りうる値は0≦x≦3で、頂点は0≦x≦3の範囲にないからだにゃ。
だから、f(x)の定義域は0≦x≦3となり、この区間でf(x)は単調増加。よって、x=0(y=0)のとき最小で最小値は0。そして、x=3(y=0)のとき最大で9になる。
第16回 2次関数の演習2 [ネコ騙し数学]
第16回 2次関数の演習2
これまで2次関数の定義域を実数全体としてきたけれど、定義域が実数の部分集合の場合についてやってみるにゃ。
一般論より問題を解く形で具体的な例をあげた後に説明したほうがわかりやすいと思うので、いきなり問題を解いてみるにゃ。問題1 次の2次関数について、( )内で示した定義域における最大値と最小値を求めよ。
【解】
(1) 2次関数は、何も考えずに、基本変形するケロ。
これから、x=2が軸で、頂点が(−2,5)であることが分かる。
次に、この放物線の概略図を書く。
そうすると、最大値がx=2のときで5、最小値がx=−3のときで、f(−3)=−20であることが分かる。
(2) まずは基本変形だケロ。
よって、軸はx=3で、頂点は(3,17/2)。
概略図を書く。
そうすると、x=−1のとき最小で最小値がf(−1)=1/2、最大がx=3のときで最大値が17/2であることが分かる。
(3) −1<x<1のとき、x²<1だから、|x²−1|=−(x²−1)=1−x²になる。
そして、概略図を書くと次のようになる。(○のところは含まない)
この問題から分かるように、2次関数の最大・最小値の問題は、頂点と定義域の両端が重要なんだケロ。
あえて極論すると、、2次関数の場合、両端におけるyの値と頂点のyの値を比べるだけで、最大値と最小値は分かる(^^ゞ
頂点が定義域内にないとき、両端の値の大小だけで十分なんだにゃ。2次関数y=f(x)=a(x−p)²+qとし、この定義域をα≦x≦βとする。
で、α≦p≦βのとき、つまり、定義域内に放物線の軸x=pがあるとき、a>0ならばx=pのときqが最小値、
a<0ならばx=pのときqが最大値となる。
あとは、f(α)とf(β)の大小で判断する。そして、x=pが定義域に含まれないときは、f(α)とf(β)のうちで小さくないほうが最大値で、大きくないものが最小値だケロ。
2次関数の場合、これだけで判断してもいい。
なのですが、いい加減なものでいいから、とにかく、面倒臭がらずに概略図を書くことだにゃ。
問題2 xの2次関数f(x)=x²+2mx+2m+3がある。
(1) その最小値yはmのどんな関数になるか。
(2) (1)の関数yの最大値を求めよ。
【解】
(1) とにかく、何も考えずに、基本変形!!よって、x=−mで最小で、
(2) とにかく、基本変形!!
よって、m=1のとき最大で、yの最大値は4となる。
もう既に中学数学を逸脱しているのだけれど、中学では2次不等式を習わないから、2次関数や2次方程式の複雑な問題を解けないにゃ。
第15回 2次関数の演習1 [ネコ騙し数学]
第15回 2次関数の演習1
2次関数の一般形は
で、
このことから、
となる。
頂点が(p,q)である2次関数は
で、これはy=ax²をx軸の正の向きにp、y軸の正の向きにq平行移動したもの。軸の方程式はx=pだケロ。
さらに、放物線がx=α、x=βでx軸と交わるとき、
である。
では、問題演習。
問題1 (1) 放物線y=2x²をx軸の方向に−2、y軸の方向に1だけ平行移動してできるグラフの方程式を求めよ。
(2) 放物線y=2x²−5x+1を放物線y=2x²+5x+2に重ねるには、どのように移動させればよいか。【解】
(1) ③にa=2、p=−2、q=1を代入すると
(2) ②より、y=2x²−5x+1の頂点の位置は(5/4,−17/8)、y=2x²+5x+2の頂点の位置は(−5/4,−9/8)。
よって、x方向の移動量=−5/4−(5/4)=−5/2、y方向の移動量=−9/8−(−17/8)=1。問題2 軸がy軸に平行で次の条件を満たす放物線をあらわす2次関数を求めよ。
(1) 3点(1,3)、(3,5)、(−1,9)を通るもの(2) 頂点が(1,3)で、点(2,1)を通るもの
(3) 軸がx=−2で、2点(0,3)、(−1,0)を通るもの(4) x軸と(−1,0)、(2,0)で交わり、点(0,−3)を通るもの
(5) 2点(1,12)、(4,3)をとおり、x軸に接するもの【解】
ただの計算問題なので、ヒントと答えだけ(^^ゞ【ヒント】
(1) y=f(x)=ax²+bx+cとすると、f(1)=3、f(3)=5、f(−1)=9となる。これからa、b、cについての連立方程式が得られる。これを解けばいい。(2) 頂点が(1,3)なのだから、y=f(x)=a(x−1)²+3となり、これが点(2,1)を通るのだから、f(2)=1となり、aの値が求まる。
(3) 軸がx=−2なので、y=f(x)=a(x+2)²+qとなる。これが2点(0,3)、(−1,0)を通るものだから・・・。あるいは、y=ax²+bx+cとして、
この曲線が(0,3)を通るのでc=3となり、y=f(x)=ax²+bx+3となり、f(−1)=a−b+3=0・・・。
(4) x軸とx=α、βで交わるのだからy=a(x−α)(x−β)となる。だから、y=a(x+1)(x−2)で、これが(0,−3)を通るのだから・・・。
(5) x軸に接するのだから、その接点のx座標をpとすると、この放物線はy=a(x−p)²となる。あとは・・・【答】
(1) y=x²−3x+5 (2) y=−2x²+4x+1 (3) y=x²+4x+3
問題3 2次関数y=ax²+bx+cのグラフが(−1,−5)を通る。また、x=2のとき最大で、最大値は4であるという。a、b、cの値を求めよ。
【解】x=2のとき最大で、最大値が4であることより、
である。
これが、(−1,−5)を通るので、
②を使ってa、b、cを求めてもいいけれど、計算が大変だよ。
問題4 2x+y=1のとき、次の関数の最大値、または最小値を求めよ。
(1) xy (2) x²+y²【解】
2x+y=1より、y=1−2xとなる。(1) xyにy=1−2xを代入する。
よって、x=1/4のときxyの最小値は1/8。このときのyの値は
ということで、x=1/4、y=1/2のときに最小で、最小値は1/8である。
(2) x²+y²にy=1−2xを代入する。
よって、x=2/5のときに最小で、最小値は1/5。
この時のyの値を求めると、y=1/5になる。
ということで、x=2/5、y=1/5のとき最小で、最小値は1/5。(1)、(2)とも最大値はないにゃ。
第14回 二次関数の基本変形とそのグラフ [ネコ騙し数学]
第14回 二次関数の基本変形とそのグラフ
前回、y=f(x)という関数をx軸の正の向きにp、y軸の正の向きにqだけ平行移動させると、
になるということを話した。
そして、y=f(x)=ax²という2次関数があれば、
になり、この放物線の(対称)軸はx=pで頂点は(p,q)となる。
では、本題!!
という2次関数があるとする。
これを次のように変形する。
このような変形を二次関数の基本変形と言うにゃ。
結果だけを書くと、
となり、このことから、2次関数y=ax²+bx+cは、軸を、頂点をとする放物線であることが分かる。
そして、これはy=ax²を平行移動したものだケロ。
また、このことから、
a>0のときで最小となり、最小値がとなる。
何故ならば、だから、すべてのxについて
となるからだにゃ。
同様に、
a<0のとき、で最大となり、最大値はとなる。
抽象的な話だと分かりづらいと思うので、次の問題を解いてみるにゃ。
問題 次の2次関数の頂点の座標と軸の方程式を求め、グラフをかけ。
【解】
(1) y=x²−3x+2を基本変形するケロ。
a=1、b=−3、c=2として①を使ってもいいけれど、公式なんて覚えるもんじゃないにゃ。
(2) y=x²+2x+1=(x+1)²だから、頂点は(−1,0)で軸の方程式はx=−1となる。
(3) y=−2x²−4x+1を基本変形する。
よって、頂点は(−1,3)で軸の方程式はx=−1である。
このグラフを見ると、a>0のときに軸のところで最小値に、そして、a<0のとき軸のところで最大値になることがわかると思うにゃ。
これは、基本変形すると、y=(x−2)²+1になるので、頂点は(2,1)だにゃ。そして、y≧1だから、x軸(y=0)と交わることはない。
これは何を意味しているかというと、
を満たす実数xは存在しないということ。x軸、つまり、y=0とy=x²−4x+5と交わらないからね〜。
このことは、上の2次方程式の判別式を計算してみれば分かる。
となり、この2次方程式を満たすxは虚根で、実根ではない。
判別式が出たので、
をじっと見つめるにゃ。
だから、①式は次のように書き換えることができる。
a>0のとき、で最小で、最小値はだケロ。
だから、D>0のとき、最小値はマイナスとなり、必ずこの曲線はx軸と2点で交わる。D=0のときは、最小値は0となり、この曲線はでx軸と接する。そして、重根になる。
D<0のとき、最小値はプラスだから、x軸と曲線が交わることは絶対にない。そして、この時、xの値に限らず、y>0となる。a<0のときは、グラフをひっくり返せばいいケロ(^^ゞ
ということで、結果をまとめると次のようになる。
2次関数y=ax²+bx+c
(1) 基本変形
(2) 軸の方程式と頂点
(3) 最大・最小
(4) x軸との共有点
判別式をD=b²−4acとすると、D>0ならば共有点(交点)は2つ。D=0のとき共有点(接点)は1つ。D<0のと共有点は無し。a>0のとき、D<0ならば恒等的にy=ax²+bx+c>0である。これの逆、a>0のとき、恒等的にy=ax²+bx+c>0であるならばD<0も成り立つ。
まとめとして書いてあるけれど、(4)以外は絶対に覚えてはいけないにゃ。死んでも覚えてはいけない。
頭の中、または、紙の上でx軸とy軸をかいて、放物線をえがく。そして、頂点を動かして、頂点とx軸との位置関係を考えれば、(1)〜(4)はすぐに出てくるにゃ。
だから、絶対に覚えてはいけない。
何で覚えてはいけないかって?
覚えると忘れるからだにゃ。覚えなければ、絶対に忘れることはない!!
第13回 平面上の点の移動 [ネコ騙し数学]
第13回 平面上の点の移動
「急がば回れ」という言葉があるので、今回は、点の移動についてやるにゃ。
§ 平面上の点の移動
xy座標平面上に点A(x,y)があるとする。x軸、y軸に関して対称、さらに、原点OについてAと対称な点は、図から分かるように次のようになる。
(ⅰ) x軸について対称 (x,−y)
(ⅱ) y軸について対称 (−x,y)(ⅲ) 原点について対称 (−x,−y)
そして、点Aを(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)の点に対応させれば写像となり、その写像をφとすれば(1) x軸について対称移動 φ:(x,y)→(x,−y)
(2) y軸について対称移動 φ:(x,y)→(−x,y)(3) 原点について対称移動 φ:(x,y)→(−x,−y)
となる。さらに、点A(x,y)をを平行移動させれば、
(4) 平行移動 φ:(x,y)→(x+α,y+β)となる。
今回、こんなことをやりたいわけじゃないにゃ。やりたいのは、平行移動によって関数の像がどう変わるかだにゃ。
今、仮にy=f(x)という関数があるとする。そして、この平面上の点A(x,y)をx軸方向にα、y軸方向にβだけ移動させ、A’(x’,y’)になったとする。この時、(x,y)と(x’,y’)の間には(4)次のような関係がある。
では、これによってy=f(x)の像はどうなるか。⑨をxとyについて解けば、
になるので、これをy=f(x)に放り込む。
そうすると、
となる。
このままだと見た目が悪いので、x’、y’をx,yに直すと、となるにゃ。
たとえば、原点を通る傾きmの直線をy=f(x)=mxとし、これを(α,β)だけ平行移動させれば、
となる。
この式、②は見覚えがないケロか? そうだケロ、これは点(α,β)を通る傾きがmの直線の方程式だケロ。ということで、y=mx上の点をすべて、x軸に沿ってα、y軸に沿ってβだけ移動させたものと考えることもできるというわけ。
じゃぁ〜、中学で習う2次関数y=f(x)=ax²は、この平行移動によってどうなるか。
になる。
たとえば、y=f(x)=x²、α=1、β=−2とすると、
となる。
y=f(x)=x²の対称軸はx=0で頂点は(0,0)で、y=g(x)=(x−1)²−2=x²−2x−1の対称軸はx=1、頂点は(1,−2)になっているので、y=x²を(1、−2)平行移動させた曲線になっていそうだ(^^)
突然、何でこんなことを言い出したいかというと、
という2次関数を、次回、取り上げたいんだにゃ。
そして、このためには、どうしてもこの知識が必要になるので、こういう話をしたというわけ。
②を、次のような形に変形したいんだケロ。
この変形の仕方を次回、やるにゃ。
実は、この変形の仕方は、すでに2次方程式の解の公式のところの平方完成で出ているのだけれど・・・。
ところで、f(x)=a/xとし、これを(p,q)だけ平行移動させると、
になる。
第12回 二次方程式の判別式と解と係数の関係 [ネコ騙し数学]
第12回 二次方程式の判別式と解と係数の関係
§ 二次方程式の判別式
二次方程式
の解は、
である。
②より根号√の中が負になると二次方程式の解は複素数になるので、二次方程式①が実数解(実根)をもつためにはがD≧0でなければならない。
また、判別式D=0のとき、二次方程式の解はただひとつで、その値は
となる。
ということで、③で二次方程式の解を判別できる。この③をD=b²−4acのことを二次方程式の判別式という。
そして、この判別式を用いると、二次方程式①の解は次のように判別できる。(ⅰ) D>0⇔相異なる2実根
(ⅱ) D=0⇔ 重根・重(複)解 (一つの実根・実数解)(ⅲ) D<0⇔ 相異なる2虚根
これを踏まえて、問題。
問題1 次の二次方程式の解の判別せよ。ただし、文字はすべて実数とする。
【解】
(1) a=2、b=−3、c=2として、判別式の値を計算する。
よって、相異なる2虚根。
(2) a=2、b=p、c=−2
よって、相異なる2実根。
(3) a=9、b=−12m、c=4m²
よって、重根。
(3)は、
判別式を使うまでもなく、重根であることは分かる。
問題2 方程式
が重根をもつようにaの値を定めよ。
【解】
二次方程式の根が重根なので、判別式D=0である。よって、
§ 二次方程式の解と係数の関係
二次方程式
の解は
になる。
二次方程式の解をα、βとし、
とする。
このとき、
となり、
になる。
つまり、解と係数には次のような関係がある。
この関係を、二次方程式の解と係数の関係という。
④は、こうやって導いてもいいケロ。
ax²−bx+c=0の解がx=α、βであるならば、
この係数を比較すると、
になるので、④になる。
では、問題を。
問題2 次の方程式の一つの根が−2であるとき、他の根およびaの値を求めよ。
【解】
もうひとつの根をβとすると、解と係数の関係より
になる。
よって、βは②より
①よりaは
もちろん、x=−2として、これを方程式に代入し
として、
を解いてもいい。
問題3 2x²+6−3=0の2根をα、βとするとき、次の値を求めよ。
【解】
解と係数の関係より、
(1)は(α+1)(β+1)を展開すると
(2)は
問題4 次の2数を根にもつ2次方程式を求めよ。
(1) 4,−3 (2) 3±√2
【答】(1) x²−x−12=0 (2) x²−3x+7=0
(ヒント)2次方程式の2次の係数を1とし、解をα、βとすると、求めるべき方程式は