第1回 三角比1 [ネコ騙し数学]
第1回 三角比1
これまで、三角関数についての話はしてきたけれど、三角関数のベースになる三角比についてはやって来なかったので、今回、その話をすることにするにゃ。
下に示すような、∠C=90°、AB=c、BC=a、CA=bの直角三角形があるとする。
このとき、三角比は次のように定義される。
△ABCは∠C=90°の直角三角形なので、三平方の定理(ピタゴラスの定理)が成立する。
c≠0なので、上の式の両辺をc²で割ると、
となり、①を使うと、
この導出過程を見れば明らかなように、②は三平方の定理⑨と同等で、三平方の定理を三角比で書き直したものである。
②を辺の長さであらわし直せば、になり、この両辺にc³をかければ、a²+b²=c²になることから、このことがわかると思う。
また、
が成立する。
さらに、cosA≠0のとき、②の両辺をcos²Aで割ると、
になり、上の式に③の関係を用いると、
ということで、早速問題を解いてみることにする。
問題1 cosA=0.8のとき、sinA、tanAの値を求めよ。
【解】sinAとcosAの間には、
という関係がある。
よって、
よって、
小数のままだと気づきにくいと思うのだけれど、これは、中学校で習った、辺の長さの比、a:b:c=3:4:5の直角三角形なんだケロ。
で、ピタゴラス数というやつだにゃ。
ちなみに、tanAは④を使っても求まるケロ。
今やっているのは、三角関数ではなく、(直角三角形の)三角比だケロ。これは直角三角形の辺の長さの比だから、三角関数とは違って、0や負の値になることはないにゃ。正の値しかとりえないにゃ。
さらに、もう一問。
問題2 次の等式を証明せよ。
【解】
ところで、直角三角形△ABCを次のように置くにゃ。
そうすると、
になる。
また、A+B=90°だから、B=90°−Aとなり、
という関係が出てくるにゃ。
あと、三角比で知っておくことは、
そして、
だにゃ。
A=45°のとき、直角三角形ABCは直角二等辺三角形になるのだから、
よって、
30°の場合は、一辺の長さがaの正三角形ABCの頂点AからBCに垂線をおろし、BCとの交点をHとする。
となり、
cos30°は、三平方の定理を使ってAHを求めてもいいし、
として求めてもよい。
要するに、
だけ覚えておけば、あとは、三平方の定理、または、
などから、cosAとtanAの値は求められってわけだ。
ちなみに、三角比の覚え方としては、次のものがあります。これで覚えるのが一番てっとり早くて安全です。。
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