第1回 タイトル未定 [ネコ騙し数学]
第1回 タイトル未定
これからやる初等幾何の内容は、公理に基づく幾何学です。また、直線や円、さらに中点や中線といった中学で習う数学、幾何の用語を知っていることを前提として議論を展開します。
ネムネコは、初等幾何をよく知らないし、まして、公理に基づく初等幾何、ユークリッド幾何学なんて知らない。中学の時に習っただけなので、結構、いい加減なものになると思うけれど。
第1回と第2回は、あくまで試案で、内容が追加されたり、変わったりすることがあると思う。
§0 用語の説明
公理と定理
すべての証明の出発点として、いくつかのそれ自身は証明せずに正しいものと認め、他のことがらを推論する基礎となるものを公理という。また、公理をもとにして正しいことが証明されたものを定理という。定義と無定義用語
用語や記号などの意味を明確に定めた文章を定義という。点や直線などは定義しないで無定義用語として、そのまま用いる。合同の定義
2つの図形があって、一方を移動したり、裏返したりして、ちょうど他方に重ね合わすことができるとき、この2つの図形は合同であるという。平行線の定義
同一平面上にある2直線が共有点を持たないとき、この2直線は平行であるという。
§1 平面幾何の公理
平面幾何の公理には、次のようなものがある。(Ⅰ) 結合の公理 2点を通る直線はただ1つである(Ⅱ) 運動の公理 図形は、その形や大きさを変えないで、移動したり、裏返したりすることができる
(Ⅲ) 平行線の公理 直線外の1点を通り、この直線に平行な直線はただ1つである
さらに、次の公理を加えたりするにゃ。
(Ⅳ) 間と分割の公理① 1直線上の異なる3点、A、B、Cについて、次のいずれかが成り立つ。
(ア) BがC、Aの間にある(イ) BがACの間にない
② 1直線上にない異なる3点、A、B、Cと、これらの点を通らない直線lについて、次の関係のうちただ一つが成り立つ。(ア) lは三角形ABCの2辺と交わる
(イ) lは三角形ABCのどの2辺とも交わらない
(Ⅳ)の間と分割の公理のかわりに、次のパッシュの公理を採用するものもある。
パッシュの公理
平面上の1直線は、この平面を2つの側に分け、同じ側の2点を結ぶ線分上の点はすべて同じ側にあり、異なる側の2点を結ぶ線分はもとの直線と交わる
さらに、次のようなものなどを公理として採用し、出発点とする。
(1) a=a
(2) a=bならばb=a(3) a=b、b=cならば、a=c
(4) a-b、c=dならば、a+c=b+d、a−c=b−d§2 直線の角度と対頂角
直線の角度は、2直角、180°である、と定義するにゃ。定理1
「対頂角α、βは等しい」【証明】
α+γ=180°
β+γ=180°
よって、α+γ=β+γ
∴α=β§3 平行線と角
定理2
2つの直線に1つの直線が交わってできる1組の錯角が等しいとき、はじめの2直線は平行である。【証明」
2直線にa、bに他の直線cが交わってできる錯角をα、βとし、aとbが平行でないと仮定する。この図形をABの中点Oのまわりに回転し、点Aが点Bの位置に、点Bが点Aの位置にくるようにすると、ABとBAが重なる。
点Pの移った点をP’とすれば、点Pと点P'は相異なる2点となる。
異なる2点を通る直線が2本あることになり、結合の公理に反する。よって、直線aと直線bは平行である。
(証明終わり)
証明のために使っている直線(?)は直線だろうか・・・。
――直線が、そもそも、定義されていない!! しかも、ありえないものを証明するのだから・・・――
定理3
平行な2直線が他の直線と交わってできる錯角は等しい。【証明】
平行な2直線をa、bとし、この2直線に交わる直線をcとする。aとc、bとcが交わってできる錯角をそれぞれα、βとする。
α≠βと仮定する。
点Bを通り、cと角αになる直線b'をひく。定理2より、aとb'は平行になり、点Bを通りaに平行な直線が2本存在することになり、不合理。
よって、α=βである。この定理1、2、3から、次の定理が得られるにゃ。
定理4 2つの直線が1つの直線と交わってできる同位角は等しいならば、この直線は平行である。また、平行線に1つの直線が交わるとき、同位角は等しい。中学校で習った「平行線の錯角(同位角)は等しい、錯角(同位角)が等しければ2直線は平行である」という平行線の性質が証明されたということになる。
§4 三角形と角
この定理3を使うと、三角形の内角の和が2直角、180°であることが次のように証明される。
定理5(三角形の内角定理)
三角形の内角の和は2直角である。【証明】
頂点Aを通り、BCに平行な直線をひく。
定理3よりβ=β'、α=α’。
また、α+β'+γ’=2直角=180°よって、
α+β+γ=2直角=180°(証明終わり)
さらに、定理4を用いると、次の三角形の外角定理が証明される。
定理6(三角形の外角定理)【証明】
頂点CをとおりABに平行な直線をひく。
定理3よりα=α’、定理4よりβ=β’
よって、α+β=α’+β’
(証明終わり)問題1
定理6を用いて定理5「三角形の内角の和は2直角である」を証明せよ。
例題1
下図のx°を求めよ。【解】
直線lとmに平行な直線を次のように引けば、x=α+βになることが分かるにゃ。
だから、求める角度x°=45°+30°=75°
問題2 下の図で、lとmが平行である。∠xの大きさを求めよ。
【ヒント】 平行線を2本引け!!
問題3 下の図で、BP、CPはそれぞれ、∠ABC、∠ACBの二等分線である。∠A=64°のとき、∠BPCは何度か。
【答】 この図を書いたお絵描きソフトによると、122°。
問題4 次の定理を証明せよ。
定理「平行な2直線の一方と交わる直線は他方にも交わる」
【証明】平行な2直線をa、bとし、直線cがaの交点をAとする。
cがbと交わらないと仮定する。cとbは交わらないので、cとbは平行。
であるとすると、点Aを通るbに平行な直線が2本引けることになり、平行線の公理に反し、不合理。よって、
「平行な2直線の一方と交わる直線は他方にも交わる」(証明終わり)
問題5 次の定理を証明せよ。
定理「異なる2直線が共有点をもつとき、共有点は1つである。」
【証明】2直線a、bが2点A、Bを共有点をもつと仮定する。
結合の定理より、2点A、Bを通る直線は1つだけであり、a、bは同一の直線となって、「異なる2直線」に反し、不合理である。よって、
「異なる2直線が共有点をもつとき、共有点は1つである。」(証明終わり)
証明に使っている図がおかしいって。
「これは直線じゃない」って。
直線は無定義用語だケロ。「真っ直ぐな線だ」、「曲がっていない線だ」なんてヒトコトも言っていないにゃ。