SSブログ

第3回 平行四辺形の性質 [ネコ騙し数学]

第3回 平行四辺形の性質



平行四辺形の定義

平行四辺形とは、2組の対辺がそれぞれ平行である四角形である。

定理8 平行四辺形になる条件

(1) 2組の対辺がそれぞれ平行(定義)

(2) 2組の対辺がそれぞれ等しい

(3) 2組の対角がそれぞれ等しい

(4) 1組の対辺が平行でかつ長さが等しい

(5) 対角線が互いに他を2等分する

shotou-03-01.jpg

【証明】

(1)⇒(2)

ABDと△CDBに注目。

ABDCは平行なので、∠ABD=∠CDB(錯角相等)。

ADBC平行なので、∠BDA=∠BDC(錯角相等)。

BDは共通。

よって、一辺の長さと両端の角相等より△ABD≡△DCB

したがって、AB=CDAD=BC

(2)⇒(3)
shotou-03-03.jpg

ABCと△CDAに注目。

ABCD

BCDA

BDは共通。

三辺相等より△ABC≡△CDA

よって、∠ABC=∠CDA

同様に、△ABD≡△CDB

よって、∠DAB=∠BCD


(3)⇒(4)

shotou-03-04.jpg

四角形の内角の和が4直角、360°であるから、

条件より、

2(∠A+∠B)=360°

よって、∠A+∠B=180°

2点ABを通る直線を引くと、∠A+∠DAX=180°

よって、∠B=∠DAXとなり、同位角が等しいので、

ADBCは平行 ①

ABDと△CDBに注目。

ADBCは平行なので、

ABD=∠CBD (錯角)

また、∠A=∠Cなので

BDA=∠DBC

BDは共通なので、

ABD≡△CBD

よって、

AD=BC ②

①と②より、ADBCは平行でかつAD=BC


(4)⇒(5)

shotou-03-05.jpg

ADBCは平行でかつ長さが同じと仮定する。

ADBCは平行なので、∠DAC=∠BCE、∠EDA=∠EBC

また、DABD

よって

AED≡△CEB

ゆえに、AEECBEED

よって、対角線を互いに他を2等分する。

(5)⇒(1)

対角線の交点をEとする。

条件よりAE=ECBE=EC

また、∠BEA=∠DEC

よって、△BEA≡△DEC

したがって、

ABE=∠CDE

∴ ABDCは平行

同様に、△EDA≡△EBC

DEA=∠BCE

∴ ADBCは平行

(証明終わり)

このことから、(1)〜(5)は同値の命題であることがわかり、どれを平行四辺形の定義に使ってもいいことになる。


四角形の内角の和が4直角、360°であることは、四角形ABCDに対して対角線ACを引けば、四角形ABCDが△ABCと△CDAに分割されることから、ほとんど、明らかでしょう。


問題1

平行四辺形ABCDで、辺ADBCの中点をそれぞれEFとし、AFCEを結ぶとき、平行四辺形AFCEは平行四辺形であることを証明せよ。
【証明】

shotou-03-06.jpg

ADBCは平行。よって、AEFCは平行。

平行四辺形なので、AD=BC

EADの中点、FBCの中点だから、

  

AEFCは平行で、かつ、AE=FCなので、定理8の(4)より

四角形AFCEは平行四辺形である。

(証明終わり)

これは、あくまで、証明の一例にすぎないケロ。次のような証明法もあるし、他にもあるケロ。


shotou-03-07.jpg

ADBCは平行なので、∠FEA=∠EFC(錯角)。

条件よりAE=FCFEは共通。

よって、2辺挟角相等より

AFE≡△CEF

したがって、∠AFE=∠CEF

よって、

AFECは平行。

2組の対辺がそれぞれ平行なので、四角形AFCEは平行四辺形である。

 


問題2 図のように、△ABCの辺AB上の点PからACに平行に引いた直線と、∠BACの二等分線との交点をQとする。また、PからQCに引いた直線と辺ACとの交点をRとする。

このとき、AP=RCであることを証明せよ。


shotou-03-08.jpg

【解】
PQ
ACは平行なので、

CAQ=∠PQA (錯角)

また、∠BACの二等分線なので

QAP=∠CAQ=∠PQA

よって、△PQAPを頂点とする二等辺三角形。

したがって、

AP=PQ

四角形PQCRは平行四辺形なので
RC=PQ=AP

(証明終わり)


タグ:初等幾何

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。