第4回 長方形、ひし形、正方形 [ネコ騙し数学]
第4回 長方形、ひし形、正方形
§1 長方形
長方形の定義 4つの角が全て等しい四角形定義から、
∠A=∠B=∠C=∠D=∠R=90°
であることが分かる。また、
∠A=∠C、 ∠B=∠D
なので、長方形は平行四辺形であり、
さらに対角線が互いに他を2等分することがわかる。
△ABD、△DCBに注目すると、
AB=DC
BCは共通、
さらに
∠B=∠C=∠R
だから、
△ABC≡△DCB
よって、
CA=BD
である。
対角線の長さが等しく、さらに、対角線が互いに他を2等分することから、対角線の交点をEとすると、AE=BE=CE=DEである。つまり、対角線の交点と長方形の各頂点までの距離は等しい。
また、△ABCは直角三角形だから、直角三角形に関して次の定理が成立することが分かる。
定理
直角三角形ABC(∠A=90°)において、角Aを通る中線をAMとすると、(1) AM=BM=MC
(2) ∠B=∠BAM、∠C=∠CAMAMの延長線上にAM=MDとなるような点Dをとれば直角三角形になる。
そして、上の議論から(1)は明らかだにゃ。(2)に関しては、MA=MBだから、△MBAは二等辺三角形。よって、∠B=∠BAMになる。同様に、∠C=∠CAM。
さらに定理を追加。
定理
△ABCの中線AMがBCの半分に等しいならば、∠A=90°である。【証明】
条件より△MBAはMB=MAの二等辺三角形。
よって、∠MAB=∠MBA=α
外角定理より、∠AMC=∠MAB+∠MBA=2α
同様に、∠MAC=∠MCA=β
∠AMB=2β点B、M、Cは同一線上にあるので
∠AMC+∠AMB=2α+2β=180°よって、
∠A=α+β=90°(証明終わり)
§2 ひし形
ひし形の定義 4辺の長さが等しい四角形。
4辺が等しいので、対辺AB=CD、BC=DA、よって、ひし形は平行四辺形。
だから、対角線を互いに2等分する。対角線の交点をEとすると、AB=AD、BE=DE、AEは共通なので、△ABE≡△ADEとなる。
よって、∠AEB=∠AED
また、∠AEB+∠AED=180°
よって、∠AEB=∠AED=90°となり、対角線が直交することが分かる。
つまり、ひし形は
(2) 2つの対角線は互いに他を垂直2等分する
という性質を持っている。
また、(1)と(2)が同値なのはほとんど明らかだにゃ。
§3 正方形
正方形の定義 4頂角、4つの辺の長さが全て等しい四角形。
正方形は、「長方形」、かつ、「ひし形」なので、長方形とひし形の性質を持っているにゃ。
だから、正方形は、2つの対角線は相等しく、互いに他を垂直2等分する。
ということで、問題を一つ。
問題 平行四辺形ABCDにおいて、AD=2ABのとき、辺CDを両側に延長してその上に、点E、FをCE=CD=DFとなるようにとると、2直線AEとBFは直交する。
§4 平行四辺形の面積と三角形の面積
長方形の面積を定義する前に、次のことを、公理として認めてもらうことにするにゃ。
1 合同な図形の面積は等しい2 多角形を2つの多角形に分割すると、もとの多角形の面積は分割して得られた2つの多角形の面積の和である
そして、長方形の面積を縦×横で定義する。
次のような長方形ABCDがあるとき、その面積SはAB×CDになる。
つぎに、A'BC'Dという平行四辺形の面積を考える。
このとき、△ABA’≡△DCD'
なので、△DCD'を平行移動させれば、長方形ABCDになる。よって、平行四辺形の面積もAB×CDである。
定理 平行四辺形の面積は「底辺×高さ」である。
系 三角形の面積は「底辺×高さ÷2」である。
△ABCをもとに、次のように平行四辺形ABCDを作るにゃ。
△ABC≡△DCAだから、平行四辺形の面積は△ABCの2倍でBC×h=ahになるケロ。よって、△ABCの面積はah/2で、「底辺×高さ÷2」になっている。
この系を使えば、ひし形の面積Sは
となり、つまり、2つの対角線の長さを掛けあわせたものを2で割ったものになる。