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第7回 中点連結定理の続きと共線 [ネコ騙し数学]

第7回 中点連結定理の続きと共線


ネムネコの持っている高校生向けの受験参考書に次のような定理が出ている。


定理A

の台形ABCDにおいて、辺ABCDの中点をMNとすると、
  


定理B

の台形ABCDにおいて、辺ABの中点をとおり、底辺BCに平行な直線は、対辺の中点Nを通る。

theorem-daikei.jpg

前回やった中点連結定理、中点連結定理2の台形バージョンというべき定理。

証明自体は、ACに対角線一本を引けば、簡単に(?)証明できる。


定理Aの証明

theorem-daikei-02.jpg

AC
の中点Lをとる。

ABCに注目すると、中点連結定理より、

  

となる。

ACDに注目すると、中点連結定理より

  

①、③より、MLNは同一線上に存在し、

  

②、④より

  

(証明終わり)

 


①、③から下線を引いた、MLNが同一線上に存在するということがポイントなんだケロ。

ひょっとしたら、こうかもしれないから。


theorem-daikei-03.jpg

今、求めたものは青い線で示されるMLLNで、台形のABCDの中点MNを結んだ直線と違うかもしれない。

だから、アンダーラインを引いた部分、MLNが同一線上であるという部分は、この証明において必要なんだケロ。

そして、このことは①と③から保証される。


共線

③つ以上の点が同一線上にあるとき、これらの点は共線であるといい、これらの点を共線点という。

MLNが共線点であることを証明しないといけない。

この場合は、
平行線の公理

直線外の1点をとおり、直線に平行な直線はただ1つである

によって共線であるとこと、共線点であることが保証される。

何故ならば、

線分ML、線分LNは、点Lを通、BCAD)に平行な直線上にあるから。

もし、MLLNが同一直線上になければ、MLを延長した直線と、LNを延長した直線はLを通るBCに平行な直線となり、Lを通りBCに平行な直線が2本あることになり、平行線の公理に反してしまう。だから、共線である。


ほとんど明らかだけれど、うるさいことを言うと、共線であることを証明しないといけない、もしくは、明言しないといけない。


中学、高校の初等幾何の教科書を持っていないので、ハッキリしたことは言えないのだけれど、このあたりは視覚に頼っているようで、結構、いい加減なようだ。


そして、次のような問題が出ると、パニクる(^^


問題

台形ABCDの平行でない2辺、ABCDの中点をそれぞれPQABCDの中点をそれぞれ、RSとするとき、次の問題に答えよ。

shotu-06-08.jpg

(1) PSRQは同一線上にあることを示せ。

(2) 次のことを証明せよ。

  

【解】

(1) △ABCに注目。中点連結定理より、

  

同様に、△ABD

  

DBC

  

ACD

  

よって、PSRQは同一線上にある。

(2) 記号ADBCを説明すると、これは

  ADBC=|AD−BC|

のことで、AD>BCのときは

  ADBC=AD−BC

で、AD≦BCのとき

  ADBC=BC−AD

になる。

この問題の場合、ABDCは平行でないのでAB≠DCとなり、AD>BCAD<BCで場合分けしないといけないのだけれど、図のようにBC>ADの場合だけを証明するにゃ。
ABCに注目。中点連結定理より

  

ABDに注目すると

  

よって、

  


まっ、そういうことで。


タグ:初等幾何

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