第17回 三平方の定理(ピタゴラスの定理) [ネコ騙し数学]
第17回 三平方の定理(ピタゴラスの定理)
§1 三平方の定理
定理 三平方の定理(ピタゴラスの定理)
△ABCにおいて∠C=∠Rならばである。
逆も成り立つ。
【証明】
この図が証明。
一辺(b+c)の正方形の面積=4×直角三角形ABCの面積+一辺cの正方形の面積
(逆の証明)
B'C'=a、A'C'=b、∠C'=∠Rである△A'B'C'を考える。直角三角形なので一方、仮定より△ABCでは
①、②より
c'>0、c>0なので、c'=c。
よって、
△ABC≡△A'B'C' (三辺相等)したがって、
∠C=∠C'=∠Rとなり、c²=a²+b²ならば∠C=90°の直角三角形である。
(証明終わり)三平方の定理の逆の証明では、「同一法」と呼ばれる証明法を用いている。
同一法とは、
「pならばq」が真で、かつ、qを満たすものがただ一つならば、「pならばq」の逆命題「qならばp」が成立する
ということを用いて、逆命題を証明する数学の証明法。
三平方の定理の簡単な証明としては、この他に以下のようなものがあります。
点CからABに垂線をおろし、交点をそのDとする。
△ABC∽△ACDだから
また、△ABC∽△CBDだから
よって、
【略証終わり】
あるいは、面積比は相似比の2乗を使って
そして、△ABC=△ACD+△CBDだから
と証明してもいいケロ。
中学校の教科書に載っている三平方の定理の証明は難しいので、あの証明は駄目だケロ。
では、問題を。
問題1 2辺が6、8である直角三角形は2通りある。それぞれの3辺で残りの辺の長さを求めよ。
【解】2辺が直角を挟み、残りの1辺が直角三角形の斜辺である場合と、そうでない場合の2通りがある。
直角三角形の斜辺である場合、そうでない場合、このとき、c=8になるので、残りの辺の長さxとすると
となる。
問題2 直角三角形ABCで、斜辺BCの中点をMとするとき、線分AMの長さをもとめよ。
【解】
直角三角形なので、AM=BM=MC。x=AMとすると、BC=2xになるので、三平方の定理より
問題3 四角形ABCDで、対角線が直交するとき、
であることを証明せよ。
【解】
直角三角形PABで同様に、
よって、
§2 三平方の定理の平面図形への応用
(1) 座標平面上の2点間の距離座標平面上にある2点A(x₁,y₁)、B(x₂,y₂)の距離ABは
となる。
これは、これまでに何度も使ってきたけれど、三平方の定理を使って、このように求められる。
問題4 3点A(2,6)、B(−4,2)、C(0,−4)を頂点とする三角形はどのような三角形か。また、その面積を求めよ。
【解】
よって、
となり、∠Bが直角の直角二等辺三角形。
面積Sは
(解答終わり)
問題4では
が成立するので、∠B=∠Rの直角三角形。さらに、AB=BC=2√13だから二等辺三角形。このことから∠C=90°、∠A=∠B=45°の直角二等辺三角形であることがわかる。
(2) 直交する直線の傾きの積mm'=−1
y=mx+nとy=m'x+n'という2直線があるとする。この2直線が直交するならば傾きの積mm'=−1であり、傾きの積がmm'=−1ならば直交する。このことは、中学や高校で習ったと思う。そして、これは三平方の定理を使って簡単に証明することができる。
傾きだけの問題なので、l:y=mx、l':y=m'xとしても一般性は失われないので、議論を簡単にするために、この場合で考えることにする。
――lとl'との交点が原点Oに一致するように、lとl'を平行移動させたと考えてもいい――
よって、三平方の定理が成り立ち