第18回 中線定理 [ネコ騙し数学]
第18回 中線定理
§1 中線定理
中線定理は三角関数のところで証明していますが、三平方定理を用いて新たに証明することにします。
中線定理(ハップスの定理)
△ABCの辺BCの中点をMとすれば【証明】
AからBCに垂線をおろし、交点をHとする。
△ABHは直角三角形なので
△AHCも直角三角形
①と②を足すと、
△AMHも直角三角形
よって、
鈍角三角形の場合(∠C>90°)
図のように、BCの延長線上にAからおろし、その交点をHとする。△ABHは直角三角形
△ACHも直角三角形
よって、
△AMHも直角三角形
よって、
(証明終わり)
なお、次のような直角三角形のとき、中線定理(ハップスの定理)は三平方の定理になる。
なので
となる。
ちなみに、他の幾何の定理がそうであるように、逆も成り立つにゃ。
中線定理をさらに一般にしたスチュワートの定理がある。
スチュワートの定理
三角形ABCと辺BC上の点Pに対して
§2 問題
問題1 Aが直頂角の直角三角形ABCにおいて、辺AB、辺ACにそれぞれD、Eをとれば、
であることを証明せよ。
【解】
もういいでしょう。
問題2 二等辺三角形ABCの底辺BC上の1点をDとすれば、次の等式が成り立つことを証明せよ。
【解】
底辺の中点MとAを結び、その交点をMとする。
△ABCは二等辺三角形なのでAM⊥BC
DはBM上にあるとする。△ABMと△ADMは直角三角形なので三平方の定理が成り立ち、
よって、
また、
よって、
DがMC上にあるときも同様。
(証明終わり)
問題3 四角形ABCDの辺AR、BC、CD、DAの中点をそれぞれP、Q、R、Sとするとき、
であることを証明せよ。
【証明】
四角形PQRSの対角線の交点をOとする。中点連結定理より、
故に、四角形PQRSは平行四辺形。
また、同様に中線連結定理から
平行四辺形なので、対角線は互いを2等分する。
△QRPに対して中線定理を使うと
また、
だから、
①と②より
(証明終わり)
タグ:初等幾何