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第19回 三角形の角と辺の大小 [ネコ騙し数学]

第19回 三角形の角と辺の大小


§1 三角形の辺と角の大小


定理A

三角形において

(1) 大きい辺に対する角は小さな辺に対する角よりも大きい。

(2) 大きい角に対する辺は小さな角に対する辺よりも大きい。

【証明】

(1)  AB>ACとする。

AB>ACなので、AB上にAD=ACである点Dを取ることができる。

hen-kaku-01.jpg

AB=ACなので、△ADCは二等辺三角形。

よって、
∠ADC=∠ACD

したがって、

  

よって、AB>ACならば、∠C>∠Bである。

(証明終わり)


(2) ∠C>∠Bとすると、AB上に∠ECA=∠Bとなる点Eを取ることができる。

さらに、∠BCEの二等分線とABの交点をFとする。


hen-kaku-02.jpg

このとき、

  ∠AFC=∠FCA (※)

で、△AFCは二等辺三角形。

よって、

  AB>AF=AC

(証明終わり)


(※)外角定理より、∠AFC=∠B+∠BCF

  ∠FCA=∠EFC+∠FCE=∠B+∠BCF

  ∴ ∠AFC=∠FCA


(2)で背理法を使うならば・・・。

C>∠BのときAC≧ABであるとする。

AC=ABのとき、二等辺三角形なので∠C=∠Bとなり矛盾。

AC>ABのとき、(1)より∠B>∠Cとなり矛盾。

よって、∠C>∠BならばAB>ACである。



問題1 △ABCの∠Aの2等分線がBCと交わる点をDとすると、

  AB>BDAC>CD

であることを証明せよ。

henkaku-04.jpg

【解】

三角形の外角定理より

  ∠BDA=∠C+∠CACD=∠C+∠DAB>∠DAB

ABDに注目すると、∠DABの対辺はBDで、∠BDAの対辺はABだから、定理Aより

  AB>BD

である。

また、

  ∠ADC=∠B+∠DAB=∠B+∠CAB>∠CAB

ADCに注目すると、同様に

  AC>DC

である。


問題2 

ABCにおいて、AB>ACのとき、∠B、∠Cの2等分線の交点をPとするとき、PB>PCであることを証明せよ。

henkaku-06.jpg

【証明】

  

AB>ACより∠C>∠B

よって、

  

(証明終わり)

§2 2つの三角形の辺と角の大小


定理B 2つの△ABC、△A'B'C'において、AB=A'B'AC=A'C'とする。 

(1) ∠A>∠A'ならばBC>B'C'

(2) BC>B'Cならば∠A>∠A'

【証明】

(1) 図のように、A’B'ABに一致するように△A'B'C'を△ABCに重ねる。

hen-kaku-03.jpg

CADの二等分線と辺BCの交点をEとする。

  △ADE≡△A'CE

よって、

  DE=EC

三角形の2辺の和は他の1辺より大きいので、

  BD<BE+ED=BE+EC=BC

よって、

  BC>BC'

である。


(2)

(1)より、

  ∠A>∠A'ならばBC>B'C'

  ∠A=∠A'ならばBC=B'C'

  ∠A<∠A'ならばBC<B'C'

よって、転換法より

  BC>B'Cならば∠A>∠A'

(証明終わり)

問題4 △ABCの辺ABAC上にそれぞれ点DEBD=CEとなるようにとると、

  AB>ACならばBE>CD

であることを証明せよ。

henkaku-05.jpg

【解】

ABCに注目。

AB>ACならば、定理Aの(2)より

  ∠B<∠C

で、△BCDと△BCEの2つの三角形に注目する。

BCは共通、そして、BDCE。そして、∠B<∠Cだから、定理Bの(1)より

  BE>CD

である。

よって、

AB>ACならばBE>CD


タグ:初等幾何

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