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第29回 円周角の定理の逆 [ネコ騙し数学]


第29回 円周角の定理の逆


円周角の定理の逆を取り上げる前に、復習として、円周角の定理。


円周角の定理

1つの弧に対する円周角は、その弧に対する円周角の半分に等しい。

そして、円周角と孤に関する次の定理。


定理

同じ円、または、半径の等しい円において

(1) 等しい弧に対する円周角は等しい

(2) 等しい円周角に対する弧は等しい

では、今回の本題である円周角の定理の逆を紹介します。


円周角の定理の逆

2点PQが直線ABに関して同じ側にあるとき、

  ∠APB=∠AQB

ならば、4点ABPQは同じ円周上にある。

この定理を証明する前に、まず、次のことを証明します。


補題

円周上に3点、ABCがあり、直線ABに関してCと同じ側にPをとるとき

(ⅰ) 点Pが円周上にあるとき ∠APB=∠ACB

(ⅱ) 点Pが円の内部にあるとき ∠APB>∠ACB

(ⅲ) 点Pが円の外部にあるとき ∠APB<∠ACP

である。

【証明】

(ⅰ) Pが円周上にあるとき、円周角の定理より
shotou-29-01.jpg

  ∠APB=∠ACB


(ⅱ) Pが円の内部にあるとする。APの延長と円の交点をQとする。

shotou-29-02.jpg


APBは△PBQにおける∠BPQの外角なので

  ∠APB=∠AQB+∠PBQ>∠AQB

また、円周角の定理より

  ∠AQB=∠ACB

よって、

  ∠APB>∠ACB

である。


(ⅲ) Pが円の外側にあるとする。APと円の交点をQとする。
shotou-29-03.jpg

AQBは△BPQの∠BQPの外角なので

   ∠AQB=∠APB+∠PBQ>∠APB

また、円周角の定理より

  ∠AQB=∠ACB

よって、

  ∠APB<∠AQB

(証明終わり)

 


定理 (円周角の定理の逆)

2点PQが直線ABに関して同じ側にあるとき、

  ∠APB=∠AQB

ならば、4点ABPQは同じ円周上にある。

【証明】

(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)の条件はすべてを尽くしており、また、(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)の結論はそれぞれ両立しない。

よって、転換法によって、この命題は真である。

(証明終わり)

 


例1
shotou-29-04.jpg

直線ABに関して点CDは同じ側にあり、

  ∠ACB=∠ADB=50°

だから、円周角の定理の逆によって、点ABCDは同一円周上にあり、四角形ABCDはこの円に内接する。

例2
shotou-29-05.jpg

直線ABに関してCDは同じ側にあるけれど、

  ∠ACB≠∠ABD

だから、点ABCDは同一円周上にない。

 


問題

図のように、△ABCの辺ABを1辺とする正三角形ADB、辺ACを1辺にする正三角形ACEがある。

(1) △ABE≡△ADCであることを示せ。

(2) 4点ADBPが同一円周上にあることを示せ。
shotou-29-06.jpg

【証明】

(1)△ADBは正三角形なので

  ABAD

ACEは正三角形なので

  AEAC

また、

  
2辺挟角相等より

  △ABE≡△ADC

(2) 点APを直線で結ぶ。

shotou-29-07.jpg

ABE≡△ADCより、

  ∠ADP=∠ABP

また、点DPは直線APに関して同じ側にある。

よって、円周角の定理の逆より

4点ADBPが同一円周上にある

(証明終わり)


タグ:初等幾何

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