第37回 落穂ひろい [ネコ騙し数学]
第37回 落穂ひろい
問題1 三角形の高さをh₁、h₂、h₃、内接円の半径をrとするとき、
を証明せよ。
三角形の面積をSとすると
また、
よって、
(解答終わり)
問題2 三角形の重心をGとするとき、
であることを証明せよ。
座標やベクトルの内積を使って解くのが一般的なのだろうけれど、初等幾何の枠内で解くことにする。
その前に、重心と中線定理の復習。重心 三角形の3つの中線は1点で交わり、この交点を重心という。重心は中線を2:1に内分する。
中線定理
三角形ABCにおいて、Aから中線AMを引くと
この2つを思い出せば、この問題はもう解けたようなもの。
【証明】
重心の性質より、重心Gは中線AMを2:1に内分する。つまり、
ここで、△ABCに注目し、中線定理を使う。
そして、△GBCに対して、中線定理を使う。
①にこの結果を代入すると、
(証明終わり)
問題3 △ABCがあって、AB=2、AC=√3、∠BAC=30°である。
(1) 内接円の半径を求めよ。(2) 内接円と辺ABの接点をDとする。ADの長さを求めよ。
【解】(1) 余弦定理よりBC=1。
よって、△ABCは∠C=90°の直角三角形(∠B=60°)。△ABCの面積Sは
内接円の半径をrとすると
(2) △DBIは∠BDI=90°の直角三角形。Iは内心なので、
よって、
したがって
(解答終わり)
あるいは、(2)を次のように解くこともできる。
【別解】円と2接線の関係より
DB=FBである。
よって、
(別解終わり)
こうすれば、三角関数を使う必要はないね。
(1)で余弦定理よりと書いているけれど、から、△ABCが∠A=30°、∠B=60°、∠C=90°の直角三角形であることは明らか。
だから、
とすぐに出てくる。
この直角三角形の線分比は中学校で出てくるので、この問題は中学数学の範囲で解くことができる問題であった。
――(2)は少し変えてあるけれど、問題2、問題3は、大昔の大学入試問題です――タグ:初等幾何