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微分積分 平均値の定理 [ネコ騙し数学]

微分積分 平均値の定理


この平均値の定理を証明するためには、次のロールの定理が必要である。


ロールの定理

f(x)が閉区間[a,b]で連続、開区間(a,b)で微分可能とする。f(a)=f(b)であるならば、

  

となる点cがある。
【証明】

f(x)は閉区間[a,b]で連続だから、[a,b]で最大値と最小値をとる。

f(x)が定数ならばf'(x)=0なので定理が成立。

f(x)が定数でなければ、f(a)=f(b)とは異なる最小値または最大値のいずれかがabの間(a<c<b)に存在し、これをf(c)とする。

cで微分可能だから

  

f(c)が最大値であるとき

  

よって、

  

f(c)が最小値であるときも同様である。

(証明終わり)


平均値の定理

関数f(x)が閉区間[a,b]で連続、開区間(a,b)で微分可能であるならば

  

となるcが少なくともひとつ存在する。

幾何的には、図のように、曲線上の2点ABを結ぶ線分ABに平行な接線がその2点で少なくとも1本ひけることを意味する。


graph-013.png

【証明】

  

とし、

  

とする。

g(x)[a,b]っで連続、(a,b)で微分可能であり、g(a)=g(b)=0である。よって、ロールの定理より

  

となる点cが存在する。

したがって、

  

となる点cが存在する。

(証明終わり)


  

とおくと、0<θ<1となり、平均値の定理を次のように書き換えることができる。

  

さらに、h=b−aとおくと

  



定理

f(x)g(x)を区間Iで微分可能な関数とする。f'(x)Iでつねに0であるならば、f(x)は定数である。Iでつねにf'(x)=g'(x)ならば、f(x)−g(x)Iで定数である。

【証明】

(前半の証明)

a∈Iである点aを一つとる。

平均値の定理より、x∈Iの任意の点aに対して、axの間に

  

となる点cが存在する。

c∈Iだから条件よりf'(c)=0で、

  

よって、f(x)Iで定数である。

(前半の証明終了)


(後半の証明)

h(x)=f(x)−g(x)とおくと、Ih(x)は微分可能。

Iでつねにf'(x)=g'(x)だから

  

h'(x)Iでつねに0である。

よって、h(x)=f(x)−g(x)は定数である。

(後半の証明終わり)

なぜ、この定理を紹介したかというと、不定積分の公式

  

の理論的根拠になるからです。
タグ:微分積分

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