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ワンポイントゼミ4 微分を用いて、整式を(x−a)²で割った余りを求める [ネコ騙し数学]

ワンポイントゼミ4 微分を用いて、整式を(x−a)²で割った余りを求める



問題 f(x)を2次以上の整式とする。

(1) f(x)(x−a)²で割ったときの余りが

  

であることを証明せよ。

(2) f(x)f(x)(x−a)²で割り切れるための必要十分条件がf(a)=f'(a)=0であることを証明せよ。

(3) x⁷−2x+4(x−1)²で割った余りを求めよ。

【解】

(1) f(x)f(x)(x−a)²で割った商をQ(x)、余りをpx+qとすると

  

xで微分すると、

  

①、②にx=aを代入すると、

  

④よりp=f'(a)、これを③に代入すると、

  

よって、余りは

  

である。

(2)

【⇒の証明】

(1)より、f(x)(x−a)²で割ったときの余りは

  

仮定より、f(x)(x−a)²で割り切れるので、f(x)(x−a)²で割ったときの余りは0である。

したがって、

  

でなければならない。

これが任意のxについて成り立つので、

  

⑤より、f'(a)=0

⑥より

  

したがって、f(a)=0f'(a)=0である。

【逆の証明】

f(x)(x−a)²で割ったときの余りは

  

仮定より、f(a)=0f'(a)=0

したがって、

  

以上のことより、

f(x)f(x)(x−a)²で割り切れるための必要十分条件がf(a)=f'(a)=0である。


(3)

  

よって、

  

(1)より、余りは

  

(解答終わり)

 


  

xで微分するとき、次の微分公式を使っている。

  

この公式を使うと、

  

(x−a)²の微分で、もう一度、微分公式を用いると、

  

したがって、

  04-02.png

となる。

もちろん、

  04-01.png

と計算してもよい。

また、同様の議論から、

  

  ――n=2のとき、こうなることを確かめよ――

したがって、F(x)が整式であるとき、y=F(ax+b)xで微分すると

  


話を元に戻すが、

問題より、f(x)が整式であるとき、f(x)=0が重複解(重根)を持つための必要十分な条件は

  

が共通解を持つことである。


タグ:微分積分

剰余の定理と因数定理、そして、解と係数の関係 [ネコ騙し数学]

剰余の定理と因数定理、そして、解と係数の関係


§
1 剰余の定理

剰余の定理

整式f(x)x−aで割った余り(剰余)はf(a)である。

【証明】

多項式f(x)x−aで割った商をQ(x)、余りをRとすると、

  

したがって、

  

(証明終わり)

問 x²−3x+4x−1x−2で割った余りを求めよ。

【解】

f(x)=x²−3x+4とおく。

剰余の定理より、

f(x)x−1で割った余りR₁

  

x−2で割った余りR₂

  

(解答終わり)

 


問題1 xについてある整式をx−2で割ると5余り、x−3で割ると8余るという。この整式を(x−2)(x−3)で割った余りを求めよ。

【解】

xについての整式をf(x)(x−2)(x−3)で割った商をg(x)、余りをax+bとする(※)。

題意より

  

x−2で割った余りが5だから、①より

  

x−3で割った余りが8だから、①より

  

②、③を解いてa=3b=−1

よって、余りは3x−1である。

(解答終わり)
(※) 整式f(x)を2次式(x−2)(x−3)で割った余りは、高々1次式なので、その余りをax+bと置くことができる。


§2 因数定理


因数定理

整式f(x)x−aを因数にもつ必要十分な条件はf(a)=0である。

【証明】

f(x)x−aで割った商をQ(x)、余りをRとする。

(必要条件の証明)

  

f(x)x−aを因数にもつので、R=0

したがって、

  

(十分条件の証明)

  

上式にx=aを代入すると、

  

仮定よりf(a)=0だから、R=0

よって、f(x)x−aで割り切れ、f(x)x−aを因数にもつ。

(証明終わり)

問 次の方程式を解け。

  

【解】

f(x)=x³−3x²−4x+12とおくと、

  

よって、x³−3x²−4x+12x−2を因数にもつ。

x−2f(x)を割ると、商はx²−x−6

だから、
  siki-01.png

よって、この方程式の解はx=±23である。

(解答終わり)

§3 2次方程式と3次方程式の解と係数の関係。

(1) 2次方程式の解と係数の関係

2次方程式の一般形は

  

この解をαβとすると、因数定理より

  

となる。

したがって、

  

となり、この恒等式が成立する条件から
  siki-02.png

これを2次方程式の解と係数の関係という。


問題 2次方程式x²−10x+c=0の2つの実根αβの間にβ=α³の関係が成立するとき、cの値を求めよ。

【解】

解と係数の関係より

  

問題の条件よりβ=α³だから、
  siki-03.png

f(α)=α³+α−10とするとf(2)=0

よって、

  

したがって、α=2

  

(解答終わり)

(2) 3次方程式の解と係数の関係

3次方程式の一般形は

  

この解をαβγとすると

  

よって、この恒等式の右辺と左辺を比較すると
  siki-04.png

という3次方程式の解と係数の関係が得られる。


問題 方程式x³+ax²+bx−12=0が根3および3と異なる実根をもつとき、重根およびabの値を求めよ。

【解】

3と異なる実根をαとすると、解と係数の関係より

  siki-05.png

③より

  

①、②より

  

だから、

α=2のとき、a=−7b=16

α=−2のとき、a=1b=−8

(解答終わり)


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