微分・積分公式の追加 [ネコ騙し数学]
微分・積分公式の追加
§1 微分・積分公式の追加
問題1 f(x)の導関数がf'(x)であるとき、
であることを証明せよ。
【証明】t=ax+b、k=ahとおくと、h→0ならばk→0になるから、上の式は
(証明終わり)
だから、一般に
は成立しない!!
例えば、f(x)=x²とすると、f'(x)=2x。
そして、このことから、f(x)の原始関数をF(x)とすると、
である。
何故ならば、
だから。
原始関数の定義より
問 次の不定積分を計算をせよ。
【解】
したがって、②より
(解答終わり)
【別解】
(解答終わり)
別解で求めた不定積分は解で求めた不定積分より1/6小さい。
微分すると、どちらも(2x+1)²になるからです。
問題 定義域がx>0の関数f(x)がある。f(x)は定義域で微分可能で、次の関係がある。
(1) f(1)の値を求めよ。
(2) f'(1)=1とするとき、f'(x)を求めよ。
(3) f(x)を求めよ。【解】
(1)(2) f(ax)=f(a)+f(x)(aは任意の定数)をxで微分する。
x=1を代入すると、
これが任意のaについて成り立つので、
(3) (2)より
(1)より、f(1)=0だから
(解答終わり)
(3)は、次のように解いてもよい。
(3)の別解
(別解終わり)
「⑨ネコ、
はどこから出てきたんだ?」
「オレが、こうだと決めたんだケロ。
こう定義したんだ。だから、誰にも文句を言わせない。」
§2 対数関数と指数関数
ココからは、整関数の微分・積分、さらに数学Ⅲの微分積分をも越えた話をします。
ですから、純粋に読み物として読んでもらって結構!!⑨から、
さらに、
ここで、t=xsとおき、置換積分を使うと
したがって、
また、この結果を使って
したがって、
などなど、対数関数logを
と定義することによって、高校で習った対数関数の諸公式を導くことができる。
さらに、
この定義より、
だから、logxは単調増加であり、この逆関数が定義できる。
この逆関数を
として、指数関数を対数関数の逆関数として定義することも可能である。
y=logxとおき、これを微分すると、⑨より
逆関数の微分公式より
つまり、
である。
このことから、
とおくと、
が成立する。
先に定義したように、log1=0だから、
である。
したがって、f(y)をマクローリン展開すると
このことから、
である。
これが収束することは、数列の問題で証明し、また、そこでこの近似値を小数点4位まで求めてある。
公式の追加として
2次導関数を用いた極値の判定 [ネコ騙し数学]
2次導関数を用いた極値の判定
定理 関数f(x)が連続な導関数f'(x)、f''(x)を有する区間内において、
(Ⅰ) f'(a)=0、f''(a)>0のときはx=aでf(x)は極小(Ⅱ) f'(a)=0、f''(a)<0のときはx=aでf(x)は極大
【証明】(Ⅰ) f''(x)は連続でf''(a)>0だから、aを含む小さな開区間Iに属するxでf''(x)>0。したがって、f'(x)は開区間Iで増加状態にある。さらに、f'(a)=0だから、aの前後でf'(x)の符号が負から正に変わる。よって、x=aで極小である(※)。
(Ⅱ) aを含む小さな開区間Iに属するxでf''(x)<0。したがって、f'(x)は開区間Iで増加状態にある。さらに、f'(a)=0だから、aの前後でf'(x)の符号が正から負に変わる。よって、x=aで極大である。(証明おわり)
(※) f'(x)の符号がx=aの前後で負から正に変わるとき、f(a)は極小である。
x<aのとき、平均値の定理よりとなるcが存在し、f'(c)<0、x−a<0だから、
a<xのとき
となるcが存在し、f'(c)>0、x−a>0だから
同様に、f'(x)の符号が正から負に変わるとき、x=aで極大であることが証明される。
ここで平均値の定理を使うならば、
を使えという指摘もあるだろう。
もっともな話である。
これを使うならば、f'(a)=0だから|h|が十分小さくとれば(h≠0)、f''(a+θh)とf''(a)の符号は同じ。
よって、f''(a)>0ならば
したがって、x=aで極小。
f''(a)<0ならば
したがって、x=aで極大。
スッキリとした証明になるが、さすがに、この証明は高校数学の範囲外だろう。
⑨は、まだ証明していないし・・・。ただし、これは2次導関数が連続であればの議論!!
定理 f(x)が[a,b]において連続、f(x)が(a,b)において2回微分可能であるとき、
となるcがaとbの間にすくなくとも一つ存在する。
【証明】
が成り立つようにkを定め、
とすると、F(x)は[a,b]で連続、(a,b)で微分可能である。
F(a)=F(b)=0だから、ロールの定理より、F'(c)=0、すなわち、
となるcがaとbの間に少なくともひとつ存在する。
b≠cだからb−c≠0。
②の両辺をb−cで割るとこれを①に代入すると、
(証明終わり)
問 f(x)=x³−3x−1の極値を求めよ。
【解】よって、f'(x)=0を満たす点はx=±1。
したがって、x=−1のとき極大、x=1のとき極小。
極大値 1 (x=−1のとき)
極小値 −3 (x=1のとき)
(解答終わり)
しかし、この判定法もf(x)=x³の前には無力!!
f'(x)=3x²、f''(x)=6xだから、x=0のときf''(0)=0となって、第2次導関数を利用した判定法が使えない。この関数はかなりの曲者!!
ワンポイントゼミ7 [ネコ騙し数学]
ワンポイントゼミ7
n次の整式、多項式は
と展開できる。
なお、
は、f(x)を1回、2回、3回…、n回微分して得られる導関数である。
たとえば、f(x)=x³という関数の場合、
である。
問
となるように、係数a、b、c、dを定めよ。
になるので、これを代入し、
とし、これを左辺と右辺の係数を比較し、a、b、c、dの4元連立方程式――この場合、a=1、d=1がすぐにでてくるので、実質、2元連立方程式――を解いてもよい。
しかし、微分を使えば、次のように解くことができる。
【解】
とすると、
微分すると、
f'(x)を微分すると、
f''(x)をさらに微分すると、
したがって、
a=1、b=3、c=3、d=1である。
(解答終わり)この方法を用いれば、
といった展開も簡単に、機械的に、求めることができる。
そして、この答えは
である。
ただし、
高次導関数 [ネコ騙し数学]
高次導関数
関数y=f(x)の導関数f'(x)もまたxの関数であり、これをさらに微分して得られる導関数をy=f(x)の第2次導関数といい、
などの記号であらわす。
d²y/dx²はを略したものである。
すなわち、
である。
同様に、第2次導関数f''(x)を微分して得られる導関数をy=f(x)の第3次導関数といい、
などであらわす。
一般に、y=f(x)をn回微分して得られる関数をy=f(x)の第n次導関数といい、
であらわす。
また、第2次導関数以上の導関数をf(x)の高次導関数という。
例1
例2
問題1
とおき、両辺のr次導関数を考えることによってを定め、それからの展開式を求めよ。
【解】の両辺をxで微分すると、
これらの両辺にx=0を代入し、係数を比較すると、
よって、
したがって、
(解答終わり)
だから、この組み合わせを使うと、
となる。
x=b/aとし、両辺にをかけると
となり、2項定理が得られた。
問題2
をもちいて次のことを証明せよ。
【解】
とする。(1) ①にx=1を代入すると、
(2) ①にx=−1を代入すると、
(3) ①の両辺を微分すると、
x=1を代入すると、
(4) ②にx=−1を代入すると、
(解答終わり)
問題3 f(x)がn次の整式であるとき、次の等式が成り立つことを証明せよ。
【解】
f(x)はn次の整式だからx=aを代入すると、
①を微分すると
x=aを代入すると
②をxで微分すると
これにx=aを代入し
同様に
したがって、r=0,1,2,…,nに対して
が成立し、よって、
である。
(解答終わり)これは多項式、整式に対するx=aにおけるテーラー展開。
そして、このことから、f(x)をx−aで割った余りがf(a)、(x−a)²で割った余りがf(a)+f'(a)(x−a)、そして、(x−a)³で割った余りが
であることが直ちにわかる。