陰関数の微分と媒介変数で表された関数の微分 [ネコ騙し数学]
陰関数の微分と媒介変数で表された関数の微分
§1 陰関数の微分
φ(x,y)=x²+y²−1=0のように2変数xとyの関係が与えられているとする。これをyについて解くと、であり、φ(x,y)=x²+y²−1=0は①と②の2つの関数からなるものと考えられる。
このように、φ(x,y)=0の形で与えられる関数を陰関数、y=f(x)の形で与えられる関数を陽関数という。
問1 x²+y²=1のとき、dy/dxを求めよ。
【解】x²+y²=1の両辺をxで微分すると
(解答終わり)
なお、dy²/dxの計算は、合成関数の微分の公式を用いて
と計算している。
問2 次の方程式からdy/dxを求めよ。a0、b、pは定数とする。
【解】
(1) 両辺をxで微分すると、
(2) 両辺をxで微分すると
(3) 両辺を微分すると
(解答終わり)
問題1 曲線x²−y²=9およびxy=4の交点における接線は互いに直交していることを証明せよ。
【解】x²−y²=9の両辺をxで微分すると、
また、xy=4をxで微分すると、
2曲線の交点Pの座標を(a,b)とすると、x²−y²=9とxy=4の(a,b)における接線の傾きをm₁、m₂とすると
よって、交点Pにおける接線は直交する。
(解答終わり)
§2 媒介変数で表された関数の微分
x、yが変数tによってx=f(t)、y=g(t)で与えられているとする。
x=f(t)の逆関数が存在するとき、yはxの関数とみなすことができる。y=g(t)をの両辺をxで微分すると、
x=f(t)の逆関数の導関数は
だから、
定理 (媒介変数tで表された関数の微分)
x、yがそれぞれtの関数であるとき、dy/dx≠0ならば
問 次の関係式より、dy/dxを求めよ。
【解】
(1)
(2)
(解答終わり)
合成関数と逆関数のの微分 [ネコ騙し数学]
合成関数と逆関数のの微分
§1 合成関数の微分
写像の定義
であらわす。
があるとき、Xの要素xに対応するYの要素yをxのfによる像といいf(x)であらわし、
とかく。
合成写像の定義
X、Y、Zを集合、を写像とする。
このとき、x∈Xに対してg(f(x))∈Zを対応させる写像を合成写像(合成関数)といい、であらわす。すなわち、
である。
たとえば、
という対応規則、関数f、gが与えられているとき、
となって、Xのおのおのの要素xにZの要素zをただ一つ対応させることができる。そして、この規則が合成写像(合成関数)である。
合成関数の微分
先にでたように、の合成関数は
で、これは微分可能で導関数は
である。
次に、より一般の合成関数y=f(g(x))の微分公式を求めることにする。
y=f(u)、u=g(x)がともに微分可能であるとする。
とおくと、
Δx→0のとき、Δy→uだから
これを上式に代入すると、
よって、
である。
したがって、
定理 (合成関数の微分)
y=f(u)、u=g(x)がともに微分可能であるとき、合成関数y=f(g(x))の微分はである。
あたかも分数の約分のようであるから①は覚えやすい。
しかし、使い勝手がいいのは⑨である。問 次の関数を微分せよ。
【解】
(1) u=x²+1とおくとy=2u³+3u。
よって
(2) u=x³+3とおくとy=√u。
よって、(解答終わり)
(2)の3をa²(aは定数)を置き換えると
§2 逆関数の微分
y=f(x)の逆関数をy=g(x)とおけば、x=f(y)
この両辺をxで微分すると、右辺は
よって
定理 (逆関数の微分公式)
だから、
このxをyに置き換えると、
という対数関数の微分の公式が得られる。