定積分(数学3) [ネコ騙し数学]
定積分(数学3)
§1 定積分の定義
関数f(x)は閉区間[a,b]で連続とする。この区間をn個の小区間に分け、その分割を
とし、その小区間にそれぞれ任意の点をとって、和
を作る。
このとき、おのおのの小区間の幅を0に近づくようにnの値を限りなく大きくすると、区間の分け方、小区間の点のとり方にかかわらず、和は一定の極限値に近づく。
この極限値を、関数f(x)のaからbまでの定積分といい、記号
で表し、a、bをそれぞれ定積分の下端、および、上端という。
上の定義で、特に、分点を等間隔にとり、をその分点と一致するようにとると、
である。
また、閉区間[a,b]内の点cを分点の1つにとり、[a,b]を[a,c]と[c,b]に分ければ、が成り立つ。
a<bとして定積分を定義したが、
a=bのとき
a>bのとき
また、定積分の重要な性質として、次のものがある。
定理
a<b、かつ、[a,b]でつねにf(x)≦g(x)のとき、つねにf(x)=g(x)でないかぎり、である。
§2 積分の平均値の定理と定積分と不定積分との関係
積分の平均値の定理を証明する前に、中間値の定理と最大値・最小値の定理。
中間値の定理
f(x)が有界閉区間[a,b]で連続で、f(a)≠f(b)であるならば、f(a)とf(b)の間のすべてのμに対して
を満たすcが少なくとも1つ存在する。
最大値・最小値の定理
f(x)が有界閉区間I=[a,b]で連続ならば、f(x)はIで最大値と最小値をとる。次に、積分の平均値の定理を紹介し、それを証明することにする。
積分の平均値の定理
関数f(x)が有界閉区間[a,b]において連続でならば、を満たすcが少なくともひとつ存在する。
【証明】
f(x)が定数関数であるとき、a<c<bであるすべてのcについて成立する。f(x)が定数でないとき、a≦x≦bにおけるf(x)の最小値m=f(x₁)、最大値M=f(x₂)とする。
m≦f(x)≦Mだから、a<bのときである。
とすれば、m<f(μ)<M。
よって、中間値の定理より、f(c)=μを満たすcがx₁とx₂の間に少なくとも1つ存在する。
したがって、(証明終了)
幾何的に言うならば、積分の平均値の定理は、図のように曲線y=f(x)とx=a,x=b、x軸で囲まれた図形(斜線部)と長方形A'abB'の面積を等しくするような直線A'B'が存在することを意味している。
定理
f(x)の原始関数の1つをF(x)とするとき
である。
【証明】
とおく。
積分の平均値の定理より
h<0のとき
h<0のとき
となるcが存在する。
いずれにせよ、h→0のとき、c→0で、f(x)は連続だから、
よって、S(t)はf(t)の原始関数の1つ。
したがって、
S(a)=0だから
よって、
(証明終了)
問題 積分の平均値の定理を用いて
のとき
となるθが存在することを証明せよ。
【解】f(x)は閉区間[0,1]で連続で、積分の平均値の定理より
となるcが存在する。
g(x)=sinxは0≦θ≦π/2で連続、かつ、g(0)=0、g(π/2)=1だから、中間値の定理より、0<c<1に関してとなるθが存在する。
したがって、
となるθが存在する。
(解答終了)