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積分を用いた不等式の証明 [ネコ騙し数学]

積分を用いた不等式の証明


問題1 x>0のとき、次の不等式が成立することを証明せよ。


微分を使って証明するならば、たとえば、次のような証明になるだろう。


【証明】

  

f(x)x>0で微分可能。

そこで、f(x)の変化を調べるために、f(x)を微分すると

  

したがって、f(x)x≧0で単調増加。

よって、

  

(証明終了)

graph-277.pngまた、とすると、

  

したがって、y''>0で、この関数yは下つに凸。

また、x=0におけるこの曲線の接線の方程式は

  

下に凸の関数の性質(曲線は接線の上側にある)より、x>0ならば

  

である。

(右図参照)


この他にも、微分を用いた証明法はいくつかあるだろう。

なのだけれど、積分を使うと、次のように簡単に証明できてしまう。

【積分を用いた証明】

  

したがって、x>0ならば、

  

(証明終わり)

実は、これだけでなくて、

  

だから、x>0のとき

  

同様に、順次計算することによって

  

を証明することができる。

正確な証明をするならば、数学的帰納法を使って。



問題2 積分を使って次の不等式を証明せよ。

  

【証明】

graph-278.png(1) t>0ならば、

  

したがって、x>0ならば

  

t>0のとき

  

だから、x>0のとき

  

以上のことより、

x>0ならば

  


graph-279.png(2) x>1とすると、t∈(1,x)の任意のtに対して

  

よって、
  tf-01.png

0<x<1とすると、t∈(x,1)の任意のtに対して

  

よって、
  tf-02.png

x=1のとき、

  

となり、等号が成立。

よって、

  

(証明終わり)

graph-274.png問題2の(2)より、x>0のとき

  

この両辺にxをかけると

  

これは、定積分と不等式1の問題3の(1)の不等式であり、積分を使ってこの不等式を証明したことになる。

また、(2)の不等式

  

xをかけると

  

さらに

  

したがって、ハサミ打ちの定理より

  

である。

ワンポイントゼミ22では、ロピタルの定理を使ってこの極限を求めたが、ロピタルの定理を使うことなくこの極限を求めることができた。


タグ:微分積分

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