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台形公式と中点公式とによる定積分の近似計算 [ネコ騙し数学]

台形公式と中点公式とによる定積分の近似計算


定積分

  

の近似計算法として台形公式とシンプソンの公式を紹介した。

その最も基礎となるのが、

  

という2つの式。

(1)が台形公式で、(2)がシンプソンの公式。


(1)と(2)が幾何的に何をあらわしているか明らかにするために、

a≦x≦bにおいてy=f(x)>0という曲線を考える。

graph-401.png

そして、A(a,f(a))B(b,f(b))F(a,0)G(b,0)とする。

そうすると、

  

は、y=f(x)x軸、さらにx=ax=bとで囲まれた面積に等しい。

(1)は台形ABGFの面積に等しい。何故ならば、

  

となるからだ。

さらに、線分FGの中点のx座標をcとすると、

  

になる。

そして、

  

とし、ABCの3点を通る放物線をg(x)(図中の青い曲線)とすると、

  

になる。

つまり、(2)は曲線y=f(x)を放物線で近似し、その面積を求めて①で定まる面積Sを近似している。


台形公式はy=f(x)を直線で近似、シンプソンの公式では放物線で近似しているのだから、一般論として、(1)より(2)の方がより真実の面積Sに近い値を示す。

これはあくまで一般論だケロよ。

では、ここで質問する。

a、点bの中点cにおけるf(c)を高さとする四角形DEFGの面積、すなわち、

  

と、台形公式(1)、シンプソンの公式、そして、あらたに登場した(3)の中点公式、どちらが精度よくSを計算できるだろうか?

あくまで一般論として、中点公式(3)がシンプソンの公式に勝つことはないだろう。

だとすれば、

中点公式と台形公式の勝負だケロ。


簡単なf(x)=x²

  

で試してみると、台形公式だと

  

中点公式だと

  

だから、

  

つまり、台形公式(1)よりも中点公式(2)の方が精度よく計算できている。
上の例だと、台形公式は中点公式よりも誤差が2倍も大きい。裏を返せば、中点公式は台形公式よりも2倍精度がよい。

  

台形公式だと変わらずS₁=1/2

中点公式だと

  

したがって、

  

が成立している。

この2という数字は偶然だろうか・・・。


ちなみに、シンプソンの公式はf(x)が3次関数までは正確な値を出す。
  

シンプソンの公式で計算してみると、

  

2次関数で近似しているのに、3次関数まで正確な値を出す。

不思議だと思わないかい。


閉区間[a,b]n個の区間に分割し、この区間に対して台形公式と中点公式を適用し定積分を近似すると、

  

等間隔に分割されている場合、

  

だから、

  


台形公式と中点公式で定積分の近似計算をするプログラムをBloggerの方にアップしておいた。

  中点公式と台形公式の精度比較
   http://nemneko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_14.html

プログラムのデフォルト設定は

  

[0,1]の分割数nを増やすとどうなるか、この計算の場合、どちらのほうが精度がいいのかを確かめて欲しい。


ちなみに、n=10のときの計算結果は
dai-chuu-01.png
(イメージです。だから、計算ボタンをクリックしても何も起きない)

n=100のときの計算結果は

dai-chuu-02.png

(イメージです!!)


台形公式よりも中点公式のほうが精度よく計算できていることが分かるのではないか。


タグ:微分積分

定積分の応用 体積の最大最小に関する問題 [ネコ騙し数学]

定積分の応用 体積の最大最小に関する問題



graph-349.png問題1 点(1,1)を通るだ円

  

x軸のまわりに回転してできる回転体の体積の最小値を求めよ。

【解】

  

したがって、回転体の体積V

  

また、

  

graph-352.pngが点(1,1)を通るので

  

b²>0から、a>1

②を①に代入すると、

  

これをaで微分すると、

  

したがって、a=√3のとき最小で、最小値は、2√3π

(解答終了)



問題2

(1) 曲線

  

上のx座標がa0<a<1)である接線の方程式を求めよ。

(2) 上の接線とx軸、y軸とで囲まれる図形を、x軸のまわりに回転してできる立体の体積を最大にするaを求めよ。

【解】

graph-353.png(1)

  

したがって、

  

よって、x座標がaである曲線上の点に接線の方程式は

  


graph-354.png(2) 上の接線とx軸、y軸との交点をABとすると、ABの座標は、それぞれ、√a,0)(0,1−√a)

そして、求める体積Vは△OABx軸わまりに回転してできる円錐に等しいので

  

ここで、t=√aとおくと

  

これをtで微分すると、

  

したがって、t=1/3、すなわち、a=1/9のときに最小になる。

(解答終了)



問題3 2つの曲線

  

x軸に垂直な共通弦をABとする。ABと曲線②で囲まれた図形をx軸のまわりに回転してできる回転体について、次の問いに答えよ。

(1) この回転体の体積をaであらわせ。

(2) aがいろいろな値をとって変わるとき、この立体の体積の最大値を求めよ。

【解】

graph-355.png(1) 曲線①と曲線②の交点を求める。②より

  

これを①に代入しを消去すると、

  

a>1/2だから

  

よって、求めるべき体積V
  

(2)

  

だから

  

とおき、この関数の増減を調べることにする。

f(a)aで微分すると、

  

graph-356.pngこの増減表を書くと
tsms-tab.png

よって、f(a)a=3/2のとき、最大。

したがって、Va=3/2のときに最大で、最大値は

  

(解答終了)

 


タグ:微分積分

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