ワンポイントゼミ26 [ネコ騙し数学]
ワンポイントゼミ26
ねこ騙し数学の記事の中では
と書いたけれど、この不等式は
の方がいいのかもしれないね。
ちなみに、n!とは
のこと。
ということで、
である。
また、定義から
という関係がある。
になっているからね。
そして、さらに0!を
と定義する。
そうすると、
で、0のときにも①が成立することになる。
n=1のとき1!=2⁰
n=2のとき2!=2¹だから、①の不等式で等号が成立する。
n≧3では、⑨が成立する。この証明は、ねこ騙し数学の記事に書いてある。
ということで、
となる。
また
である。
になっている。
n=4のとき
だから(1)は成立。
n=kのとき
が成立するとする。
n=k+1のとき
よって、数学的帰納法より(1)が成立する。
では、ここで一つ問題!!
問題
n、mを1より大きい整数とする。このとき、
を満たすnとmを求めよ。
【答】
(n,m)=(2,4)、または、(n,m)=(4,2)2⁴=4²=16だからね〜。
しかし、これでは数学の解答にならない!!今日のねこ騙し数学の記事がヒントだにゃ。
②の両辺の対数をとる。
そうすると、n≠0、m≠0だから、nmで両辺を割ると
ということで、
という関数が出てくる。
で、とりあえず、n≦mとする。
そうすれば、となり、
というxの解の個数を求める問題に帰着できる。
そすると、この関数はx<eで増加、x>eで増加するから、上の方程式が解を2つもつためには、片方の解がx<e<3より小さくなる必要がある。
したがって、1<n<3を満たすnは2しかない!!
だから、n≦mのとき、2⁴=4²の組み合わせしかない。なのだが、
2⁴=4²または4²=2⁴を知らないヒト、あるいは、これに気づかないヒトはどうするんだろう。この問題は、大昔、とある私立大学の入試問題として実際に出題されたものだけれど、オレは試験会場でこの組み合わせに気づかないかもしれない(^^ゞ
この問題の解答には
「2⁴=4²は4²=2⁴」は既知として・・・と書いてあったように記憶している。
これは、難関(私立)大学を目指す受験生にとって既知の内容で、「2⁴=4²は4²=2⁴」は絶対に知っておかないといけないことだったのか。
解いてみるケロ [ネコ騙し数学]
解いてみるケロ
昔、東京大学の入試問題で「とπ³とどちらが大きいか」という証明問題が出されましたが、証明はできないものの、計算尺を使えばのほうが大きいとすぐ分かります。
http://www.pi-sliderule.net/sliderule/premise/toha.html
このようなことを書いてあるサイトがあったので、この大小関係を示してみることにするにゃ。
とπ³の対数を取ると、になる。この2つの数を3π>0で割ると、
になる。
ちなみに、この対数は自然対数で、
さてさて、ここで次の関数を考える。
微分すると、
y'=0になるのはx=eのときだから、増減表を書くと、次のようなる。
e<3<πだから
これで大小が決まった。
ひょっとしたら、π>3であることを証明しないとマズいのかもしれない。
中心をOとする半径1の円を書くにゃ。右図のようにこの円に内接する正12角形を作る。そして、図のように正12角形の頂点A、Bと中心Oをそれぞれ結び、さらに、AとBを結ぶ。
そうすると、∠AOB=30°。
したがって、
これが12個あるのだから、正12角形の面積Sは
これは、円Oの面積πよりも小さいので、
eと3の大小関係は・・・
そこまで要求するか?
だケロ。
2項定理から
したがって、eが3より大きくなることはない。
つまり、e≦3だケロ。
ということで、すべて、めでたく証明された!!
何だにゃ、
を使っているって?
n=3のとき
だから、⑨式は成立する。
n=k (k≧3) のとき成立すると仮定する。
つまり、n=k+1のとき
よって、n=k+1の時にも成立。
以上のことより、数学的帰納法によって⑨は成立する。