第1回 数列の極限 [ネコ騙し数学]
第1回 数列の極限
§1 数列の極限
数列の定義
自然数Nから実数Rへの写像
を実数列、あるいは数列といい、あるいは単にと書く。
いまかりに、数列を
と書いてあらわすとすると、数列の各数を項といい、a₁を初項、a₂を第2項、そして、を第n項という。
がnの数式の形で書かれ、それによって数列が一般的に表されるとき、を一般項という。
例
という数列の一般項は
例で取り上げた数列は、nが限りなく大きくなると、第n項は限りなく0に近づく。
このことを「数列の極限値は0である」といい、
や
であらわす。
一般に、数列において、nが限りなく大きくなるとき、がある一定の数αに限りなく近づくならば、「数列はαに収束する」といい、このことを
や
と書き、αを数列の極限値という。
問 次の数列の極限値を求めよ。
【答】 (1) 1 (2) 1 (3) 1
数列が収束しないとき、数列は発散するという。
数列が発散するときは、次の3つの場合がある。
(1) が正の無限大に発散する (例 )
このとき、と書く。
(2) が負の無限大に発散する (例 )
このとき、と書く。
(3) (1)、(2)のいずれでもない場合 (例 )
(3)の場合を振動するという。
§2 数列の基本的性質
定理
2つの数列が収束し、であるとき
上の定理は、高校の数学の範囲では証明できないので、これは無条件でそのまま受け入れて欲しい。
問題 次の事柄は正しいか。正しくなければ反例をあげよ。
【解】
(1) 正しくない。
(2) 正しくない。
(3) 正しくない。
(4) 正しい。
定理
【証明】
(Ⅰ) r>1のときr=1+a(a>0)とおくと、2項定理より
よって、
(Ⅱ) r=1のとき
(Ⅲ) r=0のとき
(Ⅳ) −1<r<1のとき
とおくと、b>1だから(Ⅰ)より
したがって
よって、
(Ⅴ) r<−1のとき
−r=bとおくと、b>1。
nが正の偶数のとき、すなわち、n=2k(kは正の整数)のときnが正の奇数の場合、n=2k−1のとき
よって、この極限は定まらず、すなわち振動する。
(証明終了)
具体的な極限の計算は次回。