この広義積分の値を求められますか? ガンマ関数、ベータ関数の序論にかえて [ネコ騙し数学]
問題 次の広義積分の値を求めよ。
【解】
x=sin²θとおき、x=0のときθ=0、x=1のときθ=π/2とすると、
そして、
となるから、
(解答終了)
これは、広義積分だから、実際はもう少し真面目に計算しないといけないけれど、まぁ、こうなる。
――うるさいことを言うやつの口封じをするために、x→0+0のときθ=0+0、x→1−0ときθ=π/2−0――x=sin²θという変数変換を思いつけば簡単に解けるけれど、しかし、この変換を自力で思いつける奴はそうそういないだろう。
ベータ関数やガンマ関数を知っている人は、
と、この広義積分の値を求めるかもしれない。
そして、x=sin²θという変換は、このベータ関数の中で出てくるものだ(ベータ関数の三角関数表示)。
これまで長々と広義積分の話をしてきたのは、このガンマ関数Γ(s)とベータ関数B(p,q)という新しい関数導入の下準備。
今日から、こういった話になるので、少し面白くなると思うにゃ。そして、取ってつけたようなラプラス変換の話までする予定です。
なお、
上の広義積分は次のように値を求めることもできる。
上の計算では
という積分の公式を使っている。
こちらも、広義積分なので、もう少し細かい議論が必要になるが・・・
やるからには、ちゃんとやるケロ!!
第6回 ガンマ関数入門 [ネコ騙し数学]
第6回 ガンマ関数入門
s>0に対して
は収束し、(1)式で定義される関数Γ(s)をガンマ関数という。
ガンマ関数の性質を調べることにする。
まず、s=1のときのガンマ関数の値を求めることにする。
また、
を部分積分すると、
したがって、s>0のとき
である。
特に、sが自然数nであるとき、(2)式から
このことから、ガンマ関数は階乗を拡張したものと考えることができる。
もし
と微分と積分の順序の交換が許されるのであれば(証明はしないが、事実、許される)、
だから、
となり、同様にn次導関数は
である。
特にn=2のとき、
となり、ガンマ関数Γ(s)は(下に)凸である。
さらに、(1)の変数をx=t²と変換すると、
よって
s=1/2のとき
である。
(2)式より
したがって、
そして、ここで
と定義すると、
となる。
2重階乗を使わず(4)式を書き換えると、
実関数としてのガンマ関数Γ(s)は、s>0で定義されるが、(2)式を
と書き換え、s=−1/2を代入すると、
と、ガンマ関数をs<0に拡張が可能である。
参考までに、s<0まで解析接続によって拡張されたガンマ関数Γ(s)とその逆数1/Γ(s)のグラフを以下に示す。
なお、下のグラフでは横軸にxをとっている。