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第56回 留数定理のの定積分への応用の問題編1 [ネコ騙し数学]

第56回 留数定理のの定積分への応用の問題編1


定理(留数定理)

関数f(z)が単一閉曲線Cを境界とする領域に有限個の孤立特異点を持ち、これら以外では境界Cも含めて正則であるとき、

  fukuso-56-01.png

 


タイプⅠ 
ここでf(X,Y)X,Yの有理関数。

と置くと、

  fukuso-56-02.png

となり、[0,2π]は単位円周|z=1に移るから、

    

 


問題1 次の定積分の値を求めよ。

  

【解】

とおくと

  

さらに

  

よって、
  

ここで、

  

とおくと、f(z)は単位円|z|=1の内部にz=1/2を1位の極として持つ。

したがって、留数は

  

留数定理より

  

だから、

  

(解答終了)

 


問題2 次の定積分を求めよ。

  

【解】

fukuso-56-graph-01.pngx=πに関して対称だから

  

である。

とおくと

  

さらに

  

だから、

ここで、

  

とおくと、f(z)の極はz=1/az=a

したがって、f(z)の留数は

  fukuso-56-08.png

a<1のとき、単位円|z=1の極はz=aのみだから

留数定理より
  fukuso-56-09.png

a>1のとき、単位円|z=1の極はz=1/aのみだから

  fukuso-56-10.png

この2つの結果をまとめて

  

(解答終了)

 


問題3 0<r<Rとするとき、

  fukuso-56-11.png

を求めよ。

【解】

  fukuso-56-12.png
0<a=r/R<1
とおき、問題2の結果を使うと

  

(解答終了)



問題4

  fukuso-56-14.png

【解】

a=bのとき

  

a≠bのとき

三角関数の倍角公式より

  

したがって、
   

したがて、

  

ここで、t=2θとおくと、θ=0のときt=0θ=πのときt=2π、さらにdt=2dθだから

  

ここで、a²+b²=αa²−b²=βとおくと

  

となり
  fukuso-56-16.png

(解答終了)



  

は、第53回で求めてあるので、そちらを参照。

 


問題4は、とおいて解くのが一般的だろうが、こうすれば実積分として積分の値を求めることができる。


タグ:複素解析

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