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ねこ騙し流「アキレスと亀」 [ネコ騙し数学]

ねこ騙し流「アキレスと亀」


アキレスと亀という有名な話がある。


足の速いアキレスと足の遅い亀が走り競争することになった。

同一地点から同時に出発したならば勝負の結果は、誰の目にもあきらかだ。そこで亀はハンディキャップをもらう。

そして、ヨーイドン!!

亀がいた地点にアキレスが達したとき、亀は前を行っている。そして、その地点にアキレスが達したとき、亀はさらにその先を進んでいる。その地点にアキレスが達したとき、亀はまだ前にいる。・・・。


したがって、アキレスはいつまで経っても(?)亀に追いつけないというお話。


ゼノンのパラドクスとも呼ばれるお話。


この反論として、次のようなものをあげることができる。


亀のハンディキャップをH、アキレスの走る速さをV(m/)、亀の走るv(m/)とする。仮定よりV>m

出発後に、アキレスが亀に追いつく時間をT秒とすると、次のような方程式が成り立つ。

  

これを解くと

  

となり有限の時間Tで追いつくことができる。

あ〜、なるほどと思ってはいけない。

与えられている条件は、

 1 亀がハンディキャップをもらうということ

 2 アキレスの走る速さは亀のそれより速い

という2点だけだからだ。

アキレスの走る速さと亀の走る速さが一定という条件はどこにも加わっていない。

にもかかわらず、この仮定を勝手に加えているのだから。


そこでだ、アキレスの走る速さは一定Vで、亀の走る速さvを次のようにするにゃ。

  


tはヨーイドンからの時間(秒)とする。記号max(a,b)abの小さくない方の値。

このとき、t>0で常に

  

となり、アキレスは亀より速くて、問題の条件を満たしている。

そして、t秒後のアキレスの位置Xは、スタート地点を0とすると

  

亀の位置xは、
の場合

  

の場合は

  


となり、どちらの場合も、亀がアキレスに抜かれることはない。
亀の走る速さは限りなくアキレスの走る速さに近づくけれど、アキレスの速さよりは遅い。
そして、アキレスと亀の距離は限りなく0に近づくけれど、アキレスが亀に追い付き、追い越すことは起きない。


ただ、この記事を読んで、「ゼノンの主張が正しい」と誤解しないで欲しい。
ここで言いたのは、条件次第でゼノンの主張を否定することも肯定することもできるということだ。
問題が曖昧すぎて、これだけでは真偽が定まらないということだケロよ。

タグ:微分積分

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