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一様流中に置かれた円柱まわりの流れとダランベールのパラドクス(背理) [ネコ騙し数学]

一様流中に置かれた円柱まわりの流れとダランベールのパラドクス(背理)


d'Alembert-02.png複素速度ポテンシャルfが次の式

  

で与えられる流れの、|z=aのまわりの流れを考える。

z=aだから、これは原点を中心とする半径aの円で、この円周上の点は

  

とあらわすことができる。

したがって、この円周上における複素速度ポテンシャルは

  

であり、円周方向の速度は

  

になる。

半径aの円周上の流れ関数はΨ=0で一定だから、流線はこの円周と一致しており、円周方向の速度しか持っていない。


念のために、とおくと

  

これにr=aを代入すると

  

となり、同じ結果が得られた。

ここで、は、それぞれ、半径方向の速度、(反時計回りの)円周方向の速度である。


ここからは、流体力学の知識を借りる。

気体のように密度ρの小さい流体は位置エネルギーを無視することができるので、ベルヌーイの式は

 

となる。

ここで、pは半径aの円(柱)上の圧力、は無限遠点での圧力。

よって、

  


d'Alembert.png

円のx方向の圧力はpcosθだから、y方向の圧力はpsinθだから、この円にかかっているx方向、y方向の力、

  

となり、この円(柱)には力が働かない!!

つまり、速度が一様な流れの中に置かれた円柱の空気抵抗は0という、それはそれは”有り難い”結果が得られる。


これを、ダランベールの背理(パラドクス)という。

円柱だけではなく、球でも同じ結果が得られる。

流体力学が、まったく役立たずで、かつて、(「数)学者のお遊び」と呼ばれたのも道理だにゃ(^^)



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