微分と差分 [ネコ騙し数学]
微分と差分
f(x)を何度でも微分可能な関数とする。
このとき、f(a+h)は、以下のようにテーラー展開が可能である。同様に
(1)式から
hの1次以上の項を無視すると、x=aにおける微分係数f'(a)は次のように近似可能である。
同様に、(2)式から
が得られる。
(3)、(4)式とも1次以降の項を落としているので、誤差は1次オーダ、すなわち、O(h)である。
また、(1)から(2)を引くとh²以上の項を落とすと、
という近似式が得られる。
(5)式は、h²以降の項を落としているので、誤差はhの2次オーダ、O(h²)。
x軸上に等間隔hでならぶの点の集まりに正の方向に向かって整数の番号をつけると、という点の列、点の列が得られる。とすると、(3)、(4)、(5)式は次のように書き換えることができる。
このように書くのは面倒なので、と略記することにすると、(3)、(4)、(5)の近似式は
となる。
このように、無限小の微分を有限な差の形で近似する方法を差分法という。
(6)を前進差分、(7)を後退差分、(8)を中心差分という。2次導関数f''(x)の近似式は、次のように求めることができる。
(1)と(2)を足すと、h²以上の項を落とすと、
つまり、
となる。
なお、(6)、(7)式は不等間隔で点がならんでいる場合でも、(6)式では、(7)式はとおくことによって成り立つが、(8)、(9)は不等間隔の場合、成り立たないので注意が必要。
不等間隔の場合、テーラー展開にさかのぼって、差分による微分の近似式を求めないといけない。のx=0における微分係数を(6)、(7)、(8)を使って求めてみる。
h=0.1である。前進差分、後退差分の誤差は約0.05、中心差分は約0.0017だから、この場合、中心差分が最も精度よく計算できていることがわかるだろう。
x=2のときの微分係数の誤差とxの増分hとの関係を右図に示す。
前進、後退差分の勾配が1、中心差分の勾配が2であることがこの図から分かると思う。このことは、前進・後退差分の誤差のオーダーが1次であり、中心差分の誤差のオーダーが2次であることを指し示しており、理論通りというわけ。
つまり、hが1/10になったとき、前進、後退差分の精度が10倍良くなるのになるのに対して、中心差分は精度は100倍向上する。