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関数の極限の復習 [ネコ騙し数学]

関数の極限の復習

 

高校の関数の極限の定義は、例えば次のようなものである。

高校の関数の極限の定義

aの近くで定義された関数f(x)において、xaとは異なる値をとりながらaに限りなく近づくとき、f(x)がある一定の値αに限りなく近づく場合、

または

と書き、この値αx→αのときのf(x)の極限値という。

 

このとき、次の関数のように、関数は必ずしもx=aで定義されている必要はない。

  

この関数f(x)は、x≠aのとき

  kyokugen-siki-001.png

となるので、x→aのときのf(x)の極限値は

  

である。


kyokugen-graph-001.png

 

なのだが、上述の関数の極限の定義は、xaに限りなく近づくという表現が曖昧ということで、大学数学においては、例えば、次のように関数の極限が定義される。

大学の関数の極限の定義

aの近くで定義された関数f(x)において、任意の正数εに対して、適当な正の数δをとると、

が成り立つとき、

または

で表し、x→aのときf(x)αに収束するという。また、αx→aのときのf(x)の極限値という。

 
そして、この関数の極限の定義が、悪名高いε-δ論法と呼ばれるもので、記号∀、∃を用いて

  kyokuten-siki-000.png

と簡潔に表現したりする。

 

 

問1 ε-δ論法を用いて、次のことを証明せよ。

【解】

(1) 任意の正数ε>0に対して、δ=ε/2にとると、

  

よって、

  

 

(2)

  

0<x–1<δ≦1にとれば

  

したがって、3δ≦ε、すなわち、δ≦ε/3にとればよい。

よって、任意の正数εに対して

  

にとれば、

  

よって、

  

 

(2)の別解

0<x–1のとき

  

だから、

  

とおき、これを解くと

  

したがって、任意の正数εに対して

  

δをとると、

  

となり、よって

  

(解答終)

 

 

問2 ε-δ論法を用いて、次のことを示せ。

【略解】

(1)

  

だから、0<δ≦1にとれば

  

したがって、任意の正数εに対して

  

となるようδをとればよい。

 

(2)
  

だから、0<δ≦1にとれば

  kyokugen-siki-004.png

したがって、任意の正数εに対して、

  

δをとればよい。

(略解終わり)




タグ:極限

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