曲線y=f(x)の接線ってなんだろう? [ネコ騙し数学]
曲線y=f(x)の接線ってなんだろう?
曲線y=f(x)上の点(a,f(a))における接線について考える。
小さな数h≠0を選び、(a,f(a))と(a+h,f(a+h))の2点を通る直線(割線)を引く。hをさらに小さくして0に限りなく近づけたときに、この直線(割線)が 一定の直線に近づくならば、この一定の直線を曲線y=f(x)の点(a,f(a))における接線という。
割線の傾きは
だから、接線の傾きは
になる。
したがって、(a,f(a))における曲線y=f(x)の接線の傾きがf'(a)だから、接線の方程式は
である。
これが微分(係数)の図形的な意味である。
例1 曲線y=f(x)=|x|のx=0における接線の有無について考えてみる。
h>0のとき
h<0のとき
x=0における曲線f(x)の接線が存在するならば、極限値
が存在しなければならないが、
だから、
は存在しない。
つまり、この曲線のx=0における接線は存在しない!!
この曲線は、例えば、x軸(y=0)と原点で”接している”――接する:曲線が直線と一点だけで出合う――けれど、x軸はこの曲線の原点Oにおける接線ではない。
例2 曲線y=f(x)=x³のx=0における接線
x=0における接線の傾きは
したがって、この接線の方程式はy=0である。
そして、y=x³とy=0は原点で”交わっており”、原点(0,0)はy=x³とy=0の交点(?)である。
例3 曲線y=f(x)=x³のx=1における接線
x=1における接線の傾きは
そして、y=x³のx=1における接線の方程式とy=x³は点(−2,−8)で交わる。
つまり、国語辞典的な「接する」の定義である”数学で、曲線が直線と一点だけで出合うこと”からすると、曲線y=x³のx=1における接線y=3x–2 は曲線y=x³と接していないことになってしまう(^^ゞ
「接点は交点ではない」という人がいるなど、接線の定義――数学の定義と日常的・国語辞典的な定義――の混迷は深いようだ。