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曲線y=f(x)の接線ってなんだろう? [ネコ騙し数学]

曲線y=f(x)の接線ってなんだろう?

 

曲線y=f(x)上の点(a,f(a))における接線について考える。

bibunf-graph-001.png

bibunf-graph-002.png

小さな数h≠0を選び、(a,f(a))(a+h,f(a+h))の2点を通る直線(割線)を引く。hをさらに小さくして0に限りなく近づけたときに、この直線(割線)が 一定の直線に近づくならば、この一定の直線を曲線y=f(x)の点(a,f(a))における接線という。

 

割線の傾きは

  

だから、接線の傾きは

  

になる。

したがって、(a,f(a))における曲線y=f(x)の接線の傾きがf'(a)だから、接線の方程式は

  

である。

これが微分(係数)の図形的な意味である。

 

例1 曲線y=f(x)=x|のx=0における接線の有無について考えてみる。

h>0のとき

  

h<0のとき

  

x=0における曲線f(x)の接線が存在するならば、極限値

  

が存在しなければならないが、

   

だから、

  

は存在しない。

つまり、この曲線のx=0における接線は存在しない!!

この曲線は、例えば、x軸(y=0)と原点で”接している”――接する:曲線が直線と一点だけで出合う――けれど、x軸はこの曲線の原点Oにおける接線ではない。

 

例2 曲線y=f(x)=x³x=0における接線

x=0における接線の傾きは

  

したがって、この接線の方程式はy=0である。

そして、y=x³y=0は原点で”交わっており”、原点(0,0)y=x³y=0の交点(?)である。

 

例3 曲線y=f(x)=x³x=1における接線

x=1における接線の傾きは

  

bibunf-graph-003.pngしたがって、x=1における接線の方程式は

  

そして、y=x³x=1における接線の方程式とy=x³は点(−2,−8)で交わる。

つまり、国語辞典的な「接する」の定義である”数学で、曲線が直線と一点だけで出合うこと”からすると、曲線y=x³x=1における接線y=3x–2 は曲線y=x³と接していないことになってしまう(^^

 

「接点は交点ではない」という人がいるなど、接線の定義――数学の定義と日常的・国語辞典的な定義――の混迷は深いようだ。

 


タグ:微分積分

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