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導関数に関する定理 [ネコ騙し数学]

導関数に関する定理

 

定理

関数f(x)は開区間Iで微分可能とする。点c∈Iにおいて最大値、または、最小値をとるならば、f'(c)=0である。

[証明]

f(x)が点cで最大値をとるものし、区間Iの任意の点をxとする。

f(x)は点cで最大だから、

  

x<cのとき

  

x>cのとき

  

f(x)は点cで微分可能だから

  dkr-eq-001.pngdkr-eq-001.png

が存在し、でなければならない。

よって、f'(c)=0である。

f(x)が区間内で最小値をとるときも同様に証明できる。

(証明終)

 

dkt-graph-001.png開区間ではなく閉区間の場合、上の定理は必ずしも成立しない。

  

この関数の場合、閉区間[−1,1]の端点x=±1で最大値1をとるがf'(x)=2xだからf'(−1)=−2≠0f'(1)=2≠0で上の定理は成立しない。

x=0のときf(x)は最小値0をとる。x=0は開区間(−1,1)の点だからf'(0)=0で、上の定理が成り立っている。

 

また、

  

は、x=0で最小値0をとるが、f'(0)は存在しない。これは、f(x)が開区間(−1,1)で連続であるが、x=0で微分可能ではなく、したがって、f(x)(−1,1)で微分可能でないためである。

 

さらに、

  

は、(-1,1)で微分可能で、導関数f'(x)=3x²だからf'(0)=0となるが、f(0)f(x)は最小値でも最大値でもない。だから、「f'(c)=0ならばf(x)x=cで最大または最小である」は一般に整理しない。

 

 

定理 (ロールの定理)

f(x)[a,b]で連続、開区間(a,b)で微分可能とする。このとき、f(a)=f(b)ならば

  

となるcが少なくとも1つ存在する。

[証明]

f(x)は閉区間[a,b]で連続だから、連続関数の最大値・最小値の定理より、f(x)[a,b]で最大値、最小値をとる。

f(x)が定数の場合、常にf'(x)=0だから、定理は成立。

f(x)が定数でない場合、最大値と最小値の一方はf(a)=f(b)と異なる。これをf(c)とすると、c≠ac≠bだから、a<c<b

条件よりf(x)は開区間(a,b)で微分可能で、かつ、(a,b)で最大値または最小値を持つので、上の定理より

  

となるcが少なくとも1つ存在する。

(証明終)

 

heikinchi-graph-01.png定理 平均値の定理

関数f(x)が閉区間[a,b]で連続、開区間(a,b)で微分可能であるならば

  dkr-eq-002.png

となるcが少なくとも1つ存在する。

[証明]

 

とし、

 

とする。

g(x)[a,b]っで連続、(a,b)で微分可能であり、g(a)=g(b)=0である。よって、ロールの定理より

  

となる点cが存在する。

したがって、

  dkr-eq-003.png

となる点cが存在する。

(証明終)

 

  

とおくと、0<θ<1となり、平均値の定理を次のように書き換えることができる。

  

さらに、h=b−aとおくと

  

 

定理

f(x)g(x)を区間Iで微分可能な関数とする。f'(x)Iでつねに0であるならば、f(x)は定数である。Iでつねにf'(x)=g'(x)ならば、f(x)−g(x)Iで定数である。

【証明】

a∈Iである点aを一つとる。

平均値の定理より、x∈Iの任意の点aに対して、axの間に

  

となる点cが存在する。

c∈Iだから条件よりf'(c)=0で、

  

よって、f(x)Iで定数である。

h(x)=f(x)−g(x)とおくと、Ih(x)は微分可能。

Iでつねにf'(x)=g'(x)だから

  

h'(x)Iでつねに0である。

よって、h(x)=f(x)−g(x)は定数である。

(証明終)

 

定義

f(x)は区間Iで定義される関数とする。

x₁x₂Iに属する任意の2数としx₁<x₂とするとき、

f(x₁)<f(x₂)であればf(x)は区間Iにおいて単調増加関数または増加関数といい、

f(x₁)<f(x₂)であればf(x)は区間Iにおいて単調減少関数または減少関数という。

 

定理 関数f(x)が区間[a,b]で連続、区間(a,b)で微分可能であるとき、区間(a,b)において

(ⅰ) 常にf'(x)>0ならば、f(x)は区間[a,b]で増加関数

(ⅱ) 常にf'(x)<0ならば、f(x)は区間[a,b]で減少関数

である。

[証明]

a≦x₁<x₂≦bとすると、仮定より、f(x)は閉区間[x₁,x₂]で連続、開区間(x₁,x₂)で微分可能である。したがって、平均値の定理より

  

となるcが少なくともⅰつ存在する。

f'(c)>0のとき、

  

同様に、f'(c)<0のとき、f(x₂)<f(x₁)

(証明終)

 

定理 コーシーの平均値の定理

f(x)g(x)が閉区間[a,b]で連続、開区間(a,b)で微分可能、さらにg'(x)=0ならば

  dkr-eq-004.png

であるcが存在する。

【証明】

  dkr-eq-005.png

とおき、

  dkr-eq-008.png

とする。

h(x)は、[a,b]で連続、(a,b)で微分可能、かつ、h(a)=h(b)=0

ロールの定理より

  dkr-eq-006.png

となるcが存在する。

g'(x)a<x<bg'(x)≠0だから、g'(c)≠0

よって、

  dkr-eq-007.png

である。

(証明終わり)

 


タグ:微分積分

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