SSブログ

凸関数の問題2 [ネコ騙し数学]

凸関数の問題2

 

問題を解く前に、関数の凹凸の定義を再掲する。

 

凸graph-0001.png区間Iで定義された関数f(x)が、Iの任意の点x₁x₂x₁<x₂)に対して、x₁<x<x₂ ならば

  

であるとき、f(x)凸関数という。また、このとき、f(x)下に凸という。

また、 –f(x)が凸関数であるとき、f(x)凹関数という。

 

  

とおくと、(1)式は

  

と変形できる。

したがって、凸関数の定義に、(1)、(2)式のどちらを使用してもよい。

また、1–t =αt=βとおくと、(2)式は

となるので、(3)式を凸関数の定義に使用してもよい。

 

また、f(x)が凸関数のとき、

が成立し、

  直線AC勾配≦直線ABの勾配≦直線CBの勾配

である。


さらに、次の定理をあらためて紹介する。

 

定理 (凸関数と2次導関数)

関数f(x)が区間Iで連続、区間Iの内部で2回微分可能とする。f(x)Iで凸関数である必要十分な条件は、Iの内部でf''(x)>0であることである。

 

 

問題1 次の問に答えよ。

(1) 開区間If(x)>0f(x)は2回微分可能とする。このとき、logf(x)が凸関数ならばf(x)が凸関数であることを証明せよ。

(2) 区間でf(x)>0とする。logf(x)が凸関数ならばf(x)は凸関数であることを証明せよ。一般に逆は成立しない。
[解]

(1) logf(x)Iで2回微分可能。

  

問題の条件よりlogf(x)は凸関数だから、定理より

よって、

  

したがって、logf(x)が凸関数であるとき、f(x)は凸関数である。

 

 

(2) xyを区間Iの任意の点とし、0<t<1とする。

  

logxは増加関数だから、

  

logf(x)がで凸関数ならばf(x)も凸関数になる。

(解答終)

 

(※) a>0b>00<t<1のとき

  

である。

 

 

問題2 fは区間Iで定義された凸関数とする。このとき、次のことを証明せよ。

(1) 任意のx∈Iに対して

  

は増加関数である。

(2) Iが開区間であるとき、fは任意の点x∈Iで右側微分および左側微分が可能である。

(3) Iが開区間であるとき、fは連続である。

[解]

(1) 凸関数の定義より明らか(右上のグラフ参照)。

(2) x₁<x<x₂とする。

xx₂を固定し、x₁を増加させると、(1)よりは増加する。また、

  

だからは上に有界である。したがって、x₁→x-0のとき極限値が存在する。すなわち、

  

であり、点xで左側微分可能である。

xx_1を固定しx₂を減少させると、(1)よりは減少し、

  

だから、は上に有界。したがって、

  

が存在し、点xで右側微分可能である。

 

(3) Iが開区間のとき、(2)より、任意のx∈Ifは右側、左側微分が可能である。したがって、fは点xで左側連続、右側連続。したがって、fは点xで連続である。

 

(解答終了)

 

(3)を式で書くと

   

 

そして、問題2は次の定理の証明になっている。

 

定理 関数fが閉区間[a,b]で凸関数ならば、fは開区間(a,b)で連続である。

 


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。