関数の極限、微分の問題を膨らませて、すこし、数値解析・・・ [ネコ騙し数学]
題 f(x)=sinxとするとき、次の極限を求めよ。
この問題をただの三角関数の極限と考えれば、三角関数の和積や倍角公式を使って次のように解くことができるだろう。
【解】
(解答終了)
三角関数の極限と考えれば、これはこれで立派な解答だろう。しかし、それでは、もったいないと思う。
(1)は分母分子がともに0になる0/0の不定形の極限で、f(x)=sinxは何回でも微分可能な関数。したがって、ロピタルの定理を使って、分子分母を2回hで微分すると、次のように解くことができる。
【別解1】
f(x)=sinxは2回微分可能で、(1)は0/0の不定形の極限。ロピタルの定理を使い、分母分子をhで微分すると、
また、
よって、
(解答終)
f(x)が2回微分可能であれば、(2)式から(1)の極限はf''(x)で、(1)はf(x)の2次導関数f''(x)の導関数を与えるということがわかる。
また、o形式のテーラーの定理、
を使うのならば、n=2として、
次のような解答を作ることもできるだろう。
【別解2】
(解答終)
ところで、f(x)が微分可能のとき
である。
そこで、
とx=aにおける微分係数f'(a)を近似したとき、(A1)と(B1)の近似式のほうが精度がよいだろうか。
f(x)が1次関数のとき、どちらの式も正確な値を出してくれる。
では、2次関数f(x)=x²の場合はどうだろうか?
f'(a)=2aだから、(B1)式は正確な値を計算してくれるけれど、(A1)式による近似値はhという誤差をもっている。だから、(B1)の方がよい近似式なのだろうと推測できる。
近似式の誤差を判定する場合、o形式のテーラーの定理よりもO形式のものの方が適していると思うので、O形式のテーラーの定理をあらためて示す。
O形式のテーラーの定理
O形式のテーラーの定理より
これを(A1)に代入すると
一方、(B1)は、
を代入すると、
となる。
このことから、(A1)の誤差はh程度で(B1)の誤差はh²程度となり、(B1)の方が精度のよい近似式であると判定できる。
右のグラフは、とし、hの値を変化させ、(A1)と(B1)を用いてf'(1)=eを計算したときの誤差とhの関係を表したものである。横軸にはh、縦軸には誤差をとり、それを対数グラフであらわしてある。
このグラフを見ると、(B1)の方が(B1)よりも誤差が小さく、いい近似であることがわかる。
また、(A1)で計算した誤差とhの直線(?)の勾配が約1で誤差がhに比例し、(B1)の直線(?)の勾配が約2で誤差がh²に比例している。
このことからO(h)、O(h²)の意味が直感的に理解できるのではないだろうか。