y²=x²(x+3)からきまるxの関数のyのグラフと接線 [ネコ騙し数学]
問題 次の曲線の概形を書け。
【解1】
また、
だから、
となる。
したがって、
増減表を書くと
x |
−3 |
・・・ |
−2 |
・・・ |
0 |
・・・ |
y₁’ |
|
+ |
0 |
− |
|
+ |
y₁ |
0 |
増加 |
2(極大) |
減少 |
0(極小) |
増加 |
y₁’’ |
|
− |
|
+ |
||
凸凹 |
|
凹 |
変曲点 |
凸 |
y₂はy₁とx軸に対して対称だから、曲線の概形は次の通り。
(解答終)
高校レベルの微分を用いれば、上のように解くのが正攻法であろう。
しかし、曲線y²=x²(x+3)は次のように分解することも可能である。
このように考えると、次のような解答を作ることができるだろう。
【解2】
曲線y²=x²(x+3)を
と分解する。
曲線y₂は曲線y₁をx軸に関して折り返したものだから、y₁だけを考えれば十分。
よって、増減表(凹凸表)は次の通り。
x |
−3 |
… |
−2 |
… |
y₁’ |
|
− |
0 |
+ |
y₁ |
0 |
減少 |
−2 |
増加 |
y₁’’ |
|
+ |
||
凹凸 |
|
凸 |
したがって、この曲線の概形は次の通り。
【解1】と【解2】、どちらが楽かは言わずもがなだろう。
しかし、こんなことを言いたくて、この問題を解いたわけではない。
【解1】の
【解2】の
のy₁、y₂ともに、y²=x²(x+3)から決まるxの関数である。
しかし、解1の関数の場合、x=0で微分不可能であり、また、y₁はx=0で極小、y₂はx=0で極大である。
x=0で微分可能かによって、原点Oでこの曲線の接線が引けるかどうかの違いも出てくる。
解1の場合、x=0で微分不可能だから接線は存在しないが、解2の場合、x=0でy₁、y₂ともに微分可能で、接線が2本存在することになる。
原点Oで曲線の接線を引けるかどうか、この差は決定的だケロ。
曲線上の点で接線が2本引けるというのも考えてみれば妙な話のように思える。さてさて、この曲線の原点(0,0)における接線は0本か、それとも2本か、なんとも悩ましい話である。
出ないと思うけれど、もし、大学入試で「この曲線の原点(0,0)における接線を求めよ」という問題が出題されたら、受験生はどのように答えるのだろうか。
実に興味深い問題である(^^)
なお、この曲線
で囲まれている領域の面積Sは、
だから、t=x+aとおくと、x=−a →t=0、x=0→t=aに対応し、dx=dtだから
である。
宿題 曲線y²=x²(x–3) の概形をかきなさい。
おそらく、このグラフを書けるヒトは意外に少ないに違いない!!