2次形式の標準化 [ネコ騙し数学]
2次形式の標準化
2次形式
変数x、yと実係数a、b、hで定められる関係式
を2次形式という。
これは行列を使うと
で表される。
例
ところで、対称行列は適当な直交行列P()を用いて
と対角化することができる。
そこで、
とすると、
と、2次形式F(x,y)=ax²+2hxy+by²を2次形式の標準形
にすることができる。
ここで、α、βは行列Aの固有値である。
問題1 次の2次系式を標準化せよ。
【解】
よって、行列Aの固有値はt=2、8。
t=2のとき
t=8のとき
したがって、t=2、8のときの固有ベクトルは、
したがって、この固有ベクトルの単位ベクトルは
よって、
で、
したがって、とすると、
t=3に対する単位固有ベクトルは
t=−2に対する単位固有ベクトルは
したがって、直交行列Pは
となり、
したがって、とおくと、
(解答終)
x軸とy軸をθだけ回転した新しい座標軸をu、vとする。
このとき、xy座標系での点Pの成分(x,y)と、新しいuv座標系での点Pの成分(u,v)との間には
という関係がある。
行列を用いて表すと、
ここで、
とおくと、行列Pの行と列の成分を入れ替えた行列(転置行列)は
となり、
⑨を2次形式F(x,y)=ax²+2hxy+by²に代入すると、
uvの項の係数を0にするには、θを
にとればよく、このようなθをとれば2次形式の標準形になる。
問題2 2次曲線2x²–2xy+2y²=9 を標準形にせよ。
【答】
だから、の対角化を図る。
行列Aの固有方程式は
t=1のときの固有ベクトルは
t=3のときの固有ベクトルは
固有ベクトルの正規化――大きさ1の単位ベクトルにすること――をすると、
したがって、
このようにPを選ぶと
なるケロ(実際に計算して、こうなることを確かめよ)。
だから、として、2x²–2xy+2y²=9を標準化すると、u²+3v²=9になる。
(解答終)