第19回 級数を用いた微分方程式の解法 [ネコ騙し数学]
第19回 級数を用いた微分方程式の解法
かりに次の微分方程式があるとする。
もしこの微分方程式の解が
と、べき級数で表され、さらに、項別微分が可能、すなわち、
であるとすれば、(1)式は
となり、べき級数の係数を比較すると
という漸化式が得られ、さらに初期条件y(0)=1より
したがって、漸化式から
となり、
が得られる。
(2)のべき級数(マクローリン級数)は、
であり、(1)の解と一致する。
ちなみに、(2)のべき級数の収束半径Rは、
参考までに、次の定理を。
定理
整級数の収束半径をR>0とすると、この整級数で定義された関数fは、−R<x<Rで微分可能で、項別微分が可能である。すなわち、
である。
問題1 次の微分方程式の解を求めよ。
【解】
とし、項別微分が可能であるとする。
だから、これを微分方程式に代入すると、
これがすべてのxについて成立するから、
また、初期条件より
したがって、
nが奇数のとき、すなわち、n=2m+1(m=0,1,2,・・・)のとき、
nが偶数のとき、すなわち、n=2mのとき
よって、
したがって、
(解答終)
問題2 次の微分方程式の与えられた初期値をもつべき級数解を、はじめの0でない3個まで求めよ。
【解】
とおくと、
初期条件y(0)=0よりa₀=0。
また、初期条件y(0)=0より
①と②を微分方程式に代入すると、
xとx²の項を比較すると、
したがって、
x³の項を比較すると、
よって、
(解答終)