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[境界積分の積分部品(ラプラス型)] [ネコ騙し数学]

[境界積分の積分部品(ラプラス型)]

ddt^3-001.pngddt^3-002.png

前回の最後で、境界積分を解析的に実行すると決心したのでした(^^;)。そこで境界積分に必要な積分部品をトップダウンで特定し、一つ一つ解析的に積分してボトムアップする事にします。そういう訳でここでは、記述を系統立てる記号の定義に終始します。

 図-1に示した一つの境界要素kでの境界積分は、境界上で解関数ψとその外法線微分qを線形近似した場合、

  

となりました。Lkは要素kの長さ、ψjqjは図-2に示した節点jj+1でのψ(c)q(c)の値です。

 (1)(2)の境界未知数ψj+1ψjqj+1qjの係数を、要素k上の未知量ψjqjに関する係数という意味で、

  bem2-002.png

  bem2-003.png

と書きます。(3)(6)を使うと(1)(2)は、

  bem2-004.png

と書けます。図-2に示した幾何学的な積分パラメータによって、bj(k)hj(k)の具体的形を与える事が、当面の目標です。

 これも前回の結果から、

  

です。(9)(10)(3)(6)に代入します。

  
  
 式(11)(14)を眺めると、

  

   

という定積分を求積出来れば良いとわかります。ところで積分計算の一般的傾向として、「分母は出来るだけ簡単に、logの中身も出来るだけ簡単に」した方が、「計算としてまだマシ!」ってのがありますよね?。

 よって上記は、cstと置換して、

  

  

とやるのが安全です。式(19)(22)の積分部品を拾うと、

  

  

 さらに定積分は不定積分がわかれば良いので、式(23)(26)の不定積分を(t)付きで表し、以上を全部のまとめて、ボトムアップ公式として書き出します。

  

  

  

  

  

  

  

  

 大変そうに見えますが、式(27)(30)が計算できたとすれば、その結果を、式(31)(34) → (35)(38) → (39)(42) → (43)(44)と順番に代入して行けば良いだけです。こういう事はコンピュータの最も得意とするところです。

 

 よってあと人間のやるべき事は、式(27)(30)の不定積分を決定する事だけですよ(^^)

 


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[ラプラス型境界要素法の境界積分の詳細] [ネコ騙し数学]

[ラプラス型境界要素法の境界積分の詳細]

ddt^3-001.png

 ラプラス型境界要素法の基礎式は以下でした。

 

 内点方程式:η)Rの内点。

  

 境界方程式:η)Rの境界C上。

  

 ここで求めたい未知関数ψ(xy)はポアソン方程式、

  

を満たします。g(xy)は既知関数です。η)を特異点と呼びます。

 

 図-1に示した領域Rが、解きたい偏微分方程式(3)の解析領域でCRの境界とします。式(1)(2)の∫C dcは境界C上の線積分,∫R dxdyRでの領域積分です。式(2)kk(ξη)で、その点での境界Cの内角を表します。

 ψ*はラプラス方程式の基本解で、

 

  

を取れます。qq*は、図-1に示した境界C上での外法線の方向βへの、ψψ*の外法線微分値になります。また式(4)rの方向をγとします。境界上のψqが具体的に定めたい未知数になります。何故ならそれらが求まると式(1)から、領域内任意点のψの値を計算できるからです。

 

ddt^3-002.png 最初に式(1)の境界積分項を検討します。右辺の領域積分は、比較的簡単に処理できます。

 ψqを具体的に近似するために、領域Rを折れ線近似し、折れ線の各線分を境界要素と呼んで要素番号kを与えます(図-1)。線積分の定義に従い、kの番号付けはCを左回りに一周が便利です(k12,・・・n)。

 図-1の境界要素を一個取り出して、外法線方向βがちょうど上向きになるように描いたのが、図-2です。

 ∫C dcは境界積分なので、図-2の境界要素上の点(xy)が積分点です。線積分の定義より積分点(xy)は、右から左へ走る事になります。それに伴って積分パラメータcは、要素kの長さをLkとすれば、c0→Lkと増加し、これが要素k上での∫C dcの積分区間になります。

 

 要素kの長さLkが十分小さければ、要素k上でψ(c)q(c)の変化は線形近似くらいで十分です。ψ(c)q(c)を線形近似するために境界要素の両端に節点を配置し、節点番号jを与えます。線積分の定義に従い、jの番号付けもCを左回りに一周させるのが、一番便利です。明らかにj12,・・・nで、境界要素数と同数の節点が配置されます。節点jj+1でのψ(c)およびq(c)の値を、jψj+1)および(qjqj+1)で表します。

 

 線形近似だったので要素k上では、

  

です。これを(1)の境界積分項に代入すると、要素k上で、

   

 となります。

 かなりごちゃごちゃしてますが(数値計算なんてそんなもの(^^;))、式(1)(2)が基礎式である限り、具体的に積分できなければお話にもなりません。そういう目で(8)(9)を見直すと、基本解に関するψ*(c)q*(c)の具体的形が必要なのがわかります。

 

 まずψ*(c)については式(4)よりrのみの関数なので、rcで表せば良い事になります。特異点η)から境界要素kへ下した垂線の長さをh,垂線の足の位置を要素局所座標系cで表した値をsとします。c0の時とcLkの時のrr1r2として、rの方向をγで表すのにならって、r1r2の方向をγ1γ2とします。

 

 図-2から、

  

ですが、r1βγ1は境界要素kの配置と特異点の位置だけで決まるので、これらはcに対して定数です。

 従って、

  

に関する積分をすれば良い事になります。

 次にq*(c)については、ψ*(xyξη)の境界上での外法線方向微分値なので、最初に、(xy)におけるψ*(xyξη)x方向偏微分とy方向偏微分を計算します。

  

ここでrは式(4)で表したものであり、cosθ(xξ)/rsinθ(yη)/rです。(xy)が境界上にある場合は、rは式(12)で表され、図-2から明らかにθγになりますが、

  

も図-2から得られます。従って外法線β方向への方向微分の公式に(14)(17)を使うと、

  

が得られます。

 

 よって式(8)(9)の積分は、

  bem01-002.png

の積分計算に帰着できるのがわかります。

 (21)(22)は、有理関数の積分になってます。なので、「やりゃ~必ず求積できる」事にはなります。(19)(20)は、logの前にかかった1cを先に積分する部分積分を実行すれば、やはり有理関数の積分に帰着でき、「やりゃ~必ず求積できる」事にはなりますが・・・。あえてやりたい計算ではないですよね?(^^;)

 

 しかしやるんです。やるべきなんです!。どうしてかと言うと、大学以上の数学において「計算すりゃぁ~答えが得られる」なんていう事態は、ほとんど万に一つの幸運だからです!。もっと賢いカッコ良い方法は、計算結果を得た後でいくらでも考え付けます。そういう事を出来るようになるためにも、地道に計算するんですよ。それが大人の数学だと思います。

 

 ただし「岩波公式集」なんかは使って良いよ、という事にもなります。これも大学以上の数学の大人の対応です(^^)

 (執筆 ddt³さん)


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