方向余弦とクロネッカーのデルタなど [ネコ騙し数学]
方向余弦とクロネッカーのデルタなど
xy平面上に原点Oからの距離がa>0である点Aがあるとする。つまり、である。
点Aの座標を(A₁,A₂)とすれば、
である。
ベクトルとx軸、y軸の正の向きとなす角をそれぞれα、βとすると、
となるので、(1)式より
となる。
このを方向余弦という。
3次元の空間の点の場合は、A=(A₁,A₂,A₃)とし、とx軸、y軸、z軸の正の向きとなす角をそれぞれα、β、γとすれば、
さらに、
なので、
このを方向余弦という。
3次元の場合、とし、ベクトル方向余弦をl、m、nであらわす。このとき、
である。
再び、2次元のベクトルに戻り、x軸、y軸の正の方向をもつ、大きさ1のベクトル、つまり、x軸、y軸の基本ベクトルをとすると、内積の定義より
特に、ベクトルが単位ベクトル、つまり、のとき、方向余弦は
と、基本ベクトルと与えられる。
同様に、3次元の場合は、方向余弦l、m、nは、
ここで、はz軸の基本ベクトルである。
ところで、2つの基本ベクトルの内積には次の関係がある。
クロネッカーのデルタは
だから、基本ベクトルの内積は
とクロネッカーのデルタを用いてあらわすことができる。
ところで、との内積を求めると、
総和記号Σを使うと、
同様に、
これをまとめると、
特に、が単位ベクトルのとき、その方向余弦と添字つきのlであらわすと、
になるので、
今後、クロネッカーのデルタを使った計算がウンザリするほど出てくるので、
⑨の公式は重要だケロ。
そして、
⑨の公式をじっと見つめると、ある種の規則性に気付くと思う・・・。
問 の方向余弦を求めよ。
【解】
したがって、
は、と同じ方向の単位ベクトル。
よって、方向余弦l、m、nは
(解答終)