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第13回 テンソルの特性方程式、内積など [ネコ騙し数学]

第13回 テンソルの特性方程式、内積など

 

§1 テンソルの特性方程式

 

空間内に設定された直交座標系O-x₁x₂x₃に関するテンソルTの成分をとする。Eを単位行列とすると、行列式

    

λについての3次の多項式になる。

他の座標系O-x'₁x'₂x'₃に関するテンソルTの成分をとし、

  

とおく。

すると、

  

だから、これを上式に代入すると、

  

したがって、テンソルTの成分の成分で作ったF(λ)は使用する直交座標系には無関係で、テンソルTによってのみ定まる。そして、このF(λ)をテンソルTの特性方程式という。したがって、次の3次方程式

  

の3つの解をλ₁λ₂λ₃とすれば、これらは直交座標系には無関係で、テンソルTによってのみ定まる。このλ₁λ₂λ₃をテンソルT固有値F(λ)=0をテンソルT特性方程式固有方程式)という。

F(λ)=0を展開すると、

  

3次方程式の解と係数の関係より、

  

特性方程式F(λ)=0の3つの解λ₁λ₂λ₃は使用する直交座標系とは無関係でテンソルTのみによって決定されるので、上の3つの式の左辺は使用する直交座標系とは無関係でテンソルTのみによって決まる不変量である。

この3つの内、

  

は、それぞれ、テンソルTトレース行列式と呼ばれる。

 

§2 テンソルの内積

 

2つのテンソルSTの直交座表系O-x₁x₂x₃における成分をそれぞれとするとき、

  

をテンソルST内積といい、記号STであらわす。

すなわち、

  

である。

 

ただ、テンソルの内積STに意味を持たせるには、直交座標系によってこの値が変わらないことを示す必要がある。

そこで、O-x'₁x'₂x'₃に関するテンソルSTの成分をとすると、テンソルの成分の変換硬式から

  

したがって、

  ten13-004.png

ここで、

  

だから、

  

よって、

  

つまり、

は、使用する直角座標系に無関係でテンソルSTによってのみ決定される。

ここで、

である。

 

特に、S=Tのとき、

  

よって、テンソルTの長さ

  

と定義することができる。

テンソルの長さの定義より、

  

となるテンソルTは零テンソルのみである。

 


タグ:テンソル
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