第12回 コーシー・リーマンの関係式 [ネコ騙し数学]
第12回 コーシー・リーマンの関係式
複素関数w=f(z)の微分可能性、正則性を判定する便利な(?)定理を紹介しますにゃ。
定理
とおく。
が成り立つことである。
証明は、結構、大変だにゃ。
【必要性】
f(z)は正則(微分可能)なので、
が存在する。
で、Δz=Δx+iΔyとすると、となるにゃ。
こういう言い方はちょっとインチキなんだけれどΔy=0とすると
上の式はとなる。
同様に、Δx=0とすると、
となる。
このことから、
【十分性】
uとvの偏導関数が連続、つまり、全微分可能であるとすると
となる。
故に、
だから、微分可能。
―――十分性の証明は高木貞治の『解析概論』からパクったにゃ。真面目にやろうとすると、式が長くなって大変なんだケロ―――
欲しいのは、コーシー・リーマンの関係式だにゃ。
そして、
という結果だにゃ。
前回、は微分可能じゃないというのをやったにゃ。このとき、u=x、v=−yとなるので、
となって、コーシー・リーマンの関係式を満たさない。
では、問題を一つ。
問題1 はz=0で微分可能だが、正則でないことを示せ。
【解】
よって、
となる。
よって、uとvの偏導関数は連続なので全微分可能であり、また(x,y)=(0,0)において
となるので、(0,0)で微分可能。
しかし、z=0以外では微分可能でないから、正則でない。
問題2 次の関数の微分可能性を論じるケロ。
【解】
これが微分可能で正則であることは前回やっているんだけれど、コーシー・リーマンの関係を使って証明してみるにゃ。となるにゃ。
だから、
になる。
そして、これらの偏導関数は連続なので、uとvは全微分可能。
となって、コーシー・リーマンの関係を満たすにゃ。
よって、定義域の全点で微分可能であり、正則である。
ちなみに、この微分は
となり、
という微分公式にn=2としたものと一致している。
タグ:複素解析
2015-10-30 12:00
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