第36回 反転2 [ネコ騙し数学]
第36回 反転2
原点OとOとは異なる点Pがあるとする。このとき、半直線OP上に
点Pと点Qの座標をP(x,y)、Q(X,Y)とすると、
という対応関係がある。
前回、原点Oを通る直線についてやらなかったので、ここから始めることにする。
原点を通る直線は
ax+by=0
になるので、この直線は③よりとなり、反転によって同じ直線ax+by=0に移されることがわかる。
前回、反転によって、原点を通らない直線は原点を通る円(原点は除く)に、原点を通る直線は原点を通らない直線に変換されることは示した。
なので、反転によって原点を通らない円がどのような図形に変換されるのか調べてみることにする。計算を簡単にするために反転の半径r=1とする。
中心(a,b)、半径kの円の方程式はこの円は原点を通らないので
r=1のとき
という対応関係があるので、
計算を簡単にするために
とおくことにする。
よって、原点を通らない円になる。
何故、原点を通らないかというと、(X,Y)=(0,0)を代入すると
となり、a²+b²<>k²だから、右辺と左辺が一致しなことからわかる。
問題
座標平面上の直線x+y=4上の任意の点Pと原点Oを通る直線が円x²+y²−x−y=0と交わるO以外の点をQとするとき、が一定であることを証明し、この一定値を求めよ。
この問題を解く気はない。
OP・OQ=4として、x+y=4上の点を反転させて得られる図形がこのことは、r=2の時の反転の変換式
を使うと、
となることすぐに確かめられる。
【解】
P(α,β)とすると、Pは直線x+y=4上の点なのでα+β=4
よって、直線OPの方程式はQはこの直線とx²+y²−x−y=0の交点なので
Qは原点とは異なる点なのでx≠0。
したがって、
よって、
となり、OP・OQは一定値で、その値は4である。
(解答終わり)
(※)
第35回 反転 [ネコ騙し数学]
第35回 反転
§1 反転とは
中心O、半径rの円がある。Oとは異なる点Pを、半直線OP上にありを満たす点Qに移す。この変換を反転といい、Oを反転の中心、rを反転の半径という。
Pが円Oの内部にあるとき、すなわち、OP<rのとき
になるので、Qは円Oの外部にある。
Pが円周上にあるとき、つまり、OP=rのとき
なので、P=Qになる。
さらに、Pが円の外部にあるとき、OP>rのとき
になり、Qは円の内部にある。
反転円(反転の半径r)の中心O(0,0)、さらに点P、Qの座標をそれぞれP(x,y)、Q(X,Y)とする。
Qは半直線OP上にあるので、ベクトルで書くととなる実数kが存在する。
座標で書くと
となる。
よって、
したがって、
また、
とおき、同様の議論をすると、
という変換式が得られる。
反転によるPからQへの移動を
また、②と③を使って反転の反転を実際に計算してみると、
となり、反転の反転は自分自身であることがわかる。
反転の定義式
からこのことはほとんど明らかなのだけれど、こういう関係がある。
§2 問題
抽象的な話をしてもピンとこないと思うので、次の問題を解いてみることにする。
問題1
座標平面上の点(1,0)を中心とし、半径2の円をCとする。座標平面上の円Cの外側にある点Pと原点Oを結ぶ線分が、円Cの周と交わる点をQとし、をf(P)であらわす。
(1) Pの座標が(4,2√3)であるとき、f(P)の値を求めよ。
(2) f(P)=3となるような点Pの軌跡の方程式を求めよ。【解】
(1) 点(1,0)を中心とする半径2の円Cの方程式はQ(x,y)とすると
より、
点Qは、円Cの円周上にあるので
k>0なので、k=2。
(2) 点Pと点Qの座標を(X,Y)、(x,y)とする。
f(P)=3なので点Qは円Cの円周上の点なので
よって、
よって、
(解答終わり)
最後で、さり気なく(X,Y)を(x,y)にすり替えるのがポイント(^^)
この問題の(1)の場合、
となり、反転円は原点Oを中心とする半径√14の円
であることがわかる。
問題2
xy平面上の原点O以外の点P(x,y)に対して、点Qを次の条件(A),(B)を満たす平面上の点とする。(A) 点Qは、原点Oを始点とする半直線OP上にある。
(B) 線分OPの長さと線分OQの長さの積は1である。
問1 点Qの座標をx、yを用いて表せ。
【解】
(1) OP・OQ=1=r²なので、反転円の半径r=1。①より
(2) Q(X,Y)とすると②より
これを
に代入する。点Pは原点以外の円周上の点なので、⑨より
よって、
ここで、さり気なくX、Yをx、yにすり替えて
が求める軌跡ということになる。
(解答終わり)
紫色の点が点Pの単位円に関する反転によって得られる点。
また、Qに対する反転はPになるのでを反転して得られる図形(反形)が
になる。
ここから一般論にもってゆくのは危険なのですが、このことから原点を通る円(原点は除く)の反形は原点を通る直線に、原点を通る直線(原点は除く)の反形が原点を通る円になることを理解してもらえるのではないか。
一般論は
ただし、原点は除くとすればいいにゃ。
原点を通る直線は、反転の定義から、それ自身に映ることは明らか。原点を通らない円については次回ということで。
第34回 問題演習 [ネコ騙し数学]
第34回 問題演習
円周角の定理や方べきの定理を使って解く問題の追加。
問題1
△ABCの頂点Aより辺BCにおろした垂線をAH、外心をO、AOと△ABCの外接円の交点をDとするとき、次のことを証明せよ。(1) ∠BAD=∠CAH
(2) AB・AC=AD・AH(1) △ABDと△AHCにおいて、
問題の条件より
∠AHC=∠RABは直径なので
∠ABD=∠R同じ弧ABの円周角なので
∠ADB=ACB=∠ACHよって、
∠BAD=∠CAH(2) (1)より△ABD∽△AHC
問題2 (ブラマーグプタの定理)
円に内接する四角形ABCDの対角線が直交するとき、その交点をEとすれば(1) Eから辺CDへおろした垂線は、対辺の中点を通る。
(2) 逆に、Eを辺ABの中点を結ぶ直線は、対辺CDに垂直である。【証明】(1) △CEDと△EHDに注目。∠CEDは共通、また
∠CED=∠EHD=∠R
なので、∠DHE=∠ACD
また、対頂角相等より∠MEB=∠DHE=∠ACD
同じ弧ADの円周角なので∠ABD=∠ACD=∠MEB
よって、MB=ME
△ABEは∠AEB=∠Rの直角三角形なのでAM=MB=ME
よって、EHはABの中点Mを通る。(2) ABの中点をMとし、MEの延長とCDの交点をHとする。
Mは直角三角形ABEの中点なので、AM=MB=ME
よって、∠ABE=∠BEM
対頂角相等より∠DEH=∠BEM=∠ABE=∠ABD
同じ弧ADの円周角なので∠ECD=∠ACD=∠ABD=∠DEH
∠EDCは共通なので△DEH∽△DCEよって、
∠DHE=∠DBC=∠Rしたがって、EM⊥CDである。
(証明終わり)ちなみに、円に内接する四角形ABCDの各辺の長さをAB=a、BC=b、CD=c、DA=d、さらに
とするとき、円に内接する四角形ABCDの面積Sは
に等しい。
この公式をブラマーグプタの公式という。
問題3 上記のブラマーグプタの公式を証明せよ。
【証明】よって、四角形ABCDの面積Sは
余弦定理より
ここで技を使って
ここで辺々を掛け合わせる。
①と②より
(証明終わり)
ブラマーグプタの公式が使えるのは、円に内接する四角形の場合だけ。一般の四角形には使えないので、注意が必要。
問題4
△ABCの∠Aの2等分線と外接円が交わる点をEとする。BC=a、CA=b、AB=cとし、AEの長さを求めよ。【解】
ADの延長と円の交点をEとする。
ADは∠Aの二等分線なので、点DはBCを
に内分する。
よって、
△ABDと△AECに注目。
同じ弧ACの円周角なので
∠ABD=∠ABC=∠AECまた
∠BAD=∠EACよって、△ABD∽△AEC
方べきの定理より
AB=c、AC=b、①、③、④から
②より
(解答終わり)
第33回 方べきの定理の問題 [ネコ騙し数学]
第33回 方べきの定理の問題
第33回で出てきた方べきの定理、方べきの定理の逆を使って解く問題を解くことによって、方べきの定理とその逆の理解を深めることを目的とする。
前回の復習をかねて、方べきの定理とその逆を再掲します。
定理 (方べきの定理Ⅰ)
円の2つの弦AB、CDまたはその延長の交点をPとすると
定理 (方べきの定理Ⅰの逆)2つの線分AB、CDまたはそれらの延長が点Pで交わるとき、
であるならば、4点A、B、C、Dは同一円周上にある。
定理 (方べきの定理Ⅱ)
円Oの外部の点Pから円Oに引いた接線をTとする。Pを通り円Oに2点A、Bと交わる直線を引くと
定理 (方べきの定理Ⅱの逆)
1直線上にない3点A、B、Tおよび線分ABの延長上に点Pがあってならば、PTはA、B、Tを通る円に接する。
では、問題。
問題1
次の図のように、点Tで外接する2円がある。この点における2円の共通接線上に点Pをとり、Pを通る2直線が2円とそれぞれ2点A、BとC、Dで交わっている。
このとき、4点A、B、C、Dは同一円周上にあることを証明せよ。【証明】
方べきの定理Ⅱから方べきの定理Ⅰの逆より、4点A、B、C、Dは同一円周上にある。
(証明終わり)
問題2
点Oを中心とする半径2の円内の点Pを通って引いた弦ABについてのとき、線分OPの長さを求めよ。
【解】
円内の点Pを通る直径をひき、直径の両端をC、Dとする。OP=xとすると、 CP=2−x、PD=2+xとなる。
方べきの定理よりよって、OP=√3
(解答終わり)
問題2をより一般化すると、次の問題になる。
問題3
中心O、半径rの円と1点Pがある。Pを通る直線がこの円と交わる点をA、Bとするとき、であることを証明せよ。
【証明】
Pを通る直径をひく。方べきの定理より
方べきの定理より
(3) Pが円周上にあるとき、このとき、PA=0またはPB=0。また、PO=rなので
となり、成立。
(1)、(2)、(3)より
(証明終わり)
問題4
△ABCにおいて∠A=2∠Bならばであることを示せ。
【証明】
BAの延長上にAC=ADとなる点をとる。AC=ADなので△ACDは2等辺三角形。よって
∠ACD=∠Dまた、△ACDの内角と外角の関係より
∠BAC=2∠ACD ①また、問題の条件より
①と②より
∠ACD=∠D=∠B
よって、接弦定理の逆よりCDは円のCにおける接線である。また、∠D=∠Aなので
BC=CD方べきの定理Ⅱを使うと
AD=AC、CD=BCなので
(証明終わり)
第32回 方べきの定理 [ネコ騙し数学]
第32回 方べきの定理
定理 (方べきの定理Ⅰ)
円の2つの弦AB、CDまたはその延長の交点をPとすると
対頂角相等より
∠APD=∠BDC同じ弧ACの円周角なので、円周角の定理より
∠ADC=∠CBPよって
△ADP∽△BCPしたがって
(証明終わり)
定理 (方べきの定理Ⅱ)
円Oの外部の点Pから円Oに引いた接線をTとする。Pを通り円Oに2点A、Bと交わる直線を引くと
接弦定理より
∠ATP=∠Bまた∠Pは共通なので
△BPT∽△TPAよって
(証明終わり)
定理BはCとDが接点に限りなく近づけば
になると考えることもできる。
方べきの定理は、逆も成り立つ。
(証明)定理 (方べきの定理Ⅰの逆)
2つの線分AB、CDまたはそれらの延長が点Pで交わるとき、であるならば、4点A、B、C、Dは同一円周上にある。
また、対頂角相等
∠APD=∠CPB
よって△APD∽CPB
故に∠ADP=∠CBP
弦ACに対する円周角が等しく、点Bと点Dは弦ABに関して同じ側にあるので、円周角の定理の逆により、4点A、B、C、Dは同一円周上にある。
(証明終わり)
定理 (方べきの定理Ⅱの逆)1直線上にない3点A、B、Tおよび線分ABの延長上に点Pがあって
ならば、PTはA、B、Tを通る円に接する。
【証明】仮定より
∠Pは共通。
2辺の比と2辺が挟む角が等しく
△BPT∽△TPAしたがって
∠ATP=∠ABT接弦定理の逆より、
PTはA、B、Tを通る円の接線であり、PTはA、B、Tを通る円に接する。(証明終わり)
問題1 次の図のx、yの大きさを求めよ。
(1)(2)
【解】
(1) 方べきの定理Ⅰより
(2) 方べきの定理1より
x>0なので、x=10。
方べきの定理Ⅱより
よって、x=10、y=2√10が答え。
問題2
2点 A、Bで交わる2円があり、線分BAの延長上に点Pがある。Pを通る直線が一方の円と2点で交わり、Pを通る別の直線が他方の円と2点で交わるとき、これら4点が同一円周上にあることを証明せよ。
【証明】Pから円O₁、O₂に直線を引き、その交点を図のようにC、D、E、Fとする。
方べきの定理Ⅰより
よって、方べきの定理の逆より4点C、D、E、Fは同一円周上に存在する。
(証明終わり)
第31回 接弦定理 [ネコ騙し数学]
第31回 接弦定理
接弦定理
円の接線と接点を通る弦のなす角は、この角内にあるこの弧の作る角は、この角内にある弧に対する円周角に等しい。∠BAT=∠APB
∠BATが鋭角、直角、鈍角の3つの場合に場合分けして、証明を行う。
【証明】
(1) ∠BAT<90°AOの延長とAと異なる円との交点をCとする。
同じ弧の円周角なので、円周角の定理より
直径ACを弦にする円周角なので
∠ABC=90°△ABCに注目。
三角形の内角の和は180°なので∠ACB+∠BAC=90°
①より∠APB+∠BAC=90° ②
また、直線ATは円の接線なので ∠CAT=∠BAT+∠BAC=90° ③
②と③より
(2) ∠TAB=90°の場合
半円が作る円周角∠APB=90°なので
∠TAB=∠APB
Aに関してTと反対側の接線上に点T'をとる。さらに、ABに関してPと反対側の円周上に点Qをとる。
このとき、∠T'AB<90°なので弧APBに対する鋭角の接弦定理(1)が使え、
また、四角形APBQは円に内接するので
よって、①より
直線TT'の角度は180°だから
②と③より
(1)、(2)、(3)より、
であることが証明された。
定理(接弦定理の逆)
円Oの弧ABと半直線ATが直線ABの同じ側にあって、弧ABに対する円周角∠ACBと∠ATが等しいとき、直線ATは円OのAにおける接線である。【証明】
点Aにおける円Oの接線を引き、直線ABに関して弧ABと同じ側にある接線上の点をT’とする。接弦定理より
仮定より、
よって、
また、TとT’は直線ABに関して同じ側にあるので、直線ATと直線AT'は一致する。
(証明終わり)
問題1
AB、CDは接点Pを通る直線である。このとき、であることを証明せよ。
【証明】共通接線をTPT'とする。
接弦定理より
対頂角相等より
よって、
∠CAP=∠DBP
錯角相等より(証明終わり)
問題にはないけれど、このことから△ACP∽△BDPであることがわかる。
問題2 x°=∠PABを求めよ。
接弦定理より∠PAB=∠C=x°
△APBの内角と外角の関係より∠ABC=∠APB+∠PAB=26°+x°
直径BCに対する円周角だから∠BAC=90°△ABCの内角の和は180°だから
【別解】
PAは接線なので∠OAP=90°△APOの内角の和は180°だから
また、接弦定理より
∠C=x°
中心角の定理より∠AOP=2x°
よって、
第29回 円周角の定理の逆 [ネコ騙し数学]
円周角の定理の逆を取り上げる前に、復習として、円周角の定理。
円周角の定理
1つの弧に対する円周角は、その弧に対する円周角の半分に等しい。そして、円周角と孤に関する次の定理。
定理
同じ円、または、半径の等しい円において(1) 等しい弧に対する円周角は等しい
(2) 等しい円周角に対する弧は等しいでは、今回の本題である円周角の定理の逆を紹介します。
円周角の定理の逆
2点P、Qが直線A、Bに関して同じ側にあるとき、∠APB=∠AQB
ならば、4点A、B、P、Qは同じ円周上にある。この定理を証明する前に、まず、次のことを証明します。
補題
円周上に3点、A、B、Cがあり、直線ABに関してCと同じ側にPをとるとき(ⅰ) 点Pが円周上にあるとき ∠APB=∠ACB
(ⅱ) 点Pが円の内部にあるとき ∠APB>∠ACB(ⅲ) 点Pが円の外部にあるとき ∠APB<∠ACP
である。【証明】
(ⅰ) Pが円周上にあるとき、円周角の定理より∠APB=∠ACB
(ⅱ) Pが円の内部にあるとする。APの延長と円の交点をQとする。
∠APBは△PBQにおける∠BPQの外角なので
∠APB=∠AQB+∠PBQ>∠AQBまた、円周角の定理より
∠AQB=∠ACBよって、
∠APB>∠ACBである。
(ⅲ) Pが円の外側にあるとする。APと円の交点をQとする。
∠AQB=∠APB+∠PBQ>∠APB
また、円周角の定理より∠AQB=∠ACB
よって、∠APB<∠AQB
(証明終わり)
定理 (円周角の定理の逆)
2点P、Qが直線A、Bに関して同じ側にあるとき、∠APB=∠AQB
ならば、4点A、B、P、Qは同じ円周上にある。【証明】
(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)の条件はすべてを尽くしており、また、(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)の結論はそれぞれ両立しない。よって、転換法によって、この命題は真である。
(証明終わり)
直線ABに関して点C、Dは同じ側にあり、
∠ACB=∠ADB=50°
だから、円周角の定理の逆によって、点A、B、C、Dは同一円周上にあり、四角形ABCDはこの円に内接する。直線ABに関してC、Dは同じ側にあるけれど、
∠ACB≠∠ABD
だから、点A、B、C、Dは同一円周上にない。
問題
図のように、△ABCの辺ABを1辺とする正三角形ADB、辺ACを1辺にする正三角形ACEがある。(1) △ABE≡△ADCであることを示せ。
(2) 4点A、D、B、Pが同一円周上にあることを示せ。【証明】
(1)△ADBは正三角形なのでAB=AD
△ACEは正三角形なのでAE=AC
また、
2辺挟角相等より
(2) 点A、Pを直線で結ぶ。
△ABE≡△ADCより、
∠ADP=∠ABP
また、点D、Pは直線APに関して同じ側にある。よって、円周角の定理の逆より
4点A、D、B、Pが同一円周上にある(証明終わり)
第29回 円周角の定理 [ネコ騙し数学]
第29回 円周角の定理
次の2つの定理を既知のものとして話を進めることにする。
定理A
等しい中心角に対する弧または弦は等しい。
定理B(定理Aの逆)
等しい弧または弦に対する中心角は等しい。
では、円周角の定理。
円周角の定理
1つの弧に対する円周角は、その弧に対する円周角の半分に等しい。
弧ABに対する円周角∠APBは
というわけです。
【円周角の定理の証明】
(1) 円の中心Oが直線PAまたは直線PB上にある場合OがPB上にある場合を証明すれば十分。
△OAPはOP=OAの二等辺三角形。
よって、∠APO=∠OAP
∠AOBは∠APOの外角なので、
(2) 円の中心Oが∠APBの内部にある場合
POの延長と円Oの交点をDとする。
(1)より
(3) 円の中心Oが∠APBの外部にある場合
(1)より
(1)、(2)、(3)のいずれの場合でも、
である。
(証明終わり)
この円周角の定理と、定理A、Bから次のことが言える。
定理 同じ円、または、半径の等しい円において
(1) 等しい弧に対する円周角は等しい(2) 等しい円周角に対する弧は等しい
等しい弧ならば、中心角は等しく、円周角は中心角の半分に等しいので、円周角は等しくなる。
また、等しい円周角ならば、中心角は等しく、したがって、弧も等しくなる、からだケロ。問題1 円周を5等分する点を順に、A、B、C、D、Eとする。∠ACB、∠ABCを求めよ。
【解】よって、円周角の定理より∠ACBは
円周角∠ABCに対応する弧は弧CDEAで、これに対する中心角∠COAは
よって、円周角の定理より
問題2 弧AM=弧MB、弧AN=弧NCであれば、△ADEは2等辺三角形であることを証明せよ。
【証明】
等しい弧に対する円周角は等しい。
弧AM=弧MBだから弧AN=弧NCだから
で、三角形の内角と外角の関係より
よって、△ADEは2等辺三角形である。
(証明終わり)
問題3(方べきの定理)
円の2つの弦AB、CDの交点をPとするとき、であることを示せ。
【証明】
弧ACの円周角なので、円周角の定理より∠ABC=∠ADC
弧BDの円周角なので∠BCD=∠BAD
よって、△APD∽△CPB
△APDと△CPBは相似なので(証明終わり)
方べきの定理は、これからいろいろなところで使うので、憶えておくと便利です。
第27回 三角形の5心 続き [ネコ騙し数学]
第27回 三角形の5心 続き
問題1 三角ABCの外心をO、垂心をHとするとき、OよりBCにおろした垂線をOMとすると、
であることを示せ。
△ABCの外接円とBOの延長の交点をDとする。
そうすると、
AD⊥AB (直角三角形の中線の長さと斜辺の半分の長さは等しい)また、Hは△ABCの垂心なのでCHの延長とABは垂直。よって、
HC⊥ABだから、
同様に、
AH⊥BC、OM⊥BC
よって、以上のことから、四角形AHCDは平行四辺形で、
AH=DC
△BCDに注目。BO=OD
BM=MC (中心Oから弦BCにおろした垂線の足BはBCの中点)よって、中点連結定理より
2OM=DC=AH(証明終わり)
オイラー線
三角形において、外心をO、重心をG、垂心をHとすると、O、G、Hは一直線上にあり、【証明】
BCの中点をMとする。
Hは内心なので、AH⊥BC。また、OM⊥BCなので、
問題1より
線OHとAMの交点をGとする。
だから、
△AHG∽△MOG
よって、AG:GM=AH:OG=2:1
Gは中線AMを2:1に内分しているので、△ABCの重心である。よって、外心O、重心G、垂心Hは一直線上にある。
(証明終わり)この関係は、どんな三角形でも成立するものです。
問題2
△ABCの内心をI、3つの傍心をP、Q、Rとすると、Iは△PQRの垂心であることを証明せよ。AI、APは∠BACの2等分線なので、A、I、Pは同一線上に存在する。
同様に、B、I、Q、そして、C、I、Rもそれぞれ1直線上に存在する。
傍心なので、Q、A、R、また、R、B、P、そして、P、C、Qもそれぞれ1直線上に存在する。で、角関係より
よって、
同様に、
したがって、Iは△PQRの垂心である。
(証明終わり)
第26回 内心、外心の問題 [ネコ騙し数学]
第26回 内心、外心の問題
前回、内心や外心などの三角形の5心を取り上げたので、今回は、内心や外心の問題を解くことで、その理解を深めることにします。
問題1 直角三角形ABC(∠B=∠R)で、AB=3、BC=4、CA=5のとき、この三角形の内接円の半径はいくらか。
三角形の各辺の長さをa、b、c、内接円の半径をr、三角形の面積をSとすると、
という関係がある。
この公式を使うのならば、次のように簡単に内接円の半径rを求めることができる。
【解1】
直角三角形ABCの面積Sは
①より、a=BC=4、b=CA=5、c=AB=3だから
この他に、円と接線の距離を使って次のように解くこともできる。
【解2】
内心IからBC、CA、ABにおろした垂線の足をD、E、Fとする。
円と接線の関係から
となる。
よって、
問題2 三角形ABCで、AB=5、BC=6、AC=4である。三角形ABCの内心をIとするとき、△IBCの面積と△ABCの面積比を求めよ。
【解】
△IAB、△IBC、△ICAは高さが内接円Iの半径rに等しいから、その面積比はよって、△IBCと△ABCとの面積比は
比の計算がピンとこない人は
よって、
だから、
としてもいい。
問題3 次の図で、Oは△ABCの外心である。BDはBから辺ACに引いた垂線である。このとき、∠ABD=∠OBCであることを示せ。
この味気ない図を見て解けるなんて考えちゃ〜いけない。
そして、如何にネムネコが読者のために、毎回、わかりやすい図を描いているかをうかがい知ることができるいい問題だにゃ(^^)
円周角の定理を使っていいのならば、次のように解答することができる。
Oは△ABCの外心なので、△ABCの外接円をかく。
∠BOCは円周角の定理より
また、
△OBCはOB=OCの二等辺三角形なので、
∠OBC=∠OCBよって、
また、△ABDでは
①と②より
(証明終わり)
なのだけれど、円周角の定理をまだやっていない。
だから、例えば、次のように証明すればいい。AOの延長とBCの交点をEとする。
Oは△ABCの外心なので、
OA=OB=OCよって、
∠OAB=∠OBA∠OBC=∠OCB
∠OAC=∠OCA外角関係より
・・・
あとは、証明1と同じなので、証明1を見て欲しい。
そして、証明2の前半部分は、円周角の定理を実質的に証明していることになる。
問題4 次の図の△ABCで、Oは外心とする。∠OAC=35°、∠OBA=25°とするとき、△ABCの3つの内角をそれぞれ求めよ。
∠A=60°、∠B=55°、∠C=65°
解答?
問題3の証明2を読むだけで、この問題はすぐに解けるはず。△OAC、△OBC、△OCAは全部二等辺三角形!!
これでもわからない人は、この図をプリントアウトして、分度器で角度をはかる。この図は正確なので、分度器で角度を測ることによって角度を求めることができる。そして、なぜ、そうなるのか、考える。
問題5
正三角形の内心をIとし、Iから2辺AB、ACに平行な直線を引き、BCとの交点をそれぞれD、Eとすれば、BD=DE=ECであることを証明せよ。証明はこの図だにゃ。
Iは△ABCの内心なので、
∠IBA=∠B/2=60°/2=30°
ABとIDは平行なので∠BID=∠IBA=30°
よって、BD=ID ①
同様に∠CIA=30°
IE=EE ②外角定理より
∠IDE=∠IED=60°なので、△IDEは正三角形。つまり、
ID=IE=DE ③①、②、③より
BD=DE=EC正三角形の場合、重心、外心、内心、垂心は一致するので、重心、外心の性質を使っても証明できる。
重心をG(内心Iと同一)とする。BG、CGを延長し、CA、ABの交点をP、Qとする。Gは外心なので、中線BP、CQを2:1に内分する。
これと平行線と比の関係を使ってこの問題を証明することができるので、証明してください。