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定積分の応用 面積1 [ネコ騙し数学]

定積分の応用 面積1


§1 平面図形の面積

(1) 曲線と座標軸との間の面積

曲線y=f(x)a≦x≦b)とx軸との間の面積をSとすると

  

特に、

  fm01-00.png


曲線x=g(y)α≦x≦β)とy軸との間の面積をSとすると

  


(2) 2曲線間で囲まれた部分の面積

区間a≦x≦bにおける2つの曲線y=f(x)y=g(x)の間の面積をSとすると

  

特に、

  



§2 平面図形の面積についての基本問題


復習をかねて、y=f(x)x=g(y)が整関数である場合についての基本問題を解くことにする。


問題1 次の図形の面積を求めよ。

(1) 曲線y=x³−6x²+9x−4と直線y=x−4で囲まれた部分

(2) 放物線y²=2x+5と直線y=x+1で囲まれた部分

【解】

(1) y=x³−6x²+9x−4y=x−4との交点のx座標は

  


graph-281.png

したがって、面積は
  

graph-282.png(2) y²=2x+5y=x+1xについて解くと

  

よって、放物線と直線の交点のy座標は
  fm01-02.png

したがって、面積は

  

(解答終了)


(2)は、前回証明した公式

  fm01-09.png

に対して、a=−1/2α=−1β=3とおくことによって、

  fm01-10.png

と計算することもできる。




graph-283.png


また、放物線y²=2x+5
  
と考えるならば(上図参照)、次のように計算することができる。

  

xの関数と考えて面積を求めようとすると、計算が大変になる。



問題2 次の図形の面積を求めよ。

(1) 曲線x軸、および直線x=3で囲まれた部分

(2) 双曲線x軸、y軸の正の部分によって囲まれた部分
(3) 2つの曲線y=x²と√x+√y=2y軸とで囲まれた部分

【解】

(1)

  


graph-284.png(2)

  

したがって、
  fm01-03.png


(3)

  fm01-04.png


graph-285.png

この曲線とy=x²の交点のx座標を求めると

  

よって、求める面積は

  

(解答終了)

 


問題3 次の不等式を同時に満足する領域の面積を求めよ。

【解】

(1) x²+y²=2x=y²の交点のx座標を求めると

  

x=−2は解として不適なのでx=1

graph-286.png

したがって、面積S

  

ここで、
  

よって、

  


graph-287.png2) y=xに関して対称。

したがって求める面積Sは、

  S=□OABC−2×斜線部の部分の面積

曲線

  fm01-06.png

斜線部の面積は

  

したがって、S
  

(解答終了)


タグ:微分積分

2次関数の面積の公式 [ネコ騙し数学]

2次関数の面積の公式



graph-257.png問題1 放物線y=−(x−1)(x−3)x軸で囲まれる部分の面積を求めよ。

【解】

放物線y=−(x−1)(x−3)x軸の交点のx座標はx=1x=3

  

したがって、面積S
  2-s-01.png

(解答終了)


すこし計算に工夫をするならば、次のように計算することもできる。


【別解】

  

したがって、
  2-s-02.png

(別解終了)


大袈裟だけれど、t=x−1とおいて次のように置換積分を用いて計算することもできる。


【別解2】

x−1=tとおくと、x=t+1

x=1t=0x=3t=2に対応し、dx=dtだから
  

(別解2終了)

なのですが、実は、次のような便利な公式が存在する。

  

この公式を使うと、問題1の答えは、α=1β=3とおき、

  

と簡単に求めることができる。

公式(1)の証明は、問題1の解答のように真面目に計算すると、計算が大変なので、別解の手法を用いて証明することにする。


【公式(1)の証明】

  

だから、
  2-s-03.png

(証明終わり)



ということで、

graph-258.png二次方程式ax²+bx+c=0の解をαβとするとき、放物線y=ax²+bx+cx軸とで囲まれる面積Sは、

  

二次方程式ax²+bx+c=0の解がαβだから、

  

になるから、公式(1)より(2)を容易に導ける。

(2)に絶対値がついているのは、α<βとすると、x軸と放物線yとの位置関係より、

a>0のとき、面積は

  
graph-259.pnga<0
のとき

  

になるから。

 


問題2 次の部分の面積を求めよ。

(1) 放物線y=x²と直線y=−x+2とで囲まれた部分

(2) 2つの曲線y=2x²−5xy=−x²+x+12

【解】

(1) 放物線y=x²と直線y=−x+2との交点のx座標を求めると、

graph-263.png  

よって、面積S
  2-s-04.png

(2) 2つの曲線y=2x²−5xy=−x²+x+12の交点を求める。

  

α=1−√5β=1+√5とおくと
  

graph-264.pngβ−α=2√5だから、

  

(解答終了)

 


問題2の(1)は

  

と真面目に計算してもいいけれど、それでも、やはり計算が大変だ。まして、(2)は根号を含む計算だからなおのこと大変。公式(1)の有り難みを理解できるのではないか。
(2)では、実際に、交点のx座標を求めているけれど、2次方程式①の解と係数の関係より、α+β=2αβ=4となるので、α<βとすると、

  

と計算することもできる。


問題3 次の等式が成り立つことを証明せよ。

  

【証明】

  

したがって、
  

graph-265.png


(証明終了)


タグ:微分積分

積分を用いた不等式の証明 [ネコ騙し数学]

積分を用いた不等式の証明


問題1 x>0のとき、次の不等式が成立することを証明せよ。


微分を使って証明するならば、たとえば、次のような証明になるだろう。


【証明】

  

f(x)x>0で微分可能。

そこで、f(x)の変化を調べるために、f(x)を微分すると

  

したがって、f(x)x≧0で単調増加。

よって、

  

(証明終了)

graph-277.pngまた、とすると、

  

したがって、y''>0で、この関数yは下つに凸。

また、x=0におけるこの曲線の接線の方程式は

  

下に凸の関数の性質(曲線は接線の上側にある)より、x>0ならば

  

である。

(右図参照)


この他にも、微分を用いた証明法はいくつかあるだろう。

なのだけれど、積分を使うと、次のように簡単に証明できてしまう。

【積分を用いた証明】

  

したがって、x>0ならば、

  

(証明終わり)

実は、これだけでなくて、

  

だから、x>0のとき

  

同様に、順次計算することによって

  

を証明することができる。

正確な証明をするならば、数学的帰納法を使って。



問題2 積分を使って次の不等式を証明せよ。

  

【証明】

graph-278.png(1) t>0ならば、

  

したがって、x>0ならば

  

t>0のとき

  

だから、x>0のとき

  

以上のことより、

x>0ならば

  


graph-279.png(2) x>1とすると、t∈(1,x)の任意のtに対して

  

よって、
  tf-01.png

0<x<1とすると、t∈(x,1)の任意のtに対して

  

よって、
  tf-02.png

x=1のとき、

  

となり、等号が成立。

よって、

  

(証明終わり)

graph-274.png問題2の(2)より、x>0のとき

  

この両辺にxをかけると

  

これは、定積分と不等式1の問題3の(1)の不等式であり、積分を使ってこの不等式を証明したことになる。

また、(2)の不等式

  

xをかけると

  

さらに

  

したがって、ハサミ打ちの定理より

  

である。

ワンポイントゼミ22では、ロピタルの定理を使ってこの極限を求めたが、ロピタルの定理を使うことなくこの極限を求めることができた。


タグ:微分積分

定積分と不等式2 [ネコ騙し数学]

定積分と不等式2


問題1 (シュワルツの不等式)

(1) abは定数で、a<bとし、f(x)g(x)a≦x≦bで連続な関数とする。a≦x≦bなる範囲で

  

とおくとき、

  

であることを証明せよ。

(2) 次の不等式(シュワルツの不等式)を証明せよ。

  

【解】

(1)

  

(2) (1)より、F'(x)a≦x≦bF'(x)≧0であり、また、F(a)=0

よって、a≦x≦bF(x)は増加関数で、
  

(解答終了)


シュワルツの不等式

  

の一般の証明法は次の通り。

a<b、そして、tを任意の実数とすると

  

任意の実数tについて①が成り立つので、

  


そして、問題1は、この別な証明である。


問題2 f(x)g(x)x≧0で定義された正の値をとる連続関数で、g(x)は連続関数であるとする。このとき、

  

に対して次の問に答えよ。

(1) すべてのx>0に対してである。

(2) x>0で増加関数である。

ここで一般に増加関数であるとは、x₁<x₂ならばh(x₁)≦h(x₂)が成立することをいう。

【解】

(1) 仮定によって0≦t≦xにおいてg(0)≦g(t)≦g(x)

また、f(t)>0だから

  


(2)

  

(解答終了)

タグ:微分積分

ワンポイントゼミ22 定積分と不等式1の補足 [ネコ騙し数学]

ワンポイントゼミ22 定積分と不等式1の補足


定積分と不等式1で出てきた内容を補足することにする。


graph-273.pngまず、次の不等式を証明することにする。

  

【証明】

  

とし、f(x)の変化を調べるために、xで微分する。

  

したがって、0<x<π/2f'(x)>0で、f(x)は単調増加。

よって、

  

次に

  

graph-275.pngとする。

  

cosα=2/πとすると、g(x)の増減表は


op22-tab-01.png

となり、x=0x=π/2のときに最小で、最小値は0

graph-276.pngよって、0<x<π/2において

  

(証明終了)

次に、

  

の極限を求めることにする。

  

と考えると、x→0+0のとき、logx→−∞1/x→+∞となり、①の極限はいわゆる不定形の極限になる。

そこで、ロピタルの定理を使うと

  

になる。

問題3の(1)のグラフで

  


  

は、こうして求めている。

x=0のところで白抜きの丸で表現されているのは、そういうわけです。

(下図参照)

graph-274.png



タグ:微分積分

定積分と不等式1 [ネコ騙し数学]

定積分と不等式1


問題1 a>0b>0のとき、次の不等式を証明せよ。

  

【解】
  tsf-01.png

とおくと、b=c²+2a>0b>0

  

よって、

(解答終了)

 

等号が成立するのは

  


graph-272.png

また、

  

とおくと、関数gは関数fの逆関数。

このことに注目すると、
  

abは斜線部の面積Sはピンク色の部分の面積S₁は薄紫色の部分の面積S₂に相当するので、S≦S₁+S₂となり、①が成立する。



問題2 次の不等式を証明せよ。

  tsf-04.png

【解】

(1) 0<x<1/2

  

したがって、
  

ここで、

  

では、x=sinθ(−π/2≦θ≦π/2)とすると、

  tsf-09.png

x=0のときθ=0x=1/2のときθ=π/6

したがって、

  


(2)

  

0<x<1では

  

よって、0<x<1では

  


graph-273.png(3)

  

また、cosx0<x<π/2において減少関数だから

  

したがって、
  tsf-07.png

(解答終了)


類題 次の不等式を証明せよ。

  

(ヒント)

  



問題3

(1) すべての正の数xに対して、不等式

  

が成り立つことを証明せよ。

(2) [0,1]で正の値をとる連続関数f(x)が条件

  

を満たすとき、不等式

  

が成り立つことを証明せよ。

【解】

graph-274.png(1)

  

とおき、xで微分すると、

  

よって、g(x)x=1のとき極小かつ最小。

  


(2) [0,1]f(x)>0だから、(1)より[0,1]において

  

が成立。

したがって

  tsf-08.png

(解答終了)


タグ:微分積分

定積分で表された関数2 [ネコ騙し数学]

定積分で表された関数2


問題1 xの関数

  

の極値を調べ、y=F(x)のグラフの概形をかけ。

【解】

xで微分すると

  

0≦x≦2πになるのはsinx=−1になるのはx=π

  

F(x)の増減表は
  tsa2-tab1.png
よって、

  

よって、グラフは次の通り。

graph-270.png

(解答終了)

問題2 次の関数の最大値、最小値を求めよ。

【解】

  

とすると、
  tsa2-02.png
よって、増減表は

  tsa2-tab2.png

t=2sinθ(−π/2≦θ≦π/2)とおくと、

  

よって、
  

は偶関数だから

  

また、
  

よって、

x=0のとき最大で、最大値は

x=±1のとき最小で、最小値はπ

(解答終わり)


問題3 0≦x≦π/2において

  

と定義される関数f(x)の最小値をを求めよ。

【解】

  

だから、
    

よって、

  

graph-271.png増減表を書くと

tsa-tab3.png
よって、x=π/4のとき最小で、最小値はf(π/4)=√2−1

(解答終わり)


この問題3の類題は大学入試に何度も出ている。


例えば、

 

類題1 a>0のとき、

  

を最小にするaを求めよ。

(答)

  



問題4 a≦x≦bにおいてf'(x)<0である関数f(x)に対して、

  

は、のときに最小になることを証明せよ。

【略証】
  

a≦x≦bにおいてf'(x)<0だから、f(x)a≦x≦bで単調減少。

tで微分すると

  

よって、のときに極小、かつ、最小。


(略証終わり)


f'(x)>0の場合の証明も行っている。

そして、問題3、類題は、この問題4の特殊な場合。

 


問題5 f(t)t≧0において連続な関数であるとき、

  

x>0において増加関数であることを証明せよ。

【解】

  tsa2-06.png

f(t)t≧0で増加関数だから、0<t<xではf(t)<f(x)

したがって、
  tsa2-07.png

よって、x>0では

  

で、F(x)は増加関数である。

(解答終了)



この問題は、さらに次のように一般化することができる。

関数f(x)[a,b]で連続な増加関数ならば

  

a<x<bで増加関数である。


定積分の形で表される関数1 [ネコ騙し数学]

定積分の形で表される関数1


定積分の形で表される関数は、おもに、次の2つのタイプ

  


(2)のタイプについては

  

また、F'(x)=f(x)とおくと、
  

よって、

  


問 次のものを求めよ。

【解】

  

とおく。
  

(解答終了)


では、問題演習を。


問題1 次の関係式を満たすように関数f(x)を定めよ。

  

【解】

  

とおくと、

  

したがって、
  tsa-02.png  

よって、

  

(解答終了)

 


問題2 次の関係式を満たす関数f(x)を求めよ。

【解】

(1) 両辺をxで微分すると

  

①は恒等的に成立するので

  

x=2のとき

  

したがって、x=2のとき

  


(2)

  tsa-03.png

両辺をxで微分すると

  tsa-09.png

もう一度xで両辺を微分すると

  

(解答終了)

 


問題3 次の極限値を求めよ。

【解】

  

とおくと、
  tsa-04.png

したがって、

  tsa-05.png

(解答終了)



問題4

  

の最小値を求めよ。

【解】

  tsa-06.png
ここで、
  tsa-07.png

だから、

  

よって、

x=4/πのとき最小で、最小値は
  

(解答終了)

定積分の近似計算 [ネコ騙し数学]

定積分の近似計算


(1) 台形公式 積分区間[a,b]n等分して用いる。

  

台形公式は、

  

と近似し、
  

としている。


(2) シンプソンの公式 積分区間[a,b]2n等分して用いる。

  


問題1 シンプソンの公式を導くのに用いられる次の等式を証明し、これによって、シンプソンの公式は、積分区間の等分数(偶数等分)にかかわらず、f(x)が3次以下の整式のとき真の値を与えることを示せ。

tsk-04.png

【解】

graph-364.png

(1) f(x)=px³+qx²+rx+sとおくと、
  

また、

  

よって、f(x)が3次以下の整式のとき

  


(2)

  

とおき、x=t+cとすると、

  

さらに、x=aのとき、t=−hx=bのときx=bのときt=h

したがって、

  

とおくと、(1)より

  

また、
  

だから、これを①に代入すると、

  

(解答終了)

 


問題2 f(x)が2次関数で、f(−3)=5f(0)=8f(3)=2であるとき、

  

を求めよ。

【解】

f(x)は2次関数だから、シンプソンの公式より

  

(解答終了)

 


問題3 区間[0,1]を4等分して、台形公式、シンプソンの公式によって、

  

の近似を求めよ。

また、シンプソンの公式から求めた近似値からπの近似を求めよ。

【解】

graph-362.png

[0,1]を4等分した点01/41/23/41に対する被積分関数の値をy₀y₁y₂y₃y₄とすると

  tsk-08.png
したがって、

台形公式による近似値は
  tsk-09.png

シンプソンの公式による近似値は

  tsk-10.png

x=tanθとおくと

  

また、

  

x=0のときθ=0x=1のときθ=π/4だから

  

シンプソンの公式より

  

(解答終わり)

 


問題4 0から1までを4等分して、シンプソンの公式から

  

の近似値を求めよ。

【解】

graph-363.png

[0,1]を4等分した点01/41/23/41に対する被積分関数の値をy₀y₁y₂y₃y₄とすると

  

したがって、
  tsk-07.png

(解答終了)


定積分と区分求積法 [ネコ騙し数学]

定積分と区分求積法



§1 定積分と区分求積法

f(x)が閉区間[a,b]で連続であるとき、この区間をn等分し、

  

とし、

  

とすると、
  kbk-01.png

である。

ここで、

  kbk-02.png


f(x)=x²のとき、

  

を、区分求積法を用いて求めてみる。

a=0b=1として、これをn等分すると

  kbk-00.png  

したがって、

  

よって、

  



§2 数列の和の極限への定積分の応用


問題1 定積分を利用して、次の極限値を求めよ。

kbk-04.png

【考え方】

  

ここで、考え方2つある。


考え方1

  

と考えて、

  


考え方2

  

と考え、

  


どちらの考え方でこの極限値を求めてもいいが、ここでは考え方2を使って問題を解くことにする。


(2)

  kbk-06.png

だから、

  

と考え、
  

ここで、x=2sinxとおき、置換積分を使うと

  


(3)は

  kbk-08.png

と変形し、

  

と考え、
   

とすればよい。


【解】

(解答終了)


問題2 定積分を用いて次の不等式を証明せよ(n≧2)。

【解】

(1) 0<k−1<x<kにおいてgraph-361.png

  

k=2からk=nまでの和をとると

  

つまり、

  


graph-360.png(2)

 0<k<x<k+1とすると

  

である。

  

k=1からk=n−1までのの左辺と右辺の和をとると
  

である。

  

k=1からk=nまでの右辺と左辺の和をとると
  

①と②より

  

(解答終わり)
タグ:微分積分

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