定積分の応用 面積1 [ネコ騙し数学]
定積分の応用 面積1
§1 平面図形の面積
(1) 曲線と座標軸との間の面積曲線y=f(x)(a≦x≦b)とx軸との間の面積をSとすると
特に、
曲線x=g(y)(α≦x≦β)とy軸との間の面積をSとすると
(2) 2曲線間で囲まれた部分の面積
区間a≦x≦bにおける2つの曲線y=f(x)、y=g(x)の間の面積をSとすると特に、
§2 平面図形の面積についての基本問題
復習をかねて、y=f(x)、x=g(y)が整関数である場合についての基本問題を解くことにする。
問題1 次の図形の面積を求めよ。
(1) 曲線y=x³−6x²+9x−4と直線y=x−4で囲まれた部分(2) 放物線y²=2x+5と直線y=x+1で囲まれた部分
【解】(1) y=x³−6x²+9x−4とy=x−4との交点のx座標は
したがって、面積は
よって、放物線と直線の交点のy座標は
したがって、面積は
(解答終了)
(2)は、前回証明した公式
に対して、a=−1/2、α=−1、β=3とおくことによって、
と計算することもできる。
また、放物線y²=2x+5を
と考えるならば(上図参照)、次のように計算することができる。
xの関数と考えて面積を求めようとすると、計算が大変になる。
問題2 次の図形の面積を求めよ。
(1) 曲線とx軸、および直線x=3で囲まれた部分
(2) 双曲線とx軸、y軸の正の部分によって囲まれた部分
(3) 2つの曲線y=x²と√x+√y=2とy軸とで囲まれた部分
(1)
したがって、
(3)
よって、求める面積は
(解答終了)
問題3 次の不等式を同時に満足する領域の面積を求めよ。
【解】
(1) x²+y²=2とx=y²の交点のx座標を求めると
x=−2は解として不適なのでx=1。
したがって、面積Sは
ここで、
よって、
(2) とはy=xに関して対称。
したがって求める面積Sは、
S=□OABC−2×斜線部の部分の面積
曲線は
斜線部の面積は
したがって、Sは
(解答終了)
2次関数の面積の公式 [ネコ騙し数学]
2次関数の面積の公式
問題1 放物線y=−(x−1)(x−3)とx軸で囲まれる部分の面積を求めよ。
【解】放物線y=−(x−1)(x−3)とx軸の交点のx座標はx=1、x=3。
したがって、面積Sは
(解答終了)
すこし計算に工夫をするならば、次のように計算することもできる。
【別解】
したがって、
(別解終了)
大袈裟だけれど、t=x−1とおいて次のように置換積分を用いて計算することもできる。
【別解2】
x−1=tとおくと、x=t+1。x=1はt=0、x=3はt=2に対応し、dx=dtだから
なのですが、実は、次のような便利な公式が存在する。
この公式を使うと、問題1の答えは、α=1、β=3とおき、
と簡単に求めることができる。
公式(1)の証明は、問題1の解答のように真面目に計算すると、計算が大変なので、別解の手法を用いて証明することにする。
【公式(1)の証明】
だから、
(証明終わり)
ということで、
二次方程式ax²+bx+c=0の解をα、βとするとき、放物線y=ax²+bx+cとx軸とで囲まれる面積Sは、二次方程式ax²+bx+c=0の解がα、βだから、
になるから、公式(1)より(2)を容易に導ける。
(2)に絶対値がついているのは、α<βとすると、x軸と放物線yとの位置関係より、
a>0のとき、面積はになるから。
問題2 次の部分の面積を求めよ。
(1) 放物線y=x²と直線y=−x+2とで囲まれた部分(2) 2つの曲線y=2x²−5x、y=−x²+x+12
【解】(1) 放物線y=x²と直線y=−x+2との交点のx座標を求めると、
よって、面積Sは(2) 2つの曲線y=2x²−5x、y=−x²+x+12の交点を求める。
α=1−√5、β=1+√5とおくと
(解答終了)
問題2の(1)は
と真面目に計算してもいいけれど、それでも、やはり計算が大変だ。まして、(2)は根号を含む計算だからなおのこと大変。公式(1)の有り難みを理解できるのではないか。
(2)では、実際に、交点のx座標を求めているけれど、2次方程式①の解と係数の関係より、α+β=2、αβ=4となるので、α<βとすると、
と計算することもできる。
問題3 次の等式が成り立つことを証明せよ。
【証明】
したがって、
積分を用いた不等式の証明 [ネコ騙し数学]
積分を用いた不等式の証明
問題1 x>0のとき、次の不等式が成立することを証明せよ。
微分を使って証明するならば、たとえば、次のような証明になるだろう。
【証明】
f(x)はx>0で微分可能。
そこで、f(x)の変化を調べるために、f(x)を微分すると
したがって、f(x)はx≧0で単調増加。
よって、
(証明終了)
したがって、y''>0で、この関数yは下つに凸。
また、x=0におけるこの曲線の接線の方程式は
下に凸の関数の性質(曲線は接線の上側にある)より、x>0ならば
である。
(右図参照)
この他にも、微分を用いた証明法はいくつかあるだろう。
なのだけれど、積分を使うと、次のように簡単に証明できてしまう。【積分を用いた証明】
したがって、x>0ならば、
(証明終わり)
実は、これだけでなくて、
だから、x>0のとき
同様に、順次計算することによって
を証明することができる。
正確な証明をするならば、数学的帰納法を使って。
問題2 積分を使って次の不等式を証明せよ。
【証明】
したがって、x>0ならば
t>0のとき
だから、x>0のとき
以上のことより、
x>0ならば
よって、
0<x<1とすると、t∈(x,1)の任意のtに対して
よって、
x=1のとき、
となり、等号が成立。
よって、
(証明終わり)
この両辺にxをかけると
これは、定積分と不等式1の問題3の(1)の不等式であり、積分を使ってこの不等式を証明したことになる。
また、(2)の不等式
にxをかけると
さらに
したがって、ハサミ打ちの定理より
である。
ワンポイントゼミ22では、ロピタルの定理を使ってこの極限を求めたが、ロピタルの定理を使うことなくこの極限を求めることができた。
定積分と不等式2 [ネコ騙し数学]
定積分と不等式2
問題1 (シュワルツの不等式)
(1) a、bは定数で、a<bとし、f(x)とg(x)はa≦x≦bで連続な関数とする。a≦x≦bなる範囲でとおくとき、
であることを証明せよ。
(2) 次の不等式(シュワルツの不等式)を証明せよ。
【解】
(1)
(2) (1)より、F'(x)はa≦x≦bでF'(x)≧0であり、また、F(a)=0。
よって、a≦x≦bでF(x)は増加関数で、(解答終了)
シュワルツの不等式
の一般の証明法は次の通り。
a<b、そして、tを任意の実数とすると任意の実数tについて①が成り立つので、
そして、問題1は、この別な証明である。
問題2 f(x)、g(x)をx≧0で定義された正の値をとる連続関数で、g(x)は連続関数であるとする。このとき、
に対して次の問に答えよ。
(1) すべてのx>0に対してである。
(2) はx>0で増加関数である。
ここで一般に増加関数であるとは、x₁<x₂ならばh(x₁)≦h(x₂)が成立することをいう。
【解】(1) 仮定によって0≦t≦xにおいてg(0)≦g(t)≦g(x)。
また、f(t)>0だから
(2)
(解答終了)
ワンポイントゼミ22 定積分と不等式1の補足 [ネコ騙し数学]
ワンポイントゼミ22 定積分と不等式1の補足
定積分と不等式1で出てきた内容を補足することにする。
【証明】
とし、f(x)の変化を調べるために、xで微分する。
したがって、0<x<π/2でf'(x)>0で、f(x)は単調増加。
よって、
次に
とする。
cosα=2/πとすると、g(x)の増減表は
となり、x=0、x=π/2のときに最小で、最小値は0
よって、0<x<π/2において(証明終了)
次に、
の極限を求めることにする。
と考えると、x→0+0のとき、logx→−∞、1/x→+∞となり、①の極限はいわゆる不定形の極限になる。
そこで、ロピタルの定理を使うと
になる。
問題3の(1)のグラフで
の
は、こうして求めている。
x=0のところで白抜きの丸で表現されているのは、そういうわけです。
(下図参照)定積分と不等式1 [ネコ騙し数学]
定積分と不等式1
問題1 a>0、b>0のとき、次の不等式を証明せよ。
【解】
とおくと、b=c²+2、a>0、b>0。
よって、
(解答終了)
等号が成立するのは
また、
とおくと、関数gは関数fの逆関数。
このことに注目すると、
abは斜線部の面積S、はピンク色の部分の面積S₁、は薄紫色の部分の面積S₂に相当するので、S≦S₁+S₂となり、①が成立する。
問題2 次の不等式を証明せよ。
【解】
(1) 0<x<1/2で
したがって、
ここで、
では、x=sinθ(−π/2≦θ≦π/2)とすると、
x=0のときθ=0、x=1/2のときθ=π/6。
したがって、
(2)
0<x<1では
よって、0<x<1では
また、cosxは0<x<π/2において減少関数だから
したがって、
(解答終了)
類題 次の不等式を証明せよ。
(ヒント)
問題3
(1) すべての正の数xに対して、不等式が成り立つことを証明せよ。
(2) [0,1]で正の値をとる連続関数f(x)が条件
を満たすとき、不等式
が成り立つことを証明せよ。
【解】
(1)とおき、xで微分すると、
よって、g(x)はx=1のとき極小かつ最小。
(2) [0,1]でf(x)>0だから、(1)より[0,1]において
が成立。
したがって
(解答終了)
定積分で表された関数2 [ネコ騙し数学]
定積分で表された関数2
問題1 xの関数
の極値を調べ、y=F(x)のグラフの概形をかけ。
【解】
xで微分すると
0≦x≦2πでになるのは、sinx=−1になるのはx=π。
(解答終了)
問題2 次の関数の最大値、最小値を求めよ。
【解】
とすると、
よって、増減表は
t=2sinθ(−π/2≦θ≦π/2)とおくと、
よって、
は偶関数だから
また、
よって、
x=0のとき最大で、最大値は
x=±1のとき最小で、最小値はπ(解答終わり)
問題3 0≦x≦π/2において
と定義される関数f(x)の最小値をを求めよ。
【解】
だから、
よって、
増減表を書くと
よって、x=π/4のとき最小で、最小値はf(π/4)=√2−1
(解答終わり)
この問題3の類題は大学入試に何度も出ている。
例えば、
類題1 a>0のとき、
を最小にするaを求めよ。
(答)
問題4 a≦x≦bにおいてf'(x)<0である関数f(x)に対して、
は、のときに最小になることを証明せよ。
【略証】a≦x≦bにおいてf'(x)<0だから、f(x)はa≦x≦bで単調減少。
tで微分すると
よって、のときに極小、かつ、最小。
(略証終わり)
f'(x)>0の場合の証明も行っている。
そして、問題3、類題は、この問題4の特殊な場合。
問題5 f(t)がt≧0において連続な関数であるとき、
はx>0において増加関数であることを証明せよ。
【解】
f(t)はt≧0で増加関数だから、0<t<xではf(t)<f(x)
したがって、よって、x>0では
で、F(x)は増加関数である。
(解答終了)
この問題は、さらに次のように一般化することができる。
関数f(x)が[a,b]で連続な増加関数ならばはa<x<bで増加関数である。
定積分の形で表される関数1 [ネコ騙し数学]
定積分の形で表される関数1
定積分の形で表される関数は、おもに、次の2つのタイプ
(2)のタイプについては
また、F'(x)=f(x)とおくと、
よって、
問 次のものを求めよ。
【解】とおく。
(解答終了)
では、問題演習を。
問題1 次の関係式を満たすように関数f(x)を定めよ。
【解】
とおくと、
したがって、
よって、
(解答終了)
問題2 次の関係式を満たす関数f(x)を求めよ。
【解】(1) 両辺をxで微分すると
①は恒等的に成立するので
x=2のとき
したがって、x=2のとき
(2)
両辺をxで微分すると
もう一度xで両辺を微分すると
(解答終了)
問題3 次の極限値を求めよ。
【解】とおくと、
したがって、
(解答終了)
問題4
の最小値を求めよ。
【解】
ここで、
だから、
よって、
x=4/πのとき最小で、最小値は
定積分の近似計算 [ネコ騙し数学]
定積分の近似計算
(1) 台形公式 積分区間[a,b]をn等分して用いる。
台形公式は、
と近似し、
としている。
(2) シンプソンの公式 積分区間[a,b]を2n等分して用いる。
問題1 シンプソンの公式を導くのに用いられる次の等式を証明し、これによって、シンプソンの公式は、積分区間の等分数(偶数等分)にかかわらず、f(x)が3次以下の整式のとき真の値を与えることを示せ。
(1) f(x)=px³+qx²+rx+sとおくと、また、
よって、f(x)が3次以下の整式のとき
(2)
とおき、x=t+cとすると、
さらに、x=aのとき、t=−h、x=bのときx=bのときt=h。
したがって、
また、
だから、これを①に代入すると、
(解答終了)
問題2 f(x)が2次関数で、f(−3)=5、f(0)=8、f(3)=2であるとき、
を求めよ。
【解】
f(x)は2次関数だから、シンプソンの公式より(解答終了)
問題3 区間[0,1]を4等分して、台形公式、シンプソンの公式によって、
の近似を求めよ。
また、シンプソンの公式から求めた近似値からπの近似を求めよ。
【解】[0,1]を4等分した点0、1/4、1/2、3/4、1に対する被積分関数の値をy₀、y₁、y₂、y₃、y₄とすると
台形公式による近似値はシンプソンの公式による近似値は
x=tanθとおくと
また、
x=0のときθ=0、x=1のときθ=π/4だから
シンプソンの公式より
(解答終わり)
問題4 0から1までを4等分して、シンプソンの公式から
の近似値を求めよ。
[0,1]を4等分した点0、1/4、1/2、3/4、1に対する被積分関数の値をy₀、y₁、y₂、y₃、y₄とすると
したがって、
(解答終了)
定積分と区分求積法 [ネコ騙し数学]
定積分と区分求積法
§1 定積分と区分求積法
f(x)が閉区間[a,b]で連続であるとき、この区間をn等分し、とし、
とすると、
である。
ここで、例
f(x)=x²のとき、を、区分求積法を用いて求めてみる。
a=0、b=1として、これをn等分すると
したがって、
よって、
§2 数列の和の極限への定積分の応用
問題1 定積分を利用して、次の極限値を求めよ。
【考え方】
ここで、考え方2つある。
考え方1
と考えて、
考え方2
と考え、
どちらの考え方でこの極限値を求めてもいいが、ここでは考え方2を使って問題を解くことにする。
(2)
だから、
と考え、
ここで、x=2sinxとおき、置換積分を使うと
(3)は
と変形し、
と考え、
とすればよい。
【解】
(解答終了)
問題2 定積分を用いて次の不等式を証明せよ(n≧2)。
【解】k=2からk=nまでの和をとると
つまり、
(2)
0<k<x<k+1とすると
である。
k=1からk=n−1までのの左辺と右辺の和をとると
である。
k=1からk=nまでの右辺と左辺の和をとると
①と②より
(解答終わり)