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空間曲線 [ネコ騙し数学]

空間曲線

 

空間の点Pの描く空間曲線は

  

で与えられるが、これは原点Oを始点とする点Pの位置ベクトル

  

と与えられることと同等である。

 

そして、接線ベクトルは

  

で与えられる。

 

さらに、この曲線Cが滑らかなとき、位置ベクトルr(a)からr(t)までの弧の長さs(t)

  kukan-siki-001.png

となり、

  kukan-siki-002.png

となり

  kukan-siki-003.png

よって、

  

となる。

ds線元素という。

 

stの関数であるが、逆にtsの関数と考えられるので、曲線は、曲線の長さを用いて

r=r(s)

とあらわすことが可能。

  

は曲線に接しsの増加する方向に向かうベクトルである。

何故ならば、

  

で、ベクトルtの向きは接線ベクトルdr/dtと同じだから。

ss+Δsに対応する曲線上の点をPQとし、とすれば

  

だから、t単位接線ベクトルである。

 

Qにおける接線ベクトルとPにおける接線ベクトルのなす角度をΔθとすれば、

  

は、曲線の長さに対する接線の向きの変化率をあらわし、

  

を点Pにおける曲率という。この定義から明らかなように曲率は正または0であり、曲線上の各点でκ=0である時は、この曲線は直線である。

 

単位法線ベクトルt同士の内積tt=1を微分すると、

  

となり、tに垂直である。また、

  

と同じ向きの単位ベクトルをnとすれば、

  

このnPにおける(単位)主法線ベクトルといい、

  

となる。

 

また、曲率は

  kukan-siki-004.png

 

曲率の逆数
  

曲率半径といい、曲線上のPから引かれたベクトルρnの終点を曲率半径の中心という。

 

また、曲線上の点Pにおける接線ベクトルと主法線ベクトルの外積

  b=t×n
を、点Pにおける曲線の(単位)従法線ベクトルという。

したがって、

  

 

tnbは互いに直交する単位ベクトルで、右手系をなす。

また、

  

が成立し、τ捩率(れいりつ)という。

 

bb=1なのでこれをsで微分すると
  

となり、bは直交する。

さらに、tb=0sで微分すれば、

  

となる。

  

なので、第2項はκnb=0である。よって、
  
となり、tは垂直。

故に、 btに垂直であり、nと同じ方向である。

 

tnbの3つの単位ベクトルは右手系を構成するので、

  n=b×t=−t×b

となる。

これをsで微分すると、

  kukan-siki-005.png

となる。

 

  kukan-siki-006.png

の3つの公式を合せてフルネ・セレの公式と呼ぶ。

 


空間曲線のベクトル方程式と接線ベクトル [ネコ騙し数学]

空間曲線のベクトル方程式と接線ベクトル

 

空間曲線は、スカラー変数tを用いて

  

であらわすことができる。

曲線上の任意の点P(x,y,z)とし、とおけば、rtの関数だから、

  

と書き、これを曲線ベクトル方程式という。

 

とすると、Δt≠0のとき

  

に平行である。

したがって、

  

は、曲線の接線ベクトルと平行であり、これを曲線の接線ベクトルという。

また、

  

単位接線ベクトルという。

単位接線ベクトルtは大きさが1で変わらないので、

  

したがって、tは直交する。そこで、を曲線r(t)法線ベクトルといい、

  

主法線ベクトルという。

また、曲線上の点における単位接線ベクトルtと単位主法線ベクトルnとの外積

  

ベクトルを(単位)従法線ベクトルという。

 

曲線r=r(t)は、r'(t)が連続で常にr'(t)≠0であるとき、滑らかな曲線という。滑らかな曲線r=r(t)a≦t≦bの部分の長さを弧長といい、弧長s

  

で与えられる。

 

 

問1 の単位接線ベクトルと、単位法線ベクトルを求めよ。また、t=π/4のときの接線の方程式を求めよ。

【解】

  vec-kukan-siki-002.png

よって、単位接線ベクトルt

  

また、

  vec-kukan-siki-003.png

よって、単位法線ベクトルn

  

である。

t=π/4の接線ベクトルは

  

よって、接線の方程式は

  

tを消去し

  

(解答終)

 

t=π/4のときの、接線の法線ベクトルn(-1/√2,1/√2)だから、接線の方程式を

  

と求めることもできる。

 

 

問2 曲線0≦t≦2πの曲線の長さを求めよ。

【解】

  vec-kukan-siki-004.png

(解答終)

 


ベクトル関数とその微分 [ネコ騙し数学]

ベクトル関数とその微分

 

実数Rの部分集合Dに属する点tに対して、実関数x(t)y(t)z(t)が与えられているとき、ベクトル(x(t),y(t),z(t))を考えることができ、このベクトルF(t)=(x(t),y(t),g(t))Dからへの1変数ベクトル値関数、または、ベクトル関数という。

 

Lを定ベクトル、t₀を一定の値とするとき、

  

ならば、tt₀に限りなく近づくとき、F(t)Lに限りなく近づくといい、また、LF(t)の極限といい、

  

であらわす。

イプシロン・デルタ論法で書くならば、

任意のε>0に対して、あるδ>0があって

  

が成り立つとき、

  

とあらわす。

 

また、

  

が成り立つとき、F(t)t=t₀で連続であるという。また、区間Iのすべての点でtで連続であるとき、F(t)Iで連続であるという。

イプシロン・デルタ論法による、ベクトル関数F(t)t=t₀における連続の定義は次の通り。

任意のε>0に対して、あるδ>0があって

  

が成り立つとき、F(t)t=t₀において連続であるという。

 

ベクトル関数F(t)に関して、次の極限

  

が存在するとき、F(t)t=t₀で微分可能という。また、この極限値At=t₀における微分係数といい、

  

であらわす。

 

定理

  

とすると、次が成立する。

(ⅰ) 

(ⅱ) F(t)は連続⇔x(t)y(t)z(t)は連続

(ⅲ) 

 

この定理はほとんど明らかだと思うので、(ⅰ)だけを証明することにする。

 

【略証】

(ⅰ) ならば、

  

逆に、
  
ならば

   

 

(証明終)

 

 

ベクトル関数の微分については、実関数の微分と同様に次の公式が成り立つ。すなわち、A=A(t)B=B(t)tのベクトル関数m=m(t)tのスカラー関数とすると、

  vec-bi-siki-002.png

である。

 

例1 Cが一定のベクトルのとき、
  

 

例2 mが定数のとき、
  

 

 

問題1 Atのベクトル関数とするとき、次のことを示せ。

(1) 
  

ここで、A²=AAとする。

(2) |A|が一定であるとき、は直交する。

【解】

(1)

  vec-bi-siki-003.png

 

(2) |A|は一定だから、A²=AA=A²も一定。

したがって、

  

また、(1)の結果より

  

よって、は直交する。

(解答終)

 

 

問題2 

  

【解】

  

(解答終)

 

 

問題3 A(t)の微分係数Aの方向とこれに垂直な方向とに分解せよ。

【解】

Aと同じ方向の単位ベクトルをaAの大きさをAとすると、

  vec-bis-ki-005.png

aは単位ベクトルだから問題1より、aは直交するので、

  vec-bi-siki-006.png

である。

(解答終)

 

A(t+Δt)A(t)のなす角をΔθ、単位ベクトルaの増分をΔaとすると、

  vec-bi-siki-007.png

と同じ方向の単位ベクトルをbとすると、

  

だから、問題3の(1)は

  vec-bi-siki-008.png

である。

 


ベクトルの内積、外積 [ネコ騙し数学]

ベクトルの内積、外積

 

§1 ベクトルの内積(ベクトルのスカラー積)

 

naiseki-graph-001.pngベクトルabの大きさをab、そのなす角をθとするとき

  

abの内積といい、記号ab(a,b)などであらわす。すなわち、

  

である。

内積はスカラーで、baへの正射影をabへの正射影をとすれば、

  

である。

abがともに零ベクトルでないとき、(1)式より、内積はθが鋭角ならば正、直角ならば0、鈍角ならば負である。また、abのいずれかが零ベクトル0であるとき、内積は0である。

ベクトルの内積に関しては、交換、結合法則が成り立つ。すなわち、

  

mをスカラーとすると、さらに、

  

が成り立つ。

 

先に述べたように、ベクトルaとベクトルbのなす角θが直角のときab=0である。

逆にab=0のとき、

 (ⅰ) abのなす角θが直角

 (ⅱ) a=0またはb=0

である。

 

特に、基本ベクトルijkに対しては

  

である。

したがって、

ベクトルa、ベクトルbの成分を(a₁,a₂,a₃)(b₁,b₂,b₃)とすれば、内積ab

  

で、abのなす角の余弦は、(1)、(2)式より

  

 

問1 a=2i–3j+5kb =–2i–2j+2kが垂直であることを示せ。

【解】

  

よって、垂直である。

(解答終)

 

問2 a=2i–3j+kb=3ij–2kのなす角を求めよ。

【解】

  

(解答終)

 

問3 a=2i–3j+kb=3j–4k上への正射影を求めよ。

【解】

ab上への正射影は

  

である。

よって、

  

(解答終)

 

 

§2 ベクトルの外積(ベクトルのベクトル積)

 

gaiseki-graph-001.png平行でない2つのベクトルaを隣り合う2辺とする平行四辺形をもとに

(1) 大きさは、この平行四辺形の面積に等しい

(2) 向きは、この平行四辺形のある平面に垂直で、aからbへ右ネジをまわすときネジの進む方向と同じ

であるベクトルを作る。

このようにabから作ったベクトルをab外積、または、ベクトル積といい、記号a×bであらわす。

abのなす角をθとすると、外積の大きさは

  

である。

abが平行のとき、およびaまたはbが零ベクトルであるとき、

  

と定義する。

a×b≠0のとき、a×bb×aと大きさが等しく向きが反対だから

  

すなわち、ベクトルの外積は交換法則が成立しない。

しかし、分配法則は成り立ち、

  

さらに、

  

 

ijkを基本ベクトルとすると、

  

ベクトルaとベクトルbの成分をそれぞれ(a₁,a₂,a₃)(b₁,b₂,b₃)とすると、外積は、分配法則が成り立つので、

  

これを行列式で書くと

  

である。

 


ディラックのデルタ関数 [ネコ騙し数学]

ディラックのデルタ関数

 

ディラックのデルタ関数δ(x)とは、次の性質をもつ超関数のことである。

  

 

このディラックのデルタ関数の性質を調べるためには、通常の微分積分の範囲を超える数学の知識が必要になるので、物理の本を参考にして、デルタ関数の性質をいくつか紹介することにする。

 

まず、

  

x≠0ではδ(x)=0だから、x≠0f(x)の値は積分の値に無関係で寄与しない。

したがって、

  

 

また、

  

である。

これは、x–a=tとおくと、x=t+a

  

この積分の値に関係するのは、 (1)からt=0のときのf(t+a)の値。

したがって、

  

 

次に

  

である。

f(x)を任意の関数とする。

  

よって、

  

である。

 

さらに、

  

f(x)を任意の関数にすると、

  

t=−xとおくと、x=−tだから、x=−∞t=∞x=∞t=−∞に対応する。

また、dx=−dtだから

  

したがって、

  

である。

 

さらにさらに、

  

f(x)を任意の関数とする。

  

を考える。ax=tとおくと、dx=dt/aだから

  

よって、

  

である。

 

最後に、デルタ関数の微分

  

f(x)を任意の関数とし、次の積分を考える。

  

x=tとおくと、

  

これに部分積分を施すと、

  

また、

  

したがって、任意の関数f(x)について

  dirac-siki-002.png

 

以上のことをまとめると、ディラックのデルタ関数には次のような性質がある。

  

 

(ⅰ)はデルタ関数δ(x)が偶関数であることを表し、デルタ関数の導関数δ'(x)が奇関数であることを表している。

 

 

dirac-delta-graph-001.pngディラックのデルタ関数は、正規分布の密度関数

  

の極限で与えられることが知られている。

したがって、デルタ関数は正規分布の密度関数の一種と考えることができる。

 


タグ:定積分

曲率円(接触円)を求める [ネコ騙し数学]

曲率円(接触円)を求める

 

曲線y=f(x)上の点P(x₀,f(y₀))における曲線y=f(x)の曲率円(接触円)を求める前に、復習。

 

曲率円

曲線y=f(x)上の点P(x₀,y₀)において

  

 

で定まる円

を曲率円(接触円)という。

 

問題 次の曲率円を求めよ。

(1) 放物線y=x²上の点x=0x=1における曲率円。

(2) 双曲線y=1/x上の点x=1における曲率円。

(3) 曲線y=logx上の点x=1における曲率円。

【解】

kyokuen-graph-001.png(1) y=f(x)=x²だから、f’(x)=2xf''(x)=2

x=0ではf(0)=0f'(0)=0f''(0)=2

  

したがって、曲率円は

  

である。

kyokuen-graph-002.pngx=1では、f(1)=1f'(1)=2f''(1)=2

  

よって、x=1における曲率円は

  

である。

 

(2) y=f(x)=1/xだから、
  

x=1では、f’(1)=−1f''(1)=2

   

よって、x=1における曲率円は

  

である。


y=1÷x-en-graph-001.png

 

(3) y=f(x)=logxとおくと、
  

である。

x=1では、f(1)=0f'(1)=1f''(1)=−1

   

よって、x=1における曲率円は



y=logx-en-graph-001.png

(解答終)


曲率と曲率半径 [ネコ騙し数学]

曲率と曲率半径

 

曲率とは曲線や曲面の曲がり具合をあらわすもので、曲率半径は曲率の逆数である。

 

問題 半径rの任意の円の微分方程式を作れ。

【解答】

円の中心を(a,b)とすると、半径rの円の方程式は

  

①の両辺をxで微分すると、

  

②の両辺をxで微分すると

  

②と③より

  

③と④を①に代入して、a、bを消去すると

   

よって、

  

(解答終)

 

kyokuen-graph-001.pngもし、x=x₀の近傍で曲線y=f(x)を局所的に円に近似できるとすれば、⑤式からこの近似した円(曲率円)の半径(曲率半径)を

  

求めることができる。

また、②と③式より、円の中心(a,b)

  

と求められる。

 

試しに、⑥式を用いて、放物線y=x²/2の点xにおける曲率円の半径を求めてみると、

  

kyokuen-graph-002.pngだから、

  

よって、x=0のとき曲率半径r=1x=0のとき曲率半径r=2√2になる。

図を見ると、x=0、ならびに、x=1の近傍の放物線を曲率円が表していることがわかるであろう。

 

以上のことをまとめると、次のようになる。

 

曲率円

曲線y=f(x)上の点P(x₀,y₀)において

  

 

で定まる円

  

曲率円接触円)という。

 

 

さて、一般論。

 

kyokuen-graph-003.png曲線上の点P(x,y)における接線とx軸のなす角をθ、曲線上でPに近い点Qにおける接線'x軸となす角をθ+Δθとし、弧PQの長さをΔsとするとき、

  

を2点PQ間の平均曲率といい、

  

(の絶対値)を曲率、この逆数を曲率半径という。

 

半径rの円があり、円周上の2点PQとこの円の中心のなす角、すなわち中心角をΔθとすると、弧PQの長さΔs=rΔθだから、

  

となるので、何故、曲率の逆数が曲率半径になるのかが分かるのではないか。

 

  

この両辺をxで微分すると、左辺は

  

だから、

  

また、

  

だから、

  

したがって、曲率と曲率半径κ

  

である。

 

Pにおいて曲線に接し、接線に関して曲線と同じ側にあって、半径が|κ|に等しい円を曲率円といい、その中心)曲率円の中心という。

 

問 y=x³の曲率を求めよ。

【解】

  

したがって、

  kyokuritsu-siki-002.png

(解答終了)

 


直交曲線群 [ネコ騙し数学]

直交曲線群

 

パラメータc、1個の平面曲線群

  

のすべての曲線に一定の角度αで交わる曲線を等角直線といい、とくにα=±π/2α=±90°)のとき直交曲線という。

微分方程式

  

で与えられる曲線群に対する直交曲線群の微分方程式は

  

である。

 

chokkou-graph-000.png曲線y=φ(x)に点P(x,y)y=ψ(x)で直交するとすると、すなわち、点Pにおけるy=φ(x)y=ψ(x)の接線が直交するとすると、この曲線の接線の傾きφ'(x)ψ'(x)の積は−1

したがって、

  

(1)に代入すると、

  

ここで、改めて

  

とおくと、(1’)は(2)になるというわけ。

 

 

例題 放物線y=ax²a≠0の任意実数)に直交する曲線群の方程式を求めよ。

chokkou-graph-001.png【解】

  

xで微分すると、

  

×2−②×x

  

x≠0とすると、

  

曲線y=ax²に点P(x,y)における曲線の傾きをとすると、

xy≠0のとき、

  

したがって、

  

xy=0のとき、y=ax²x軸に接するからy=0は直交する曲線になる(特異解)。

したがって、y=0が直交曲線群である。

(解答終)

 

y=ax²を、

x≠0のとき

  

と変形し、さらに、この両辺をxで微分し

  

として、aを消去することもできる。

 

問題 次の曲線群と直交する曲線群を求めよ。

【解】

chokkou-graph-002.png(1)

  

の両辺をxで微分すると、

  

P(x,y)においてxy=kに直交する曲線の勾配をdy/dxとすると、

  

 

(2)

  

の両辺をxで微分すると、

  chokkaku.png

y–1≠0のとき

  

P(x,y)においてxy=kに直交する曲線の勾配をdy/dxとすると、

  

を変数分離法で解くと、

  chokkou-siki-001.png

y=1は円群x²+y²+2x–2y+C=0に直交し、これは①のa=0の場合(特殊解)(※)。

x=−1も円群x²+y²+2x–2y+C=0に直交する(特異解)。

だから、y–1=a(x+1)aは任意定数) とx=−1

chokkou-graph-003.png

(解答終)

 


第22回 包絡線 [ネコ騙し数学]

第22回 包絡線

 

αをパラメータとして含む曲線群

  

の各曲線と1点だけで接する曲線を、この曲線族の包絡線という。

 

f(x,y,α)級とする。曲線群と包絡線の接点を(x,y)とすると、xyαの関数である。

これを

  

とする。

(1)と(2)は接するのだから、

  

また、φ(α)ψ(α)f(x,y,α)=0上の点だから

  

これをαで微分すると、

  yadane-.png  

よって、包絡線は、2曲線

  

の交点(φ(α),ψ(α))=0の軌跡であり、この2式からαを消去した方程式の曲線Cに含まれる。そして、曲線Cは曲線群の特異点を含むことがある。


y^4-y^2+(x-a)^2=0-houraku-graph-001.png

  dai22-siki-009.png

この場合、x–α=0。よって、x=αのときy⁴–y²=0となりy=0±1となるが、点(α,0)は特異点(結節点)なので、直線y=0は特異点(α,0)の軌跡。したがって、包絡線はy=±1である。(右図参照)

 

 

問題1 次の曲線群の包絡線を求めよ。

  dai22-siki-001.png

【解】
(1)

  

①の両辺をαで偏微分すると

  dai22-siki-002.png

①の両辺を②乗すると、

  dai22-siki-003.png

よって、包絡線は放物線y²=4x

 

(2)

  

①の両辺をαで偏微分すると、

  

①と②を2乗して足すと

  

よって、包絡線は原点を中心とする半径pの円である。

 

(y-a)^2=x^2(x+1)-houraku-graph-001.png(3)

  

αで偏微分すると、

  

したがって、

  

x=−1は包絡線であり、x=0は特異点の軌跡。

(解答終了)


 

  

とすると、

  

したがって、(0,α)は特異点である。

また、

  

よって、(x,y)=(0,α)において

  

よって、(0,α)は結節点で接線は2本引ける。

 

 

問題2 次の包絡線を求めよ。

(1) 円x²+y²=r²y軸に平行な弦を直径とする円の曲線群

(2) 座標軸で切り取られる部分の長さが一定である曲線群

【解】

dai22-fig-001.png1) 弦の両端をAB、その中点をCとし、C(α,0)とする。

三角ACOは直角三角形だから、ABを弦とする円の半径AC

  

よって、円の方程式は

  

αで偏微分すると、

  

これを①に代入すると、

  dai22-siki-004.png

 

(2) 直線の方程式を

  

とすると、条件より

  

①をαで偏微分すると、

  dai22-siki-005.png

②をαで微分すると

  dai22-siki-006.png

③に代入すると、

  dai22-siki-007.png

とおくと、

  

これを①に代入すると、

  

②に代入すると、

  dai22-siki-010.png  

④を②乗したものと⑤の辺々を掛けると、

  dai22-siki-008.png

よって、アステロイドになる。

(解答終了)


第21回 平面曲線 [ネコ騙し数学]

第21回 平面曲線

 

§1 通常点と特異点

 

関数f(x,y)級の関数とし、(x₀,y₀)を曲線f(x,y)=0上の点とする。が同時に0にならないとき(x₀,y₀)通常点正則点)といい、となるとき特異点という。

(x₀,y₀)が通常点のとき、ならばx₀の近傍内にある曲線の一部はy=φ(x)ならばx=φ(x)で表される。通常点(x₀,y₀)では接線がただ1つ存在し、その方程式は

  

である。

 

例1 f(x,y)=x²+y²–a²= 0a>0)とすると
したがって、になるのは(x₀,y₀)=(0,0)であるが、(0,0)は曲線上の点ではないので、曲線f(x,y)=x²+y²–1= 0は特異点を持たず、通常点のみである。

また、曲線(原点を中心とする半径aの円)上の点(x₀,y₀)における接線の方程式は

  

 

例2 f(x,y)=y³–x⁴=0とすると、。したがって、(0,0)は特異点。

この曲線は と同一の曲線なので、

  

となり、φ'(0)=0で、この曲線はx=0x軸と接している。

y^3-x^4=0-graph-001.png

 


 

例3 f(x,y)=y²–2x²y+x⁴–x⁵= 0とすると、

  

したがって、(0,0)は特異点である。

y²–2x²y+x⁴–x⁵= 0yについて解くと、になるので、

  

したがって、x=0での微分係数は0となり、この曲線はx軸に接している。

この曲線の特異点(0,0)のような特異点を嘴点と呼ぶ

(y-x)^2=x^3-graph-001.png 



§
2 特異点の分類

 

f(x,y)級の関数とし、(x₀,y₀)を曲線f(x,y)=0の特異点とする。が同時に0にならないとき、(x₀,y₀)を2重点という。

  

とおくと、2重点は次のように分類できる。

 (1) D>0ならば結節点で、(x₀,y₀)で相異なる2本の接線が引ける

 (2) D=0ならば通常は尖点で、(x₀,y₀)における接線は1本である。

 (3) D<0ならば孤立点で、その近傍内にある曲線の部分は(x₀,y₀)だけである。

 

例2、例3の特異点は、D=0になるので、尖点である。

 

問題 曲線y²=x²(x+a)の特異点を調べよ。

【解】

f(x,y)=y²–x²(x+a)とおくと、

  

を解くと、

  

になる。

a≠0のとき

  

したがって、特異点は(0,0)のみである。

特異点の判別をするために、f(x,y)の2次偏導関数を求めると、

  

したがって、

  

だから、

a>0のときは結節点、

a=0のときは尖点、

a<0のときは孤立点

(解答終了)

 

参考までに、a=3a=−3のときの、曲線y²=x²(x+a)の概形を以下に示す。

y^2=x^2(x+3)-graph-03.png 

 y^2=x^3-graph-png.png

y^2=x^2(x-3)-graph.png 

 


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