SSブログ

相似の演習編 ちょっとむずい問題 [ネコ騙し数学]


相似の演習編 ちょっとむずい問題


相似を使ったすこし難しい問題を解いてみることにします。

まずは、この問題から。

問題1 図のように、直角三角形BCBC=aAC=b)内に、正方形S₁S₂S₃、・・・が並んでいるとき、

(1) S₁の1辺の長さをabであらわせ。

(2) S₁S₂S₃、・・・の面積が等比数列をなすことを示せ。

muzui-mondai-01.jpg

【解】

(1) △ABC∽△DBEだから

  


muzui-mondai-02.jpg

(2) △DBEと△ABCの相似比は

  

面積比は相似比の2乗だから

  

同様に、

  

・・・

よって、は初項

  

公比

  

の等比数列である。

(解答終わり)


大学入試の答案に書くのならば、もっと、きちんと書かないといけないのだろうけれど、ねこ騙し数学は大学受験を対象にしたものでないから、これでいいにゃ。


この問題にはないけれど、

  

となる。a=2b=1のときは、前にやったのだけれど、一致しているはずだにゃ。

なのですが、(1)についてうまい方法がある。

【別解】

muzui-mondai-03.jpg

DCを直線で結ぶ。そうすると、

   

となり、

  


補助線と三角形の面積を考えると、相似を使わなくても解ける・・・。


そして、

  

なんか、どっかで出てきた式のような気が。
書いただけだにゃ。

問題2 正5角形ABCDEの対角線BEACADと交わる点をPQとする。
(1) △ABE∽△PAB、△BAQ∽△APQを証明せよ。

(2) AB=aとするとき、PQの長さを求めよ。


sei-gokaku-01.jpg

【解】

(1) 正5角形の一つの内角は108°。また、一辺の長さは、それぞれ等しいので、

  △ABE≡△BCA  (2辺挟角)

よって、

  ∠BAC=∠BCA=∠ABE=∠AEB=36°

したがって

  △ABE∽△PAB

また、

  ∠BAQ=APQ=72°

  ∠ABQ=∠PAQ=36°

よって、

  △BAQ∽△APQ

sei-gokakukei-02.jpg

(2) PQ=xとおく。

  AQ=AP=BP=BQ−PQ=AB−PQ=a−x

また、△BAQ∽△APQより

  

これを解くと

  

x<aなので、

  

(解答終わり)

なのだけれど、

前回やったので、ネムネコたちは、正五角形の一辺と対角線の比が

  

であることを知っている。

そして、四角形BCDQは平行四辺形なので、BQ=CD=aだケロ。

このことを使うと、

⑨から

  

となり、

  

と求めることもできるのであった。

こういうふうに解くことができるという話です。
ねこ騙し数学の記事を受験生が読んでいるとは思わないけれど、試験のとき、こんなふうに解いては駄目だケロよ。



番外編 ちょっと不思議な三角形の辺の長さを三角関数と相似を使って求める [ネコ騙し数学]


番外編 ちょっと不思議な三角形の辺の長さを三角関数と相似を使って求める


次の図に示すような頂角が36°、底角72°の二等辺三角形があるとする。

この時の、ABBCの長さ1として、底辺の長さBCを、初等幾何の知識だけを使って求めてみることにするにゃ。

fushigi-01.jpg

こんなの簡単だ。答えは

  

というのは、なしだケロ。

じゃ〜、sin16°の値はということになるんで(^^)


「⑨ネコ、疲れているんじゃないか。この値は、正弦関数の5倍角の公式を使えば、簡単に出てくるじゃないか。」


18×5=90だから、確かに、5倍角の公式(?)を使えば出てくる。

  

あるいは、ド・モアブルの公式を使って

  

などを使って、力任せに解くことは出来る。

正弦関数の5倍角の公式はちょっと見当たらなかったけれど、余弦関数は

  

になるらしい。

5θ=90°とすると、

  

になるから、x=cosθとおいて、

  

さらに、と置くと

  

を解けば、t=cos²θが出て、

  

を使えば、確かにsin16°は求められる。


実はウマイ方法がある。

5θ=90°だから、2θ=90°−3θ

  

また、

  

だから

  

ここでお馴染みのcos²θ=1−sin²θを使い、さらに、t=sinθとすると

  

となり、sin16°>0だから

  

となる。

よって、問題のx

  

である。

だけれど、これは相似を使うと、中学生でも求められるんだケロ。


fushigi-02.jpg

Bの二等分線とACの交点をDとする。∠Bの二等分線なので、

  ∠DBA=∠CBD=72°/2=36°=∠A

になる。

だから、△ABDは二等辺三角形。

また、

  △ABD∽△ABC

で、△ABDも二等辺三角形でBC=BD=xとなる。

ABDも二等辺三角形なので、AD=BD=x

だから、CD=1−xとなる。

また、△ABD∽△BCDだから、

  


そして、この値は、黄金比

  

の逆数なんだケロ。

嘘じゃないケロ。

  

になるにゃ。

さらに言うと、この三角形は正五角形と深い関係があるのであった。

そして、この問題は、正五角形の対角線の長さを求めるのとほとんど同じ問題であったのであった。

fushigi-03.jpg


第11回 相似3 [ネコ騙し数学]

相似3

問題1 △ABCの∠Aの外角の2等分線が辺BCの延長と交わる点をDとすれば

であることを証明せよ。

souji-03-01.jpg

【解】

Cを通りADに平行な直線と辺ABの交点をFとする。

だから

  ∠FCA=∠DAC (錯角)


  ∠CFA=∠EAD (同位角)

よって、△AFCは二等辺三角形。

  AF=AC

また、

  

だから、

  

よって、

  

(証明終わり)

なので、前回の問題と合せて、次の定理が成立する。


定理 △ABCにおいて、∠A(またはその外角)の2等分線が対辺(または、その延長線)と交わる点をDとすると、

  AD:AC=BD:CD

である。

問題2 である台形ABCDがある。ABm:nに内分した点をMとし、MからADに平行線を引きDCとの交点をNとするとき、次の等式を証明せよ。

  souji-03-siki-01.png

souji-03-02.jpg

【解】

(1)

  

だから

  


(2) 対角線ACMNの交点をLとする。

ABCと△AMLの相似比はm+n:mなので

  

CDAと△CNLの相似比はm+n:nなので

  

よって、

  

(問題終わり)

まさかと思うけれど、なぜ、△ABC∽△AMLになるのかはわかるよね?

MLBCが平行なので、

  ∠AML=∠ABC  (同位角)

  ∠MLA=∠BCA  (同位角)

  ∴ △ABC∽△AML


問題3

  

で、AB=aCD=bPQ=cであるとき、次の関係が成り立つことを示せ。

  

souji-03-03.jpg

【解】

ABCDが平行なので

  ∠PAB=∠PCD

  ∠PBA=∠PDC

  ∴ △PAB∽△PCD

PAB∽△PCDだから

  

また、

  

よって
  souji-03-siki-02.png

(証明終わり)


上の証明では、△PAB∽△PCDを証明しているけれど、

  

から、平行線と線分の比の関係を用いて

  

としてもいいにゃ。

問題3のc

  


  

で求められるという話で、これを使うと、前回の問題は

  

と求めることができる。

で、さらにADを直線で結び、QPの延長線とADの交点をOとする。

souji-03-04.jpg

そうすると、

  

なので、

  shusei-souji-03-siki.png

となり、これは何かというとabの調和平均と呼ばれるものだにゃ。

これまでに、相加平均、相乗平均が出てきたにゃ。

a>0b>0のとき

  

そして、

相加平均≧相乗平均

  

だにゃ。

新たに出てきた調和平均と相加平均、相乗平均の大小関係ですが、相乗平均/調和平均は

  souji-03-siki-03.png

なので、相乗平均≧調和平均となり、
a>0
b>0のとき

  

となるのであった。


第10回 平行線と線分の比 [ネコ騙し数学]

第10回 平行線と線分の比


§1 相似な三角形と線分の比


定理

三角形ABCにおいて、辺BCに平行な直線、ABACまたはそれらの延長と交わる点をDEとすると、

   

である。

souji-02-01.jpg


定理

またはならばである。


souji-02-02.jpg


DEBCが平行なので、∠ADE=∠B、∠DEA=∠Cとなり、△ABC∽△ADE

よって、

  

となる。

したがって、

  



逆については、∠Aを共通(または対頂角)にしていて、この角を挟む線分の比が等しいので、△ABC∽△ADEとなり、このことから、∠ADE=∠B、∠DEA=∠C、つまり、同位角が等しいので、DEBCは平行である。

あるいは、Dを通り、ACに平行な直線とBCの交点をFとする。
そうすると、△ADE∽△DBFになるので、

  

となり、DF=ECなので、

  

となる。

補助線一本で解決する。このあたりが初等幾何の醍醐味だにゃ。



問題1

下の図でACBDEFはそれぞれ平行である。xyzの値を求めよ。

souji-02-03.jpg

【答】

x=2,y=4.5, z=1.4

 


問題2

下の図で

  

である。

souji-02-04.jpg

QPの値を求めよ。

【解】

有名問題のようで、高校入試によく出るらしい。

APB∽△PDC

  

よって、

  

だから、

  


この問題については、次回でもう一度取り上げ、詳しい話をするにゃ。


問題3 ADは∠BACの二等分線である。

souji-02-05.jpg

  

であることを示せ。

【証明】

souji-02-06.jpg

DACEは平行なので、

  ∠CAD=∠ACE (錯角)

  ∠CAB=∠CEA (同位角)

よって、△ACEは二等辺三角形で、

  AC=AE

したがって、

  


【別解】

θ=∠BAC/2とする。

  

また、△ABDと△ADCは高さが同じ。

よって、

  

よって、

  


§
平行線と比例


souji-02-07.jpg

定理 ならば

  


証明は補助線一本。

  


souji-02-08.jpg




タグ:初等幾何

番外編 微分積分 難しい問題(?)を解くネムネコ(暫定版) [ネコ騙し数学]

番外編 微分積分 難しい問題(?)を解くネムネコ(暫定版)


問題 区間0≦x≦1における関数

  

について、次の問いに答えよ。ただし、n≧3の自然数とする。

(1) f(x)=0は、0<x<1において、ただ一つの解を持つことを証明せよ。

(2) 上の解をαとするとき、およびを求めよ。

(3) 与えられた区間における曲線y=f(x)と、x軸およびy軸とで囲まれた部分の面積をとするとき、を求めよ。

【解】

(1)

  

で、かつ、f(x)は連続な関数なので、f(x)=0となるx0<x<1に存在する。

また、

  

となり、f(x)は単調減少関数。

よって、f(x)=00<x<1において、ただ一つの解を持つ。


(2)

  

そして、0<α<1なので

  

で、

  

なので、ハサミ打ちの定理より

  

また、

  


(3)

  

よって、

  


(解答終わり)


とか、解けばいいんじゃないか。


ちったぁ〜、ネムネコのことを見直したケロか?



タグ:微分積分

番外編 相似と無限級数の応用問題 [ネコ騙し数学]

番外編 相似と無限級数の応用問題


いきなり、問題!!


問題 図のように、∠C=90°BC=2CA=1の直角三角形に内接する正方形の辺の長さaを求めよ。


kimagure01.jpg

【解】


kimagure-02.jpg

Bは共通。また、∠BC₁A₁=90°

△ABC∽△A₁BC₁

よって、
  

(解答終わり)

このことから、△ABCと△A₁BC₁の相似比が3:2であることがわかるにゃ。

これでオシマイじゃ〜ない。

本題は、これからだにゃ。

本題 図のように、∠C=90°BC=2CA=1の直角三角形内に正方形S₁S₂S₃、・・・が際限なく並んでいる。


kimagure-03.jpg

このとき、

  

の値を求めよ。

【解】

問題から正方形S₁と正方形S₂の相似比が2/3であることがわかる。

だから、相似な図形の面積比は相似比の2乗だから

  

である。

同様に、

  

つまり、S₁S₂S₃、・・・という数列は初項S₁で公比4/9<1の等比級数。

よって、

  

(解答終わり)


初項a、公比rの数列の一般項は

  

で、





第9回 相似 [ネコ騙し数学]

第9回 相似


§1 相似


一つの図形を形を変えずに一定の割合で拡大、縮小した時に、その図形はもとの図形と相似であるという。

相似な図形では、

(1) 対応する辺の長さの比は全て等しい

(2) 対応する角の大きさはそれぞれ等しい

souji-01-01.jpg

図に示してある△ABCと△DEFは、

  

であり、かつ、

  ∠A=∠D、∠B=∠E、∠C=∠F

だから△ABCと△DEFは相似であり、△ABC∽△DEFであらわす。

§2 相似の中心


相似な図形の対応する点どうしを結ぶ直線がすべて1Oで交わり、その点から対応する点までの距離の比がすべて等しいとき、その点Oを相似の中心とよび、それらの図形は相似の位置にあるという。

相似の位置にある図形は相似である。

souji-01-02.jpg
souji-01-03.jpg


§3 三角形の相似条件


定理 2つの三角形は、次の条件のどれか一つが成り立てば相似である。

1 3組の比がすべて等しい

2 2組の辺の比とその辺の間の比が等しい

3 2組の角の比が等しい

2だけ証明(?)するにゃ。

souji-01-04.jpg


  

の条件を満たす△ABCと△DEFがあるとする。

で、

  

となるよう、ABACの延長線(または、ABAC)上にB'C'をとって、△AB'C'を作る。

そうすると、三角形の合同条件から

  △AB'C'≡△DEF

よって、

  △ABC∽△DEF

ちなみに、k>1のとき拡大であり、k<1のとき縮小。


こういった話でございます。

§4 問題


問題1 下図において、∠ACD=∠BAC=8CD=9BC=12である。


souji-01-05.jpg

(1) △ACDと△ABCは相似である。その相似比を求めよ。

(2) 線分ADの長さを求めよ。

(3) 線分ABの長さを求めよ。

【解】

(1) ∠Aは共通。そして、∠ACD=∠Bなので、

  △ACD∽△ABC

相似比は

  


(2) 分数のほうが好きなので・・・

  


(3)

  


 


問題2 次の図で、∠A=∠RAD⊥BCBEは∠Bの二等分線である。△ABEと△ABFと相似な三角形を見つけよ。

souji-01-06.jpg

【答え】

  △ABE∽△DBF、△ABF∽△CBE

 


問題3 ACの長さを求めよ。


souji-01-07.jpg

【解】

ABCと△DBAに注目。

Bは共通。

  

よって、2組の辺の比とその辺の間の比が等しいので

ABC∽△DBA

相似比は3:2なので

  




タグ:初等幾何

第8回 問題演習 [ネコ騙し数学]

第8回 問題演習


問題1 次の図のxabcを用いてあらわせ。


mondai-07-01.jpg

【解】

外角定理より

  



問題2 線分AB上に点Cをとり、正三角形ACDCDEをかき、AEBDを結ぶ。

ACE≡△DCBであることを証明せよ。


mondai-07-02.jpg

【解】

  AC=DC

  CE=CB

  ∠ACE=∠DCB (∵ ∠ACE=∠ACD+∠DCE=∠DCE+∠CBE=∠DCB

よって、

  △ACE≡△DCB

ちなみに、△ACDと△CDEは正三角形なので、∠ACD=∠CBE=60°


問題3

平行四辺形辺BCの延長上の点をEとし、∠DCEと∠CDEの二等分線が辺ADまたはその延長上で交わるてんをそれぞれFGとする。DF=DGであることを証明せよ。


mondai-07-03.jpg

【解】

仮定より、

BCF=∠FCD

また、BCADは平行なので

  ∠DFC=∠BCF=∠FCD

よって、△DFCは二等辺三角形で

  DF=DC  ①

同様に、

  ∠DCG=∠CGD

よって、

  DC=DG  ②

①、②より

  DF=DG


問題4

AB=ACである二等辺三角形ABCで、AC上に点をとると、AD=DB=BCであった。

(1) BDは∠Bの二等分線であることを証明せよ。

(2) ∠Aの大きさを求めよ。


mondai-07-04.jpg

【解】

(1) a=∠Aとする。

AD=DBなので△DBAは二等辺三角形で、

  ∠DBA=∠A=a

外角定理より

  ∠CDB=2a

また、DB=DCなので

  ∠C=∠CDB=2a

さらに、AB=ACなので

  ∠B=∠C=2a

よって、BDは∠Bの二等分線である。


(2) ∠A+∠B+∠C=a+2a+2a=5a=180°

よって、

  ∠A=a=36°



問題5

平行四辺形ABCDの∠Dの二等分線と辺ABBCまたはその延長との交点EFとする。


mondai-07-06.jpg

(1) ∠AED=30°ならば、∠ABCは何度か。

(2) AE=BCであることを示せ。

【解】

(1) AEDCは平行であり、錯角は等しいから

  

平行四辺形の対角は等しいので

  ∠ABC=∠D=60°


(2) ∠E=∠ADE

よって

  AE=AD=BC


問題はここまでなのですが、これで終ったら、ちょっとつまらないな。

(3) AD=9FC=6のとき、ABの長さを求めよ。

答えは6だにゃ。



タグ:初等幾何

第7回 中点連結定理の続きと共線 [ネコ騙し数学]

第7回 中点連結定理の続きと共線


ネムネコの持っている高校生向けの受験参考書に次のような定理が出ている。


定理A

の台形ABCDにおいて、辺ABCDの中点をMNとすると、
  


定理B

の台形ABCDにおいて、辺ABの中点をとおり、底辺BCに平行な直線は、対辺の中点Nを通る。

theorem-daikei.jpg

前回やった中点連結定理、中点連結定理2の台形バージョンというべき定理。

証明自体は、ACに対角線一本を引けば、簡単に(?)証明できる。


定理Aの証明

theorem-daikei-02.jpg

AC
の中点Lをとる。

ABCに注目すると、中点連結定理より、

  

となる。

ACDに注目すると、中点連結定理より

  

①、③より、MLNは同一線上に存在し、

  

②、④より

  

(証明終わり)

 


①、③から下線を引いた、MLNが同一線上に存在するということがポイントなんだケロ。

ひょっとしたら、こうかもしれないから。


theorem-daikei-03.jpg

今、求めたものは青い線で示されるMLLNで、台形のABCDの中点MNを結んだ直線と違うかもしれない。

だから、アンダーラインを引いた部分、MLNが同一線上であるという部分は、この証明において必要なんだケロ。

そして、このことは①と③から保証される。


共線

③つ以上の点が同一線上にあるとき、これらの点は共線であるといい、これらの点を共線点という。

MLNが共線点であることを証明しないといけない。

この場合は、
平行線の公理

直線外の1点をとおり、直線に平行な直線はただ1つである

によって共線であるとこと、共線点であることが保証される。

何故ならば、

線分ML、線分LNは、点Lを通、BCAD)に平行な直線上にあるから。

もし、MLLNが同一直線上になければ、MLを延長した直線と、LNを延長した直線はLを通るBCに平行な直線となり、Lを通りBCに平行な直線が2本あることになり、平行線の公理に反してしまう。だから、共線である。


ほとんど明らかだけれど、うるさいことを言うと、共線であることを証明しないといけない、もしくは、明言しないといけない。


中学、高校の初等幾何の教科書を持っていないので、ハッキリしたことは言えないのだけれど、このあたりは視覚に頼っているようで、結構、いい加減なようだ。


そして、次のような問題が出ると、パニクる(^^


問題

台形ABCDの平行でない2辺、ABCDの中点をそれぞれPQABCDの中点をそれぞれ、RSとするとき、次の問題に答えよ。

shotu-06-08.jpg

(1) PSRQは同一線上にあることを示せ。

(2) 次のことを証明せよ。

  

【解】

(1) △ABCに注目。中点連結定理より、

  

同様に、△ABD

  

DBC

  

ACD

  

よって、PSRQは同一線上にある。

(2) 記号ADBCを説明すると、これは

  ADBC=|AD−BC|

のことで、AD>BCのときは

  ADBC=AD−BC

で、AD≦BCのとき

  ADBC=BC−AD

になる。

この問題の場合、ABDCは平行でないのでAB≠DCとなり、AD>BCAD<BCで場合分けしないといけないのだけれど、図のようにBC>ADの場合だけを証明するにゃ。
ABCに注目。中点連結定理より

  

ABDに注目すると

  

よって、

  


まっ、そういうことで。


タグ:初等幾何

第6回 中点連結定理 [ネコ騙し数学]

第6回 中点連結定理


定理9 中点連結定理

ABCにおいて

ABACの中点をそれぞれMNとすれば

逆も成り立つ。

shotou-06-01.jpg

【証明】

証明は、次の図のようにMNを2倍に延長し、その端点をLとし、MCALを直線で結ぶ。

shotou-06-02.jpg

仮定より、

  MN=NM

  AN=NC

よって、四角形AMCLの対角線を互いに2等分しており、四角形AMCLは平行四辺形。

四角形AMCLは平行四辺形だから、

  LCAMは平行でかつAM=LC

LCAMに平行だから、MNにも平行。

また、仮定より

  MB=AM=LC

よって、四角形MBCLは平行四辺形。

したがって、

  

かつ

  


(逆の証明)

  

また、

  

よって、四角形MBCLは平行四辺形。

  

BACLは平行なので

  ∠AMN=∠LCM

  ∠NAM=∠NLC

また、

  MN=LN

よって

  △NAM≡△NCL

したがって

  AM=CL=MB

  AN=NC

ということで、

  

ならば、MACの中点、NABの中点となり、証明された。

(証明終わり)


ベクトルによる証明は、循環論法の疑いがあり、証明になるかどうか怪しいけれど、

  

よって、

  


shotou-06-03.jpg


定理10 中線連結定理2

ABCにおいて

ABの中点MからBCに平行線をひけば、辺ACの中点を通る。


【証明】
ABの中点Mを通るBCに平行な直線とACの交点をNとする。

NをとおるABに平行な直線を引き、BCとの交点をLとする。

四角形MBLNは平行四辺形で、対辺の長さは等しいから、

  NL=MB=AM

ABNLACMNは平行なので

  ∠NLC=∠B=∠AMN (同位角)

BCMNは平行なので

  ∠LCN=∠MNA (同位角)

よって、

  △AMN≡△NLC (1辺と両端の角相等)

よって、

  AN=NC

NACの中点である。

(証明終わり)



例題

4角形の対角線の中点を結ぶ線分と対辺の中点を結ぶ線分とは互いに他を2等分することを証明せよ。

shotou-06-05.jpg

【証明】

4角形をABCDとし、図のように辺ABBCCDの中点をPQRSとする。また、対角線ACBDの中点をそれぞれMNとする。
S
ADの中点、NBDの中点であるから、

  

また、MACの中点、QBCの中点だから

  

よって

  

よって、4角形SNQMは平行4辺形。

ゆえに対角線SQMNとは互いに他を2等分する。

同様に、4角形PMRNは平行四辺形だから、PRMNも互いを2等分する。


問題 平行四辺形ABCDの辺ADBCの中点をそれぞれEFとすれば、BEDFACを3等分することを証明せよ。


【証明】


shotou-06-07.jpg

平行四辺形なので、

  

故に、

  

よって、四角形BFDEは平行四辺形。

したがって、

  

AHDに注目。

EADの中点なので、中点連結定理2よりGAHの中点。

よって、

  AG=GH

BCGに注目。

同様に、HGCの中点で、

  GH=HC

よって、

  AG=GH=HC

したがって、BEDFACを3等分する。
(証明終わり)



タグ:初等幾何

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。