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第32回 ちょっと、数列の復習 [ネコ騙し数学]

第32回 ちょっと、数列の復習

次回から、複素数の数列をやりますので、このイントロとして少しだけ数列の復習をしますにゃ。


まず、ε-δ論法を思い出してもらうために、次の問題をやってみるにゃ。

問題1 任意の正数εに対して

  0≦aε
であるならば、a=0であることを示すケロ。
【解】
a=0
が0≦aεを満たすことは明らか。
で、
a≠
0と仮定する。すると、条件よりa>0
ε
任意の正数なのでε=a/2と置くと、

  0<a<a/2
となる。
 ―――εは任意の正数だから、0より大きいどんな値を選んでも良い!!―――
で、a<a/2を解くとa<0となり、a>0と矛盾する。(a>0ならば、そもそも、a<a/2は成立しない!!この時点で既におかしい)
―――
あるいは、a<0かつa>0となり、a=0以外の解は存在しない、とか・・・―――
よってa=0である。


εは任意の正数だから、

  
としてもいいよね。
こうすると、

「任意の自然数nに対して

  
ならばa=0である」
となる。

それでは、数列の極限で使われるε-N論法の話をするにゃ。
かりに、次のような数列があったとする。

  
n
の値を大きくしていけば、の値がドンドンと、限りなく1に近づいていくことはわかると思うにゃ。
実際に、n=1,10,100,1000とすれば、21.11.011.001となるから。

このことを、極限の記号を使うと、

  

  
と書くにゃ。
 ―――記号「∞」は、「無限大」の意味。でも、記号「∞」は数ではないにゃ。数だと思ってはいけないにゃ―――

でも、数学では「どんどん近づく」とか「限りなく近くなる」という文学的な表現を嫌うにゃ。これは曖昧だというわけだにゃ。

ということで、現代的な数学では、次のように表現するにゃ。

任意の正数εに対して、適当な自然数Nをとると、n>Nの全てのnに対して

  
となるとき、aを数列の極限という。
あるいは、

任意の正数εに対して、ある自然数Nが存在して、

  

と定義したりするにゃ。

これがε-N論法と呼ばれる大の嫌われモノ。

例に上げた

  
だと、極限値a1になるので、

  
となるにゃ。

でだ、仮にε=1/10とすれば、

  

となるにゃ。

だから、N=10とすれば、

  
になるにゃ。
今はN=10にとったけれど、N=11N=20でも、N=100でも、構わないゃ。
同様に、ε=1/100ならば、N=100に取れば、

  

となる。この時、N=101N=200でもN=10000でも構わない。
与えられたεに対して「n>Nならば、1/n<εが成り立つ」Nを見つけらればいい。


今はεの逆数が自然数になったから簡単だったけれど、εは実数だから、たとえば、

  

みたいなやつだと、ちょっと、厄介だにゃ。電卓でも使わないことには、Nを探しだすことは難しいケロ(^^
電卓を使うと、
  

になるので、N=13>1/εにすれば、いいにゃ。

そうすると、

  

になってくれるケロ。

だけれども、数学にはガウス記号という便利なものがあるにゃ。
このガウス記号[]を使うと、

  


上の式を見るとわかるけれど、Nεによって値が変わるんだにゃ。εによって、Nの値が決まると言ってもいい。
このことをあらわすために、特に、N=N(ε)と書くことがあるにゃ。

ガウス記号[x]
は、xを越さない最大の整数mのことで、式で書くと
  m≦[x]<m+1
となるケロ。

  12≦[12.198]<12+1=13
になるので、この値は12になる。
x≧0
ならば、小数点以下を切り捨てたものになるにゃ。

x<0のときは、例えば、x=3.5として、[]、つまり、[−3.5]の値を求めて欲しいにゃ。

ちなみに、この値は−4だからね。−3じゃないよ。
だって、−3は−3.5より大きいから。−3.5を越さない最大の整数は−4だケロ。


タグ:複素解析
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