第6回 ベクトル関数 [ネコ騙し数学]
第6回 ベクトル関数
区間a≦t≦bにあるすべての変数tに対して、ベクトルAが一意に対応づけられているとき、これをスカラー変数tのベクトル関数と呼び、A(t)と書く。
直交座標を使うと、ベクトル関数A(t)は3つのスカラー関数によって次のようにあらわすことができる。tの値によって、ベクトルの向きや大きさが変わらないベクトルのことを定ベクトルや一定ベクトルと呼ぶ。そして、ベクトル関数は、普通の関数と同じように、極限値、連続性、微分可能性を定義することができるにゃ。
極限値の定義
ベクトル関数A(t)において、のときであるならば、A(t)の極限値はCであるといい、とあらわす。
ε-δ論法で書くと、
任意の正数ε>0に対して、正数δが存在し、のすべてのtに対して、であるとき、と書き、A(t)はで極限値Cに収束するという。連続の定義
であるとき、A(t)はで連続であるという。
任意の正数ε>0に対して、正数δが存在し、のすべてのtに対して、であるとき、A(t)はで連続であるという。
微分可能
が存在するとき、A(t)はで微分可能であるといい、この極限値をにおけるA(t)の微分係数と呼び、A'(t)と書く。A(t)が区間の各点で微分可能であるとき、各点におけるA'(t)を考えることにより1つのベクトル関数が定まり、これをA(t)の導関数と呼び、
などと書く。
直角座標を使うと、ベクトル関数A(t)は3つのスカラー関数を使って
とあらわすことができる。
A(t)が連続であることは3つの関数が連続であることと同等であり、A'(t)が存在することはが存在することは同等である。よって、
が成り立つ。
例
これが連続なのは明らかでしょう。
x=cost、y=sintなので、となる。物理的な表現をするならば、これは円運動と直線運動が合わさった運動で、螺旋運動になる。
また、A(t)の各成分は微分可能で
となるので、
問題1 A(t)が定ベクトルであるとき、A'(t)=0であることを示せ。
【解】
問題2 次のことを証明せよ。
【解】
難しくはないのだが、証明を書くのに困る。
ベクトルの成分を使ったほうがいいのだろうか。
(1)m(t)A(t)の成分は、になるので、これを微分すると
となる。
よって、
なんか、ダサい証明だ!! 嫌だにゃ。
こっちのほうがスッキリしているケロ。
これから、m(t)が定数cであるならば(c)'=0なので、
となる。
(2)
これを真面目に微分すれば、
になるにゃ。
そして、これから
となるケロ。
問題3 のとき、A(t)とA'(t)が直交することを示せ。
【解】だから、これを2乗したものも一定。
よって、A(t)とA'(t)は直交する。
証明はしないけれど、
も成り立つにゃ。
だから、
となる。
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