第8回 ベクトルの微分2 [ネコ騙し数学]
第8回 ベクトル関数の微分2
ベクトル関数A(t)を考えている区間で連続であるとする。
関数A(t)においてtの増分をΔt、t+Δtに対応するベクトルをA+ΔAとすれば、A(t+Δt)=A(t)+A(Δt)であるから、ΔA=ΔA(t+Δt)–A(t)
ΔAをΔtに対応するA(t)の増分であるという。Δtが0に近づくとき、が存在するとき、これをA(t)のtに関する微分係数といい、
であらわす。
ΔAはベクトル、Δtはスカラー(実数)なので、ベクトル関数の微分係数はベクトルである。
ベクトル関数の微分については、次のことが成り立つ。
証明(?)は、順次、次のように与えられるにゃ。
tの増分Δtに対応するA、Bの増分をΔA、ΔBとする。そして、Δt→0の極限をとると、
となる。
そして、このΔt→0の極限をとると、Δm→0になるので、右辺の第3項は0になり、
と、
とある本には書いてあるのだが、(あ)の部分は
ともなるわな〜。
この時は、Δt→0のとき、A(t)は連続なのでΔA→0となり、同じ結果になるにゃ。
Δt→0のとき、(あ)と(い)の極限値が違うとエライことになるにゃ(^^ゞでは、次の式の証明。
Δt→0のときΔB→0になるので、右辺第3項は消えて
となる。
外積の微分の場合は、上の内積の「・」の部分を「×」に変えるだけなのでいいでしょう。
ベクトル関数の微分も、実関数の微分
(A+B)'=A'+B'(AB)'=A'B+AB'
と形式に同じということ。それで、ベクトル関数A(t)の成分をとすると、
となるけれど、基本ベクトルi、j、kが向きと大きさが変わらないベクトル、定ベクトルだから、
となる。
というのは、
そして、右辺第1項は
となる。
基本ベクトルiは定ベクトルなので、
になるので、
となるんだにゃ。
だったら、①式は成立しない。
問題 次のことを示せ。
【解】
AとAの外積はA×A=0だにゃ。
これは物理的に言うと、角運動量を時間で割ると(微分すると)、力のモーメントになるということをあらわしているにゃ。速度ベクトル、加速度ベクトルをvとaとすると、
になる。だから、
そして、この両辺に質量mをかけると、
「角運動量の単位時間あたりの変化はモーメントと等しい」という物理の法則をあらわしている。
前回出てきたニュートンの運動方程式は
と書き換えることができので、ニュートンの運動方程式は、「単位時間あたりの運動量pの変化と質点に作用する力Fは等しい」と言い換えることも可能。
ベクトル解析を知っていると、物理の力学がよくわかるんだケロ。
そして、さらに進むと、電磁気学の理論も自然とわかるようになるにゃ。物理の分野を、力学、熱(力)学、電磁気学、量子力学の4つに分類すると、ベクトル解析を知っていると、力学と電磁気学の半分くらい、少なくとも、その数学的な部分は難なく理解できると思うにゃ。
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