剰余の定理と因数定理、そして、解と係数の関係 [ネコ騙し数学]
剰余の定理と因数定理、そして、解と係数の関係
§1 剰余の定理
剰余の定理
整式f(x)をx−aで割った余り(剰余)はf(a)である。【証明】
多項式f(x)をx−aで割った商をQ(x)、余りをRとすると、したがって、
(証明終わり)
問 x²−3x+4をx−1、x−2で割った余りを求めよ。
【解】f(x)=x²−3x+4とおく。
剰余の定理より、f(x)をx−1で割った余りR₁は
x−2で割った余りR₂は
(解答終わり)
問題1 xについてある整式をx−2で割ると5余り、x−3で割ると8余るという。この整式を(x−2)(x−3)で割った余りを求めよ。
【解】xについての整式をf(x)、(x−2)(x−3)で割った商をg(x)、余りをax+bとする(※)。
題意よりx−2で割った余りが5だから、①より
x−3で割った余りが8だから、①より
②、③を解いてa=3、b=−1。
よって、余りは3x−1である。
(解答終わり)(※) 整式f(x)を2次式(x−2)(x−3)で割った余りは、高々1次式なので、その余りをax+bと置くことができる。
§2 因数定理
因数定理
整式f(x)がx−aを因数にもつ必要十分な条件はf(a)=0である。【証明】
f(x)をx−aで割った商をQ(x)、余りをRとする。(必要条件の証明)
f(x)はx−aを因数にもつので、R=0。
したがって、
(十分条件の証明)
上式にx=aを代入すると、
仮定よりf(a)=0だから、R=0。
よって、f(x)はx−aで割り切れ、f(x)はx−aを因数にもつ。
(証明終わり)問 次の方程式を解け。
【解】
f(x)=x³−3x²−4x+12とおくと、
よって、x³−3x²−4x+12はx−2を因数にもつ。
x−2でf(x)を割ると、商はx²−x−6。
だから、よって、この方程式の解はx=±2、3である。
(解答終わり)§3 2次方程式と3次方程式の解と係数の関係。
(1) 2次方程式の解と係数の関係2次方程式の一般形は
この解をα、βとすると、因数定理より
となる。
したがって、
となり、この恒等式が成立する条件から
これを2次方程式の解と係数の関係という。
問題 2次方程式x²−10x+c=0の2つの実根αとβの間にβ=α³の関係が成立するとき、cの値を求めよ。
【解】解と係数の関係より
問題の条件よりβ=α³だから、
f(α)=α³+α−10とするとf(2)=0。
よって、したがって、α=2。
(解答終わり)
(2) 3次方程式の解と係数の関係
3次方程式の一般形はこの解をα、β、γとすると
よって、この恒等式の右辺と左辺を比較すると
という3次方程式の解と係数の関係が得られる。
問題 方程式x³+ax²+bx−12=0が根3および3と異なる実根をもつとき、重根およびa、bの値を求めよ。
【解】3と異なる実根をαとすると、解と係数の関係より
③より
①、②より
だから、
α=2のとき、a=−7、b=16
α=−2のとき、a=1、b=−8(解答終わり)
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