第1回 極限ですにゃ [ネコ騙し数学]
ネコのために、ネコ騙し数学:微分積分をやるにゃ。
人間向けじゃないんだにゃ。猫による、猫のための、猫の数学なんだにゃ。
ネコ騙し数学なんですにゃ。
第1回目は、極限なんですにゃ。
xがaに近づけば、関数f(x)がどんな値に近づくか、というのが極限なんですにゃ。
このときの「どんな値」を極限値といいますにゃ。
これですと、抽象的でわかりくいと思いますので、具体的な例をあげて説明しますにゃ。
例1
これを数学の記号で書くと
とか
と書きますにゃ。
極限というのは、これだけのことなんですにゃ。
なんだ、
じゃないか!!
なんて思うと、怪我しますにゃ。死んでしまいますにゃ。
―――これは「x=aで関数f(x)が連続である」ことを意味します。図形的な表現をすると、曲線がx=aで切れないでつながっていることを意味します。極限値は関数の曲線が切れていても存在出来る!!―――
例2
のとき、
はいくつかですかにゃ。
0ですかにゃ、それとも1ですかにゃ。
これは難しいですにゃ。
xが1/2に左から近づくか、右から近づくかによって、値が違ってしまいますにゃ。左側から近づくと0で、右側から近づくと、1ですにゃ。困りましたにゃ。
仕方がないので、
と書きますにゃ。
この場合のように、左側極限と右側極限が違うとき、極限値は存在しないんですにゃ。
こういう場合もあるんですにゃ。
実は、ここがポイントなんですにゃ。
xがaという値に左側から近づこうが、右側から1近づこうか、近づき方に関係なく、有限の値を一つもつ時にのみ、極限値は存在するんですにゃ。
極限値が存在するというのは、左側極限と右側極限の値が一致するときなんですにゃ。
のときなんですにゃ。
となるんですにゃ。
厳密なことを言いますと、ちょっと違いますけれど、この時
が成立するんですにゃ。
これで第1回、終了ですにゃ。
ここから、ちょっと呪文を書きますにゃ。呪文ですから、ネコには理解できませんにゃ。
が成立するとき、bを極限値という。
この呪文を第2回で解説する予定ですにゃ。
これ、使わないと、極限の公式を証明できないので、我慢して欲しいにゃ。
も証明できないにゃ。
次が分かりません。
◇ ~~~~~~~~~~~
なんだ、
【この数式は 出ません】
じゃないか!!
なんて思うと、怪我しますにゃ。死んでしまいますにゃ。
―――これは「x=aで関数f(x)が連続である」ことを意味します。図形的な表現をすると、曲線がx=aで切れないでつながっていることを意味します。極限値は関数の曲線が切れていても存在出来る!!
―――
☆ f(a) = a^2 ではないのですか?
もしそうであるなら 《連続か切れているか》を何故問題にする(できる)のですか?
こんな質問でもいいのですか?
by bagelone (2015-02-18 14:25)
極限の場合、
関数fはx=aの近く(数学の用語でいいますと「aの近傍」)で定義されているだけでよく、
関数fがx=aで定義されていなくてもいいんですよ。
たとえば、
f(x) = sin(x)/x
という関数があるとします。
x=0のとき、この関数f(x)は0/0になりますので、数学の大原則「0で割ってはいけない」に違反します。
ですから、この関数が定義されているxの範囲、定義域からx=0という点が除外されます。
ですから、
このx=0という点でf(x) = sin(x)/xは切れている、連続していない、不連続になります。
しかし、
lim[x→0]sin(x)/x
は存在するんですよ。
これは、三角関数の微分をやるときに証明するつもりなのですが、
この値は1になります。
lim sin(x)/x = 1
極限や極限値を議論するとき、x = aで関数を定義しないほうが便利でより一般的な理論を構成できる。
だから、わざわざx=aを除外し、x=aの近傍の振る舞いだけを問題にする。
でですね、
x→0のとき、sin(x)/x→1
になるので、
本当は
f(x) = sin(x)/x
はx=0で定義してはいけないんだけれど(0割り禁止の大原則!!)、
この極限値である1をもって、
f(0) = sin(0)/0 = 1
と再定義する。
こういう風に、極限をもって、連続していない点、不連続の点を除去できる場合もあります。
こういう関数の不連続点を「第1種の不連続点」とか「除去可能な特異点」と呼んだりします。
ただし、
f(x) = 0, (0≦x≦1/2の場合)
f(x) = 1, (1/2<x≦1の場合)
のx=1/2は、除去できない不連続点です。これは本質的な不連続点なので。
で、この場合、
左側極限 lim[x→1/2-0] = f(1/2) = 0
は成立します。
ですが、右側極限
lim[x→1/2+0] = 1 ≠ f(1/2) = 0
なので、
lim[x→1/2-0]f(x) ≠ lim[x→1/2+0]
となって、x=1/2の極限値は存在しない、となります。
☆ f(a) = a^2 ではないのですか?
◇これは、f(x) = x^2が、x=aで連続だからです。
f(x) = x^2は実数全部の領域で「連続」だから、左側極限と右側極限がつねに一致します。
この場合、
lim f(x) ≠ f(a)
という病的(?)な現象は起きません。
ということで、「関数が連続であるか、連続でないか」は非常に重要。
by nemurineko (2015-02-18 15:22)
連続・不連続が先に決まっているということですか?
by bragelone (2015-02-18 17:40)
☆連続・不連続が先に決まっているということですか?
◇関数を定義したときには、その関数の連続・不連続が既に決まっている、となりますかね。
ですが、微分・積分で扱うのは、連続した関数だけなので、あまり神経質になる必要もないと思います。
微分できる関数は、かならず連続ですし、
連続した関数でないと積分を定義することがちょっと難しいので。
このあたりの話をしだすと、
あの《カントールの対角線論法》の話なんかが出てくるんですよ。
「有理数より、無理数の方がずっとずっと一杯ある」
なんて話が出てきます(^^ゞ
関数の不連続の点が高々可算個(最大でも自然数の無限大個)程度なら、
「ほとんど連続だ」
なんて、非常におおらかな数学もあります(^^♪
by nemurineko (2015-02-18 19:28)